抗うつ薬の使用は認知症のリスクを増加させるかもしれない

前回の記事で書いたように、うつ病と認知症はリンクしています。そこで、抗うつ薬を使用しているとどのようになるのでしょうか?ここに示すのは抗うつ薬の使用により、認知症のリスクが上がるというものです。

 

「The association of antidepressant drug usage with cognitive impairment or dementia, including Alzheimer disease: A systematic review and meta-analysis」

「アルツハイマー病を含む認知障害または認知症との抗うつ薬使用の関連:系統的レビューおよびメタ分析」(原文はここ

抗うつ薬の使用がアルツハイマー病を含む認知障害または認知症と関連しているかどうかを判断する。

 

結果として、抗うつ薬の使用は、何らかの形の認知障害または認知症の起こりやすさが2倍という有意な増加(OR = 2.17)と関連していた。年齢は、抗うつ薬の使用と何らかの形の認知障害または認知症との関連の可能性があった。平均年齢65歳以上を含む研究では、抗うつ薬の使用による認知障害と認知症の起こりやすさが増加(OR = 1.65)したが、65歳未満の参加者はより強く3倍以上の関連性を示した(OR = 3.25)。

結論として、抗うつ薬の使用は認知症と関連しており、これは65歳より前に使用が始まると特に顕著である。これは、うつ病またはうつ病の重篤さに関連する。

 

抗うつ薬は「モノアミン仮説」というものに基づいていますが、これはかなり怪しい仮説だと思っています。そして、その仮説に基づいて作られた薬がSSRIなどです。これらの抗うつ薬は脳の神経伝達物質を何らかの形で増加させますが、効果は非常に怪しく思われます。NNTは5前後と言われているので、8割の人には無効です。さらに、2000年ごろから始まった、製薬会社による、うつ病は「心のカゼ」という大キャンペーンによって大量の抗うつ薬が使われるようになりました。医学部では未だにこの仮説を教えているのかどうかはわかりませんが、この仮説をまだ信じているのか、それとも他に良い薬がないからなのか、これらの抗うつ薬は大量に使用されています。

もちろん、うつ病では何らかの神経伝達物質が減少しているとは思いますが、脳の複雑な仕組みを考えると、何か一つ神経伝達物質を増加させるようなことでは上手く行くはずもありませんし、所詮対症療法です。

その対症療法を続ければ、その裏ではどんどんインスリン抵抗性が悪化し、脳のダメージが進み、そして認知症になっていく、と考えるとつじつまが合います。前回の記事と合わせて考えると、うつ病の治療は抗うつ薬でも精神療法でもなく、まずは糖質制限で、というのはおかしな考えではないと思います。

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