コレステロールは人体の必須のものです。脳にとっても重要でしょう。コレステロールは低いほど良いと考えている人もいますが、コレステロールが人格や精神的な症状に結びついていると考えもしないのでしょう。
かなり古い研究ですが、低コレステロールは暴力性と関連しているという研究がいくつもあります。コレステロール値が低い人において、暴力による死亡および暴力行為の増加を一貫して示しています。(図は原文より)
上の図はviolent death、非業の死、暴力死(殺人、事故死など)と低総コレステロールの関連を示しています。総コレステロールが低値のレベルはそれぞれですが、低総コレステロールは1.3~6.7倍暴力死リスクが高くなります。
上の図は、コントロール群と自殺や暴力群とのコレステロールの平均値の違いです。17~44mg/dLの違いがあります。
上の図は低コレステロール患者と高コレステロール患者との比較における自殺未遂と暴力のリスクです。3つのうち2つの研究では、低コレステロール群で自殺未遂のリスクが2.22~5.14倍でした。一つの研究では、低コレステロール群で暴力行為3.3倍でした。
上の図はコレステロールのレベルによるviolent death、暴力死のリスクを示しています。総コレステロール240mg/dL以上を1とすると、コレステロールが低くなるほどリスクは高くなり、総コレステロール160mg/dL未満のグループでは、1.28~6.74倍になりました。
もう一つ見てみましょう。(ここ参照、図もここより)他者に対する暴力犯罪を2件以上犯した暴力犯罪者と非犯罪者のコレステロール値を分析しました。1000人あたりの暴力犯罪者数は下の図のように、コレステロールが低いほど暴力犯罪率は低下しています。中央値未満の低コレステロールは犯罪的暴力リスクが2.32倍になりました。
他にも興味深い研究があります。(ここ参照)心的外傷後ストレス障害(PTSD)の退役軍人203人を対象にした研究では、総コレステロール値が高いほど、自殺念慮の可能性は0.09倍、臨床的に有意な攻撃性の可能性は0.28倍、少なくとも中等度のうつ病症状の可能性は0.20倍となっていました。総コレステロール値は、他の精神疾患を合併していないPTSD患者の症状にさえ関連しているのです。
さらに興味深い研究があります。(ここ参照)「暴力は暴力を生む」というように、「暴力の連鎖」として概念化され、暴力にさらされた子供は暴力的な大人になるリスクが高いことを示しています。そこにもコレステロールが関係しているようです。小児期の虐待は多くの神経内分泌系にも大きな影響を与えるのでしょう。総コレステロール値が中央値を下回る患者では、小児期の暴力暴露と成人期の暴力行使との相関は有意でしたが、コレステロール値が中央値を超える患者では、小児期の暴力暴露と成人期の暴力行為の発現との相関は有意ではありませんした。
最近はこのような低コレステロールと暴力性の研究はほとんどないですね。人権の問題なのか、製薬会社の圧力なのか?
低コレステロールが暴力と関連しているのであれば、気になるのはコレステロールを下げる薬、スタチンはどうなのか?というところですね。そうなんです。スタチンはやっぱり…それについては次回以降で。
「Cholesterol and violence: is there a connection?」
「コレステロールと暴力:関係はあるのでしょうか?」(原文はここ)
仮にコレステロールへの認識が
パラダイムシフト的に変更しても、
まだ塩分制限や降圧剤などの
「医療常識」には事欠きませんね。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
医療の闇は深いですからね