ウルトラマラソンは健康的か?

東洋経済オンラインにウルトラマラソンに関する記事が載っていました。最近はフルマラソンだけではなくこのウルトラマラソンも人気が爆発しているようです。

以前私も記事にした今年のサロマ湖のウルトラマラソンのエントリーはなんと28分で終了でした。正直、走ることよりもこのエントリーが成功するかの方が断然ドキドキします。

この東洋経済の記事の途中では、ウルトラマラソンは途中で食事を摂らなければならないというような内容が書いてありますが、これは一般的にはそう思われても仕方ないかもしれませんが、私のようにほとんど食べ物らしいものは食べなくて完走する人は大勢いると思います。ちょっと誤解があります。

ところで、ウルトラマラソンは実際のところ健康的なんでしょうか?最低でも6時間以上走り続け、最大で13~14時間走るわけです。非常に過酷なスポーツです。どう考えても健康に良くないように感じてしまいます。

ある研究を紹介します。ウルトラマラソンのランナーと活動性の低い人を比べたものです。テロメアという細胞の分裂があとどれぐらい可能かを示すDNAの先端にくっついているものがあり、それがどんどん短くなって最後には細胞分裂が行われなくなります。そしてテロメアの長さが細胞のレベルでの老化と関連があるのです。つまりテロメアが長いほど細胞は元気で若々しく、テロメアが短くなると細胞は老化しているのです。このテロメアの長さは様々なことで長くなったり短くなったりしますが、今回はウルトラマラソンのランナーではどうなっているのかという研究です。ウルトラマラソンが不健康なスポーツであれば、当然テロメアが短くなっていると考えられますが、実際は活動的ではない人に比べるとかなりテロメアが長かったのです。

「Longer Leukocyte Telomeres Are Associated with Ultra-Endurance Exercise Independent of Cardiovascular Risk Factors」

「より長い白血球テロメアは、心臓血管の危険因子に依存しない超耐久性運動と関連している」(原文はここ

67名の定期的に長距離を走っているランナー(ウルトラマラソン群)と63名の普段トレーニングをしていない明らかに健康的な人(コントロール群)で、ランナーは少なくとも2回のマラソンに参加した経験豊富な長距離ランナーであり、毎週40〜100kmの定期的な週2回のトレーニングを少なくとも2年間行っていました。コントロール群は、ポーランドの男性集団(ウォーキングまたはスイミングの週2時間未満)の平均的な身体活動が低かったと報告し、年齢、BMIおよび血圧がウルトラマラソン群と同様でした

両軍の白血球のテロメアの長さを測ってみると次のグラフのようになりました。

 

 

 

(クリックで拡大、図は原文より)

ウルトラマラソン群の方がコントロール群よりも白血球のテロメアの長さは有意に長く、これは生物学的老化の差として約16年と推定されます。活動的ではない同世代の人よりもウルトラマラソンのランナーは16歳若いと考えられるのです。ランナーのみなさんはちょっと安心ですね。座っているよりは断然健康的なのです。

100km「ウルトラマラソン」が爆発人気の理由

2017年07月17日 東洋経済オンラインより

日本テレビのチャリティ番組「24時間テレビ 愛は地球を救う」が今年も8月26~27日に放送される。しかし、その看板企画である「24時間マラソン」の挑戦者が、まだ発表されていない。例年は5月下旬から6月上旬には“指名”されているだけに、さまざまな憶測が飛び交っている。

筆者は無理やり人を走らせるような企画がこれだけ世間の注目を集めていることに違和感でいっぱいだったが、日本テレビもようやく気づいたのかもしれない。フルマラソン以上の距離を走る「ウルトラマラソン」の人気が近年、急上昇しており、特別な企画ではないことを。そこで今回は知られざるウルトラマラソン(以下、ウルトラ)の魅力と実情についてお教えしたいと思う。

ウルトラとはフル(42.195km)を超える距離のロードレースのこと。100kmが定番で、それ以上の距離を走るレースもある。現在は国内で年間、150大会ほどが開催されており、新たな大会も続々と誕生している。日本におけるウルトラの先駆け的な大会はサロマ湖100kmウルトラマラソン(以下、サロマ湖)で、今年(6月25日)で32回目を迎えた。サロマ湖の歴史を振り返ると、ウルトラ人気の上昇具合がわかるだろう。

エントリー開始28分で定員3550人に到達

サロマ湖の第1回大会は1986年に開催され、五十数人のランナーでスタートした。そこから徐々に参加者が増加。100kmの部は1995年に1362人、2004年には3000人近くが集まり、近年は人気のため先着順(一般枠)となった。今年はわずか28分ほどで3550人の定員に到達。抽選倍率10倍の東京マラソンほどではないが、サロマ湖の出場権も“プレミアチケット”になっている。

記事の続きはここから

2 thoughts on “ウルトラマラソンは健康的か?

  1. すごい細かいコメントで恐縮なんですが、
    広島大の田原教授はテロメアについて
    「一度短くなったものを長くするのは難しい。短くなりにくくすることはできる」
    とおっしゃってます。

    ソースは下記動画の39分頃です。
    https://www.youtube.com/watch?v=TayxpxZL7PI

    なので一度不健康な生活で短くしちゃうと
    あとから頑張っても回復は難しいのかなと思ってました。

    それにしてもウルトラマラソンのランナーは
    16歳若いと考えられるってすごいですね!
    まあスポーツをやってる方はどんな種目であれ
    若く見える人が多い印象ですが。

    1. ゆうこさん、コメントありがとうございます。
      動画のものは所詮バラエティー番組ですから。
      テロメアはもちろんどんどん長くはできませんが、ある程度伸びることが分かっています。
      食事内容でも、瞑想でも伸びるようです。

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