エキノコックスはもう北海道だけの病気ではないようだ

みなさんはエキノコックスという病気を知っていますか?私は北海道に来て、医学部で勉強して始めて知りました。そして、北海道ならではの病気だと思っていました。

エキノコックスは寄生虫で、主に北海道ではキタキツネが持っています。こんな感じの寄生虫のようです。(図はWikipediaより)

 

北海道では札幌市内でもキタキツネが歩いていることがあるため、子供たちには絶対触らないように注意してきました。もちろん最近では、そのように近くにキツネがいるために、イヌにも感染が広がっているので、むやみにイヌにも触れない方が良いかもしれません。

北海道の湧水を飲んでいる人もいますが、大丈夫かな?と思っています。湧水がどれぐらい危険なのかは知識がありませんが、私は絶対に飲みません。もちろん十分加熱すれば大丈夫だとは思います。北海道のスキー場で雪を食べるのも危険かもしれません。(エキノコックスが低温で生きられるのかどうかはわかりません)

そして、エキノコックスは北海道の病気だと思っていましたが、今年になって愛知県で3例も報告されるようになりました。野犬から発見されているようなので、通常は感染しないと思われますが、イヌを散歩させたり、キャンプや野外活動で様々なものを触ったりしたときには十分注意が必要になってくるでしょう。野草やキノコを採ったりする人も気をつけてください。数例発見されればその数十倍~数百倍はいると思われます。

記事を読むと輸入犬も注意が必要だということです。イヌはそこらじゅうの匂いを嗅いだり、イヌ同士は平気で舐め合ったりしますから、感染が広がる可能性もあります。

感染しても薬がありませんから、エキノコックスが寄生した肝臓を切除しなければなりません。もちろん放っておけば死んでしまいます。

寄生虫というものにはほとんど縁が無くなった今の日本で、密かに広まりつつあるのかもしれません。絶対に感染したくない寄生虫のひとつですね。

愛知県で報告された「エキノコックス症」とは

3/29(木) Yahooニュースより

エキノコックス症は、エキノコックス(echinococcus)という寄生虫によって引き起こされる人獣共通感染症だ。感染者に深刻な健康被害をもたらすハイリスクの感染症として指定されている。2018年3月28日、愛知県の保健当局は県内で4例(平成26年1例、平成30年3例)のエキノコックス症の届出があったことを発表した。

キツネからイヌへ
 エキノコックス症は人獣共通感染症で、エキノコックスという寄生虫に感染したキツネやイヌの糞便により汚染された食物や水などを、人間が偶然、口に入れて飲んだりすることで感染する。人間から人間への感染はない。

 発表リリースによれば日本で毎年、北海道で10~20人ほどの患者の報告があるという。日本で最初にエキノコックス症とされたのは、1936年に診断された北海道礼文島出身の28歳の女性の例だ。

 エキノコックスには大きく単包条虫(Echinococcus granulosus)と多包条虫(Echinococcus multilocularis)の2種類があり、多包条虫は北海道の固有寄生虫とされる。日本で発症したエキノコックス症のほとんどは、この多包条虫によるものとされ、北海道以外における多包条虫による感染例は北海道の1/10以下だ。

 北海道に多いのは、キタキツネが感染源であるためで、キタキツネからペットのイヌ(まれにネコ)へ、イヌから人間へ感染する。近年になり、キツネと人間との生活環境が隣接することで、キツネからの感染も疑われるようになった。

 北海道以南のイヌでエキノコックス(多包条虫)が発見されたのは、届出義務が施行されて以降、2005年に埼玉県の野犬から1例、今回の1例である2014年の愛知県の野犬の1例、そして今回の2018年付けの3例となる。青森県などのブタで発見される例もあるが、イヌの移動により他地域へ侵入しているのではないかという研究者もいる。

 例えば、北海道からは移住や転勤などにともなって毎年多くのイヌが本州へ連れてこられているが、その実数は未届け犬などが含まれるため正確にはわからない。過去の研究では年間300~400頭程度、ひょっとすると1万頭あまりではないかとも見積もられ、さらに海外からの輸入犬も年間1.5万頭あまりになるという。

 複数の研究から、北海道のイヌのエキノコックスの罹患率は0.2~1.1%と考えられている。仮に年間1万頭のイヌが北海道から本州へ移動しているとすれば、そのうち100頭程度はエキノコックスに罹っている可能性が高い。

 また、輸入犬についても無検疫で入ってくる個体も多く(数百頭か)。すでに飼われている未届け犬も含め、強制的な検疫や寄生虫駆除の必要性を警告する研究者もいる。

症状が出るまで10年かかることも
 このエキノコックスという寄生虫のやっかいなのは、症状が現れるのが感染後、長い例で10年ほどしてからというところだ。感染すると人間の身体へ入り込み、主に肝臓や肺に寄生して肝不全などの障害を引き起こす。その間は無症状の患者が多く、発見や治療が遅れると死に至ることもある。

 エキノコックス症には有効な治療薬がまだない。外科的に感染部位を切除するしかなく、感染から長期間、無症状のため発見が遅れることも少なくない。そのため、なによりも予防が重要だ。

 愛知県の発表リリースによれば、エキノコックス症は人間と動物に共通する感染症だが、適切な予防で人間への感染の危険性はない、といっている。野山へ出かけ、寄生虫などに汚染された可能性のある水や野草などに触れた場合、よく手洗いをするように注意を喚起している。また、北海道へ旅行するなどした際にキツネやイヌなどに触れた場合も同じだ。

 一般的に人獣共通感染症の予防のために、野犬や野生動物には触れず、もしも触れた場合はうがいや手洗いをし、帰宅前に衣服や靴の泥や埃をよく払い落とし、山菜などはよく洗ってから食べるように心掛けたい。また、イヌの散歩の際も、他のイヌの糞便や小動物などを口に入れていないか注意するべきだろう。

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