南果歩さんは乳がん手術後、糖質制限をしているようだ

南果歩さんは昨年、乳がんのステージ1で手術を受けたそうですが、その後抗がん剤の治療で副作用が出たため、抗がん剤を中止したようです。

その代りに、サプリメントを飲み、「がん細胞は低体温で繁殖しやすい」として「代謝を上げて冷え性を治す」ようにしたり、「がん細胞が糖質を好む」として「炭水化物を控え」たり、放射線治療の皮膚への影響を抑えるため「エミュー鳥のオイル」を使ったりしているそうです。

冷え性を治したくらいでがん細胞の増殖は止められないと思いますが、温熱療法(ハイパーサーミア)であれば保険適応でもあるので、全く効果がないとか、根拠がないとかは言えないでしょう。サプリメントは何を飲んでいるのかわからないので、何とも言えませんが、変なサプリメントに騙されていなければ良いですが…

放射線治療に対する「エミュー鳥のオイル」は効くかどうかは別として、良いと思います。少しでも皮膚への影響を減らせるなら、問題になるものではないでしょうし、これは代替医療とは別です。ある患者さんが放射線治療のときに、いわゆる「健康食品」のような医学的に効果があるかどうかわからないクリームを塗っていましたが、非常に皮膚がきれいで、放射線治療を受けていたとは思えないほどだった方がいます。そういうのを見ていると、頭から「エミュー鳥のオイル」を否定はできません。

そして、糖質制限ですが、記事の中では根拠がないと言っていますが、ケトン食まで行う糖質制限なら十分に意味があるでしょうし、根拠もあります。どの程度糖質を制限されているのかわからないので、コメントできませんが、これも代替医療とは別で、がんの患者さんは普段の食事から気をつけるべきだと考えます。糖質はがん細胞のエサですから。しっかりケトン体を出すような食事であれば非常に効果は期待できるでしょう。抗がん剤との併用も可能です。

同じ乳がんになった北斗晶さんが、もうがんは治ったかのように、テレビでも糖質をモリモリ食べているのを見ますが、非常に心配になります。

小林麻央さんのように手術も全く受けていないなら非常に問題ですが、手術を受けた後の抗がん剤の中止なので、これは考え方でしょう。職業的なこともあるでしょうし、これは選択の自由です。この南果歩さんの話を聞いて、それを信じて同じようにするかどうかは本人の問題です。抗がん剤の効果の確率、リスクなどを総合的に考えて、判断するのであれば私は良いと思います。ただ、そのような情報もなく、代替医療にのめり込むのは良い選択とは思えません。

先日ニュースで、がん患者さんが集まって、お互いに様々なことを話す様子を取材していました。その患者さんの真ん中のテーブルに置かれていたのは、お菓子やジュースでした。糖質たっぷりのお菓子やジュースを囲んで、がん患者さんは何を求めているのでしょうか?ケトン食を実践するかどうかは別として、最低限無駄な糖質を控えることの方が大切だと思うですが、そのような意識を集まっていた皆さんまたは主催した側は持っていないようです。

その点南果歩さんの行動、発言は非常に意味があると思います。

がんのステージや抗がん剤の種類や適応となるがんの種類によって違うとは思いますが、抗がん剤によって必ずしも生存期間や生活の質が向上するわけではありません。

例えば次の論文を読んでみてください。

「Availability of evidence of benefits on overall survival and quality of life of cancer drugs approved by European Medicines Agency: retrospective cohort study of drug approvals 2009-13」

「欧州医薬品庁によって承認された抗がん剤の全生存期間および生活の質に関する利点の証拠の有効性:薬剤承認のコホート研究2009-13」(原文はここ

ヨーロッパで、2009年から2013年に68の適応症に対して48の抗がん剤の使用を承認しました。68のうち24(35%)の適応症において生存率の有意な延長があり、全生存期間の延長は1.0〜5.8ヶ月(中央値2.7ヶ月)の範囲でした。生活の質が改善したのは68の適応症のうち7つ(10%)だけでした。

