ドクターシミズのウルトラランナーへの道 2020春への準備

やっとランニングシューズ問題が一定の基準が示されました。

・2020年4月30日以降に競技会で使用するシューズは、それまでに4カ月以上の期間で市販されていること。(一般に流通していない靴は特注として、使用不可)

・ソールは4センチ以下

・複数枚のプレートが組み込まれることは禁止。(つまり1枚のプレートはOK)

以前の記事「マラソン史上初の2時間切り!」で書いた、キプチョゲ選手が昨年の非公式レース「イネオス1:59」で、人類初の2時間切りとなる1時間59分40秒を出した際に履いていたナイキのプロトタイプ「アルファフライ」については、カーボンプレートが3枚使用されているので、規制されることになりました。

いずれにしても、今回の騒動はナイキのマーケティングに大いに役立っただけで、ナイキの一人勝ちは続くかもしれませんね。新シューズは規制になったものの、これまでの「ヴェイパーフライ」はOKですし、4か月市場に流通していないと使用できません。アシックスは今春に新製品を発売して巻き返しを図り、ミズノも今夏の新製品発売を目指して、「本気の反撃」というプロジェクトをやっているようですが、夏ではオリンピックに間に合いません。アシックスでも春ではオリンピックの4か月前をクリアできないかもしれません。結局、オリンピックの本番ではほとんどの選手がナイキを履き、それがテレビに映るのでしょうね。

しかし、これでとりあえず決着したので、ナイキのヴェイパーフライについて、なんだかんだ言うのはやめます。(個人的な履き心地などは別ですが)

さて、2020年、北海道マラソンが中止となり、私の夏の大イベントがなくなってしまいました。モチベーションがかなり下がっていますが、6月のサロマ湖ウルトラマラソンにピークを持っていきたいと考えています。

しかし、その前に今年は4月にものすごい(?)チャレンジをするつもりです。「第30回チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン」にエントリーしました。種目は71km、100km、118kmとあるのですが、富士五湖全てを走るコースの118kmに挑戦します。100kmでさえ辛いのに、118kmは大丈夫なのでしょうか?さらにレースの最後には5km以上続くものすごい上りが待っています。昨年の完走率は56.7%、一昨年はなんと50.4%と2人に1人程度しか完走できていません。正直完走できるかどうか不安ですが何とか頑張ろうと思います。

北海道は冬に雪が降るので、思ったような練習ができません。雪が降っても外をランする人も大勢いますが、今年は雪が非常に少ない分、道が凍っていて滑るところもあります。滑って骨折してしまってはレースどころではないし、仕事に穴をあけることになります。また、私は寒いのが好きではないので、外は走りたくありません。(言い訳ばかり…)

そこで、今回高地トレーニングをすることにしました。高地トレーニングは通常の空気の酸素が21%程度のところを、酸素濃度を15%程度まで下げて、高地にいるような状態でトレーニングを行います。

SpO2(経皮的酸素飽和度)を測定しながらランニングしますが、通常ではSpO2は97%以上ぐらいあるのですが、このトレーニングルームに入って早歩きをしただけでSpO2は84まで下がってしまいました。(病院では酸素を投与されるレベルですね。)それでも徐々にスピードを上げていきますが、やはり酸素が薄く、いつものようなスピードでは走れません。ちょっとスピードを上げたときにはSpO2は77まで低下し、スピードを緩めざるをえませんでした。しかしこんなSpO2でも苦しいほどではありません。

私は麻酔を行っているので、毎日のように患者さんのSpO2を測定していますが、患者さんのSpO2が80以下の状態が続いたら、かなり焦ります。

30分で2時間分の運動効果という触れ込みですが、その点はよくわかりません。しかし、通常よりも汗の量が尋常じゃなく出ました。

東京とかであればいくつも高地トレーニングのスタジオがあるのでしょうが、札幌にはたった一つしかありません。中心部からもちょっと遠くて不便ではあります。(ラグプラス ノースのホームページはここ)(実はもう一か所高地トレーニングができると言っているところがあるようですが、知人が行ってみたところ、SpO2が全く低下せず、低酸素になっていなかったそうです。結構いい加減なところもあるのかもしれませんね。)

高地トレーニングの効果はどうなるかわかりませんが、雪解けまで続けて、富士五湖を目指したいと思います。乞うご期待!(と言っても誰も期待していないと思いますが…)

9 thoughts on “ドクターシミズのウルトラランナーへの道 2020春への準備

  1. レベルは先生の方がかなり上ですが、
    同年代ランナーとしては、先生の
    トレーニングメニューと、シューズの選択が気になります。

    ご教授頂けませんか?

