糖質制限をすると、自ずとタンパク質摂取が増加します。慢性腎臓病でタンパク質が有害だと思っている人は、糖質制限が難しいのでしょうか?
今回の研究では、Virta個別栄養療法(VINT)プログラムというものに参加している2型糖尿病、過体重、または肥満の人11,077人と、マッチングされた通常のケアの対照群11,077人が対象です。慢性腎臓病(CKD)の発症および進行を比較しました。5年間追跡しましたが、平均追跡期間は、VINTで 1.8 年、通常のケアで 1.9 年でした。平均年齢は 51 歳です。
VINTプログラムの栄養介入は、栄養ケトーシスを誘導・維持するための個別化炭水化物削減を中心とした栄養介入で、目標のβヒドロキシ酪酸は0.5–3.0 mmol/L(日本の単位で500–3000μmol/L)です。タンパク質摂取は適度なレベル(基準体重1.2〜1.5 g/kg/日)に維持され、脂質は満腹感やエネルギー需要に応じて調整され、主なエネルギー源です。食事法は、デンプンを含まない野菜、健康的な脂肪(例:オリーブオイル、ナッツ、アボカド)、そして適度なタンパク質源(例:肉、魚、家禽、卵、乳製品)など、全粒で最小限の加工食品を重視し、低GIの果物は限定的でした。加工食品、添加糖、精製穀物、デンプン質の多い野菜は推奨されませんでした。(図は原文より)
上の図のAは、VINT群と通常ケア群のCKD発症率の比較、Bは新規発症CKD(アルブミン尿を含む)、Cは新規発症ステージ3以上のCKD、Dは新規発症ステージ4以上のCKDの累積発症率です。(BとCの図が逆に見えますが?)VINT群では通常ケアと比較して、新規発症CKD、CKDステージ3以上、およびCKDステージ4以上の発症率が低くなり、発症率は、新規発症CKDで1000人年あたり10.1対15.6(0.64倍)、CKDステージ3以上で1000人年あたり5.7対9.7(0.57倍)、CKDステージ4以上で1000人年あたり0.5対1.3(0.38倍)でした。
VINT群は対照群と比較してCKD進行の可能性が0.51倍と有意に低くなりました。さらにVINT群は、通常ケア群と比較して死亡リスクも0.40倍の有意な低下と関連していました。
ただ、思ったほど糖質制限でのCKD発症率が通常ケアと大きな差がつかなかったというのが印象です。それは、もしかしたら糖質制限が上手く続けられなかった人も多いのかもしれません。6か月間の平均で見ても、βヒドロキシ酪酸の値が0-300μmol/Lだったのが28%もいます。分析でも平均β-ヒドロキシ酪酸値が高いほどCKD発症リスクが低いことが示唆されています。
いずれにしても、糖質過剰摂取を推奨する通常の治療よりも、糖質制限をすれば慢性腎臓病の発症および進行は半分程度になる可能性が高くなります。ちゃんとやればもっと有益でしょう。慢性腎臓病は糖質過剰症候群です。
食事による栄養ケトーシスは腎臓を守ってくれます。ケトン体が出ないような食事をすべきではありません。それは人類の初期設定です。
「Effectiveness of Telehealth Low-Carbohydrate Intervention in Preventing Chronic Kidney Disease: A Real-World, Retrospective, Matched Cohort Study」
「遠隔医療による低炭水化物介入が慢性腎臓病の予防に及ぼす効果:実世界における後向きマッチドコホート研究」(原文はここ)