生存率や生活の質が著しく改善したのは68のうち35(51%)にすぎず、33(49%)は依然として不確定のままでした。生存期間に関連する効果が臨床的に有意であると判断されたのは48%でした。

つまり、半分の抗がん剤は大して期待できないものですし、生存期間の延長も中央値で3か月にも満たないわけです。それをどう考えるかは、それぞれの考え方ではないでしょうか。

ただ、専門的には詳細はわかりませんが、乳がんの生存率は非常に伸びていると思います。そうであるならば、抗がん剤(放射線治療)+糖質制限や温熱療法、「エミュー鳥のオイル」でも良いとは思います。

最後に私は決して抗がん剤を否定しているわけではないことを申し上げておきます。

乳がん治療中の南果歩さんの講演 「責められるべきは本人ではない」

10/3(火)  YahooNewsより(記事はここ

抗がん剤治療をやめ、代替療法を受けていることを明かした講演が報じられて、波紋を呼んでいる南果歩さん。
昨年3月に乳がんの手術を受けた女優の南果歩さんが、乳がんの啓発を目的とする「ピンクリボンシンポジウム2017」(日本対がん協会、朝日新聞社主催)で講演し、その内容を報じた記事が患者や医療関係者の間で波紋を呼んでいる。

問題となっているのは、「南果歩『見本にして』抗がん剤ストップ中と明かす」と見出しのついた日刊スポーツの記事。日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインで推奨されている術後の抗がん剤治療やホルモン療法をストップし、糖質制限などの代替療法を行なっていることが報じられたのだ。

一般人に影響力のある著名人が、科学的根拠のない治療法を発信するのは、受け止める人が信じる可能性もあり危険だ。関係者に取材したところ、著名人、主催者、メディアの様々な問題が浮かび上がった。

「個人的な決断」「標準治療はデータに基づいた揺るぎないもの」
記事では、まず、南さんは「今、ハーセプチンという抗がん治療をストップしています。抗女性ホルモン剤の投薬もストップしています。これは俗に言う、代替治療に切り替えたということです」と述べたと紹介している。

一方で、「標準治療というのはデータに基づいた揺るぎないものだと、重々承知しています。(抗がん剤を止めたのは)個人的な決断です」と話し、あくまでも個人の決断で、万人に当てはまるわけではないということを強調したとも書かれている。

ここで、現在の乳がん治療について簡単に説明しよう。

乳がんには、女性ホルモンの影響を受けて増殖するがんや、HER2という特殊なたんぱく質が増殖に関わるがんがある。患者は治療前にがん細胞を調べ、どのタイプのがんか見極めたうえで、女性ホルモンの働きを妨げる抗ホルモン薬や、HER2が関わるがん細胞を狙い撃ちする分子標的薬「ハーセプチン(一般名・トラスツズマブ)」を使うかどうか決める。

HER2が関わる乳がんはかつて治りにくいがんだったが、ハーセプチンの登場で治療成績が飛躍的に向上した。

講演内容から推測するに、南さんのがんは女性ホルモンもHER2も影響するがん。診療ガイドラインでは、こうしたがんには手術後にハーセプチンを抗がん剤と併用し、ホルモン療法を最低5年続けることが推奨されている。

記事や会場にいた医師らによると、南さんは少なくともホルモン療法を中断した理由について、副作用で血圧が上がったことを挙げたそうだ。主治医とじっくり話し合い、他の医師の意見も聞いた上で決断したという。ハーセプチンや抗がん剤については、そもそも投与されていたのかは明らかでない。

そして、医学的には最善の選択肢とされる標準治療を選ばなかった代わりに、サプリメントを飲み、「がん細胞は低体温で繁殖しやすい」として「代謝を上げて冷え性を治す」ようにしたり、「がん細胞が糖質を好む」として「炭水化物を控え」たり、放射線治療の皮膚への影響を抑えるため「エミュー鳥のオイル」を使ったりしていると発言したことを記事では詳細に紹介している。

だが、こうしたがんの説明や代替療法に科学的根拠はなく、がん闘病中の患者が真似をしたら害にもなりかねない。今回の発信の何が問題だったのか、関係者らに取材して分析した。

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