    1. 鈴木武彦さん

      それ程速いランナーではないので、トレーニングを公開するほど特別なメニューはありません。
      雪のない時は週に3~4回、5~30㎞程度走るだけです。短い距離のときはスピード練習であったり、インターバルであったりです。
      現在は冬場なので、ランニングマシーンで週に2~4回30分から1.5時間程度走ります。短い時間のときは斜度を思いっきりつけたり、
      脚に重りを付けたりします。そして、今月から高地トレーニングです。

      シューズは今なHokaのリンコンですが、次のシューズは決めかねています。
      気になっているのはニューバランスの「FUELCELL REBEL」です。25㎝で176gという軽さ。
      使っている方がいましたら、情報が欲しいですね。

  2. 私の先月1か月の睡眠時の平均SpO2と最低SpO2です。
    睡眠中に連続計測していますが、スキーで高地(1620m)に宿泊すると平均SpO2が88%までさがり、翌日は90%に回復、これくらいの高度でもSpO2の低下と高度順応はあるように見えますから、低酸素トレーニングは、それなりに効果がありそうに思います。

    ただ、私の場合は、最低SpO2が極端に低く、睡眠時無呼吸(未受診)のように思います。
    しかし、いびきをかく習慣はなく、肥満でもないし(BMI22)、連続データのグラフを見ると睡眠の深さに応じて呼吸が浅くなっている(SpO2が下がっている)ように見えるので閉塞性ではなく、中枢性(もしくは両方の混合型)の可能性もあるかと思います。
    時々、起床時に頭痛、肩こりなどがあります。そして最低SpO2の低下は、翌朝の耐糖能を悪化させているようですが、何か対策できる事はあるでしょうか。

    >と言っても誰も期待していないと思いますが…

    低酸素トレーニングの効果に非常に興味があります。期待しています。

      平均 最低
    01日 95  71
    02日 94  70
    03日 94  78
    04日 95  79
    05日 94  68
    06日 94  82
    07日 93  74
    08日 93  72
    09日 93  71
    10日 95  80
    11日 (仮眠のみ)
    12日 88  67 標高1620mで宿泊
    13日 90  71 標高1620mで宿泊
    14日 96  76
    15日 94  73
    16日 95  66
    17日 95  73
    18日 95  74
    19日 95  80
    20日 95  80
    21日 95  83
    22日 95  63
    23日 96  83
    24日 95  74
    25日 94  76
    26日 94  82
    27日 94  73
    28日 95  70
    29日 95  76
    30日 94  77
    31日 94  68

    1. 西村 典彦さん、貴重なデータありがとうございます。

      睡眠時の平均のSpO2は普通だと思いますが、呼吸が止まっていない限り90を切ることはありません。
      ただ最低の数値は、寝ている状態だと体動でちゃんと測定できていないときの数値かもしれません。
      ちゃんと測定できていれば3%以上の低下でさえ異常ですから、これが本当の数値なら睡眠時に無呼吸になっているでしょう。
      太っているわけではないのであれば、これ以上のアドバイスは私にはできません。

  3. いつも有用な情報をありがとうございます。
    富士についてのお話が出たので、初のコメントさせていただきます。

    チャレンジ富士五湖はスタートが標高1000m
    おおむね800mから1000mの範囲です。
    高所に慣れていないと結構つらいですよ。
    とくに天候が悪かったり、北風が吹くと、気圧は900hPa以下になります。

    あと北海道の恵まれた環境を走っている方にとって、考慮する点があります。
    30kmあたりの街中の太陽の照り返しや、
    せっかくの下り坂なのに繰り返す信号待ち。
    50kmあたりで渋滞の車の横をすり抜け。
    など観光地特有のいやらしさは覚悟したほうが良いです。

    それ以外はとても良いところです。
    楽しんで下さい。

    1. 山梨太郎さん、コメントありがとうございます。

      様々な有用な情報ありがとうございます。
      高所であることはわかっていました。それが今回高地トレーニングをやろうという気になった理由の一つです。
      いろんな意味で楽しんできたいと思います。

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