私の小さな危険なLDLはどれくらいあるか?

小さな危険なLDLであるsdLDLを測定するのは通常では行われません。特殊な検査が必要になります。今回、明日香特殊検査研究所の松田さんの多大なご協力のもと私自身のsdLDLを測定しました。

その前に通常でも検査のできるリポタンパク分画で、RM値を測定できるものがあります。RM値とは、VLDLバンドのピークからLDLバンドのピーク間の距離をVLDLバンドのピークからHDLバンドのピーク間の距離で割った値で、相対移動度のことを表します。これが0.4以上の場合、確実にsdLDLが存在すると言われています。しかし、0.4未満でもsdLDLはゼロではないと思っています。だから「存在する」という表現はちょっと誤解を招くような気がします。

まずは通常のリポタンパク分画の結果からです。

上のような結果が得られました。左の山がVLDL,真ん中の山がLDL,右の山がHDLです。パターンは健康な人のパターンですが、RM値は0.43になっています。えっ?0.4以上は確実にsdLDLが存在するはずです。確実に存在する場合もう少し真ん中のLDLの山が右側にずれたり、LDLの山のすぐ横にもう一つ小さな山が出現すると考えていますが、この報告書からは私が見てどうしてもRM値が0.43とは思えません。

もう一つの疑問はIDLが0%であったことです。IDLはVLDLとLDLの間に位置しますが、山は存在しませんが、どう見てもゼロには見えません。

検査機関に聞いてみたところ、「RM値に関してはグラフには表れていないノッチがあるからRM値が0.43と判断した。」「IDLに関しては、非常に少ないので0%とした。」とよくわからない説明でした。どうやら検査した「人間」の判断のようです。検査員の「さじ加減」でしょうか?

そこで、明日香特殊検査研究所の松田さん相談し、そこで検査をしていただくことになりました。その結果は下の図です。

VLDL5%、IDL5%、LDL60%、sdLDL4%、HDL26%です。ほぼ標準検体、つまり健康と考えあられる人の波の形とそっくりです。つまり、IDLもsdLDLもゼロではありませんでした。

しかし、非常に量は少なく、sdLDLコレステロールは12mg/dLです。以前の記事「小さな危険なLDLの割合を推測するには?」で書いたように、ある研究で日本人で糖尿病や脂質異常症のない健常人ボランティア13人でsdLDLを測定したところ、平均値は16.8mg/dLであったことを考えると、その平均以下なので、問題のある数字ではないでしょう。

LDLコレステロールは180で総コレステロールも300以上なので、コメントで「Ⅱa型脂質異常症の疑いがある」とされていますが、そもそも総コレステロールやLDLコレステロールは重要視していないので、私の考えでは全く問題ありません。

IDLはVLDLのレムナントと考えられますので、非常に少ないことは重要です。IDLも実はLDLに通常は含まれていますので、LDLが高い場合、IDLが正常なのか増加しているのかでは大きな違いがあるでしょう。レムナントコレステロールは虚血性心疾患のリスクを高くしますので、IDLまたはRLP(レムナント様リポタンパク)を知ることは重要かもしれません。

LDLを低下させれば良いと考えている場合、IDLやsdLDLなども同時に低下していればいいですが、それは通常の検査ではわかりません。良い「LDL」まで低下させる必要は全くありません。

できればどんな人でもこのようなsdLDLやIDL、RLPなどが簡単に測定できると望ましいと思います。そうしないと高LDLコレステロール値を示した人がみんな「病気」にさせられてしまいます。

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