インドでは毎年百人以上の子供がライチを大量に食べて死亡していたなんて… 糖質制限でも注意が必要かもしれない

インドで大勢の子どもが急性脳炎を発症し、死亡したという第一報を聞いたときに、ウイルスか何かの感染症が広まっているのでは?と思いました。しかし、昨日のTwitterに書きましたが、その後の報道を見て、ビックリです。犯人は果物のライチだったようです。

ライチ果実の毒素で脳炎発症か、子ども31人死亡 インド

6/12(水)  AFP=時事 yahooニュースより(記事ここ
インド東部で、ライチの果実に含まれる毒素との関連が疑われる脳炎が原因で、ここ10日間に少なくとも31人の子どもが死亡したと、保健当局が12日、発表した。

 当局によると死亡例は、ライチの名産地ビハール(Bihar)州ムザファルプール(Muzaffarpur)県にある2か所の病院から報告されている。

 当局高官はAFPに対し、亡くなった子どもたちには全員、急性脳炎症候群(AES)の症状が見られ、大半が血糖値の急降下に見舞われたと語った。さらに40人の子どもが同様の症状によって集中治療室(ICU)に収容されているという。

 ムザファルプール県とその周辺では1995年以降、ライチが旬を迎える夏になると毎年同じ病気が多発しており、2014年は最多の150人が死亡した。

 米国の研究者らは2015年、この脳疾患がライチに含まれる毒素と関連している可能性を指摘。てんかんなどの発作や意識障害を引き起こし、患者の3分の1以上が死に至るこの病気の原因を究明するため、さらなる研究の必要性を強調した。

 同じくライチの生産地であるバングラデシュやベトナムでも、神経疾患が報告されている。

調べてみると、インドでは20年もの間、毎年100人以上の死者を出していたようです。(関連記事はここ)もうすでにLancetから論文も出ていました。

インドとアメリカの研究者が原因究明をしてみると、その原因は空腹時に大量に食べたライチにあったとわかったのです。ライチに含まれている「ヒポグリシン」「メチレンシクロプロピルグリシン」によるもので、これらは低血糖症や代謝障害を引き起こす毒素だということです。被害が集中しているインドのビハール州はライチの主要な産地で、その地域の貧しい子どもが、空腹状態でライチ園の木になった実や落ちた実を食べていたそうです。致死率は32%でした。このような貧しい地域ですので、集中治療などの医療のレベルも致死率の高さに関連しているのでしょう。

症状が出始めたのは3時~8時と夜中から朝方にかけてが、66%でした。94%が痙攣をおこし、95%が精神的な変調をきたしました。

入院時の血糖値の平均が47.9と低血糖でした。52%が血糖値50以下、62%が70以下でした。69%の人がブドウ糖による低血糖の治療を受けて、そのうち73%が生き残っています。

この毒素により脂肪酸代謝が中断され、グルコース合成が著しく損なわれるようです。脂肪酸の代謝も行われず、糖新生も起こらず、低血糖になるということです。糖質制限をしている人も注意が必要ですね。糖質制限にライチは禁止かもしれません。糖質制限をしていれば、果物を大量には取らず、ライチもあまり食べる機会は無いかもしれませんが。被害は子供ばかり(論文の患者の平均年齢は4歳)なので大人は大丈夫なのかもしれません。それとも、大人はこの地域の子供のように大量に食べることが無かったから今まで死亡者が出ていないだけかもしれません。

2015年に、インドの保健当局は、地域の人たちに「子どもに夕食を食べさせること」「ライチを食べる数を制限すること」を指導し始めました。その結果、その後の2年間は病院に搬入される子どもの数が年間数百人から50人以下に激減したそうです。 しかし、徹底されていないのか、今年も30人以上の死者が出てしまいました。

日本人が大量にライチを食べることは非常に少ないでしょう。しかし、空腹時に子供のおやつ代わりにライチをたくさん与えることは危険かもしれません。また、ジャマイカのアキ-というフルーツにも同じ成分が含まれているので、海外旅行などで知らない果物を大量に食べることは危険かもしれません。

植物はそれぞれ様々な毒を備えて生き延びるように進化したのでしょう。同じものを大量摂取すると危険な場合もあるということです。

「Association of acute toxic encephalopathy with litchi consumption in an outbreak in Muzaffarpur, India, 2014: a case-control study」

「2014年のインドのMuzaffarpurでの集団発生における急性中毒性脳症とライチ摂取との関連:症例対照研究」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする