インフルエンザが相変わらず流行していますね。先日「タミフル」のジェネリックが需要過多で製造追いつかず、一時供給停止という報道がありましたが、(ここ参照)先発品も限定出荷と一部包装品の出荷停止になりました。(ここ参照)
さらに、別のインフルエンザの薬「ゾフルーザ」も限定出荷になったようです。(ここ参照)
塩野義、インフルエンザ治療薬の供給調整 過剰発注防ぐ
2025年1月9日 日本経済新聞
塩野義製薬がインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」の供給調整を始めたことが9日、わかった。塩野義が医療関係者や卸売業者に通知した。インフルエンザの流行で、一部の製薬会社の間で治療薬の供給を停止する動きなどが出ている。塩野義はゾフルーザの出荷を絞るなどして過剰発注を防ぎ、市中での適正在庫の維持につなげる。
塩野義は「流行状況や他社製品の供給状況も踏まえつつ、早期に限定出荷を解除できるよう努める」としている。
インフルエンザ急拡大で沢井製薬は8日までに治療薬「タミフル」後発薬の供給を一時停止した。中外製薬もタミフルの先発品の供給調整を始めている。
日本人は大丈夫でしょうか?こんなに薬を求める人がいるなんて。ただの風邪のインフルエンザですよ。寝てれば治ります。
先日の記事「タミフルの異常行動を侮るべからず」でも書いたように、危険な副作用がある薬です。タミフルについて記事では書きましたが、ゾフルーザも同じです。実際にはもっと危険かもしれません。
新型コロナのせいで最近のデータはありませんが、厚労省は次のようなデータを出しています。
どのインフルエンザの薬でも万遍なく異常行動があります。もちろん薬服用なしの人もいますが、ほとんどは何らかの薬を飲んでいます。異常行動の8割近くは男性です。2019/2020年の報告では1歳から19歳までですが、年によっては20代の人に起きている年もあります。いずれにしても中学生くらいになったら、異常行動を親が止めようとしても無理でしょう。まあ、報告があっただけで、氷山の一角で、実際にはもっとたくさんの人が異常行動を起こしているでしょう。厚労省のデータも信用できませんからね。
でもゾフルーザって1回しか飲まなくていいけど、その分長く効果が続くということですよね。そうすると副作用が出たら、副作用も長く続くのですよ。怖い!タミフルなら途中で止めれるけど。
以前の厚労省が発表したゾフルーザの国内副作用報告状況を見ると、重篤副作用の報告件数は501件で、肺炎17件、アナフィラキシー系は34件、せん妄や異常行動などは40件、神経系が56件(意識消失14件、けいれん発作12件など)、心肺停止5件、呼吸困難9件、胃腸系は86件で、その中で異常行動と共に問題になっている虚血性大腸炎は11件、意外と多いのが横紋筋融解症21件、急性腎不全9件などとなっています。こんな薬飲みたいですか?
2020年の薬害オンブズパースン会議のブログには次のようなグラフが出ています。(ここ参照)
上の図がインフルエンザの薬の使用数と重篤副作用報告数、下の図が死亡報告数です。いずれも2018/2019年の年に急増しています。この年何があったかというと、ゾフルーザが発売されて、一気にベストセラー薬となった年です。2018年3月に販売開始され、インフルエンザ薬全体の43%といきなりトップシェアを獲得したのです。そうしたら死亡数は5.3倍になってしまいました。この年、ゾフルーザだけで重篤副作用報告症例が348人、死亡症例が37人も出ているのです。これを受けて、ゾフルーザの承認取消しの要望書が提出されましたが、国は無視しました。
それでなのか、次の年にはゾフルーザ処方割合は急減しています。(図はこの論文より)
でも、新型コロナの数年でゾフルーザの危険性を医師は忘れてしまったのでしょうか?出荷調整が必要なほど、売れてしまっているのです。
ゾフルーザの添付文書には次のように書かれています。
寝てれば治る風邪に、異常行動が出るような薬が処方されるなんておかしいでしょう。
上の出血に関しては、後から追加されましたが、このような記事が出ています。(ここ参照)
インフル薬「ゾフルーザ」 副作用に「出血」を追記
2019/3/4 産経新聞
塩野義製薬が製造販売する抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の「使用上の注意」を改訂し、重大な副作用に「出血」を追記することが4日、分かった。昨年3月の発売以来、同薬との因果関係が否定できない出血に関する症例が13例報告されたためで、厚生労働省医薬・生活衛生局が1日に医薬安全対策課長通知で指示した。
同課によると、ゾフルーザ服用後、血便や鼻出血などの出血のあらわれた報告数が因果関係不明を合わせると計25例あった。うち死亡例は3例だったが、同薬との因果関係が否定できない症例ではなかったという。また、使用上の注意の「重要な基本的注意」の欄で患者や家族に対して「血便、鼻出血、血尿等があらわれた場合には医師に連絡すること」などを説明するよう指示した。
塩野義は使用上の注意の改訂と医療機関などへの案内を速やかに行うとしている。
一方、中外製薬が製造販売する「タミフル」の重大な副作用にはすでに出血に関連する記載がある。厚労省医薬安全対策課は1日、タミフルと、沢井製薬の後発医薬品に対しても使用上の注意の改訂を指示。基本的注意の欄に「出血症状があらわれた場合に医師に連絡する」ことを加えるよう指示した。
死亡例が3例ですよ。因果関係を否定できない症例ではなかった、と言っていますが、怪しいですよね。
異常行動で急に走り出したり、飛び降りたりしたら、家族が止めるのも難しいかもしれませんし、一人暮らしの人は絶対に飲むべきではありません。家族は2日間ほど1秒も目を離してはなりません。血便、鼻出血、血尿等があらわれたら、医師に連絡をすることとありますが、一度飲んだゾフルーザを体から抜くことはできません。
アメリカのFDAの市販後の有害事象報告のデータでは、もっといろんなことが起きています。報告オッズ比(ROR)を見てみましょう。
タミフルの有害事象のROR上位5つは虫垂石459.53倍、乳児座瘡368.65倍、急性黄斑神経網膜症294.92倍、直腸炎245.74倍、老人性紫斑病154.02でした。報告件数の多い上位5つは、嘔吐、異常行動、幻覚、せん妄、発作でした。
指定有害事象については、劇症肝炎12.12倍、アナフィラキシーショック7.92倍、心室細動7.68倍、中毒性表皮壊死融解症7.21倍、自己免疫性溶血性貧血6.65倍などでした。
ではゾフルーザはどうでしょう。
ROR上位5つは、熱性せん妄1698.97倍、熱性けいれん123.76倍、虚血性大腸炎49.52倍、多形紅斑36.22倍、細菌性肺炎26.21倍でした。肺炎が起きやすいのは免疫低下を示唆しますね。それ以外にもゾフルーザで多いのは、下血21.34倍、出血性膀胱炎20.22倍、麻痺性イレウス18.57倍、出血傾向16.86倍、横紋筋融解症15.50倍でした。やっぱり出血や横紋筋融解症が多いですね。
報告件数が多い上位5つは、肺炎、嘔吐、意識喪失、アレルギー反応、蕁麻疹でした。
指定有害事象については、多形紅斑36.22倍、横紋筋融解症15.50倍、アナフィラキシーショック15.14倍、アレルギー反応12.87倍、スティーブンス・ジョンソン症候群3.86倍でした。
こんな副作用を起こすくらいなら、熱がちょっとだけ長く続いた方が良いと思いませんか?こんな恐ろしい薬よく飲むな?と思うし、医師もよく処方するな?と思ってしまいます。
「Safety analysis of Oseltamivir and Baloxavir Marboxil after market approval: a pharmacovigilance study based on the FDA adverse event reporting system」
「市販承認後のオセルタミビルとバロキサビル マルボキシルの安全性分析: FDA 有害事象報告システムに基づく医薬品安全性監視研究」(原文はここ)