精製されていない穀物、全粒穀物は健康に良い、心血管代謝疾患のリスクが低い、と良く言われています。本当でしょうか?
今回の研究は、全粒穀物が心血管代謝リスク因子に及ぼす影響を評価したランダム化比較試験87件を対象としたメタアナリシスです。全粒穀物(乾燥重量、生重量で約90gまたは3食分に相当)を1日あたり48g増加させた場合の平均差を推定しています。(図は原文より)

上の図のように、全粒穀物摂取を1日あたり48g増加させると、総コレステロールは0.1mmol/L、日本の単位にすると3.87mg/dL低下します。LDLコレステロールは0.07mmol/L、日本の単位では2.71mg/dL低下します。HDLコレステロールは変化なし、中性脂肪は0.04mmol/L、日本の単位にすると3.54mg/dL低下します。どれも誤差範囲レベルの違いしかありません。そして、LDLコレステロールは数値そのものは心血管疾患リスクにはならないことを考えれば、全粒穀物摂取は何の意味もないと言えます。
空腹時血糖値は0.54mg/dLしか下がりませんし、HbA1cも0.03%低下、インスリンは変化なく、インスリン抵抗性の指標HOMA-IRは0.08しか下がりません。
収縮期血圧の低下も0.82mmHgです。体重は0.2kg減、腹囲は0.22cm減、体脂肪率は変化なしです。
炎症を示すCRPは0.31mg/L減、IL-6は0.12pg/mL減、TNF-αは変化なしでした。
どれもショボい、誤差範囲としか言えないレベルの変化でしかありませんね。1日の全粒穀物摂取量の全範囲(乾燥重量で0~220g/日)で見てみましょう。
上の図は、体重、腹囲、体脂肪、有害事象です。臨床的に意味のあるような変化はありません。
上の図は空腹時血糖、HbA1c、インスリン、HOMA-IRです。これも全粒穀物摂取量がどれだけであっても、違いはありません。
上の図は中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールですが、わずかに低下する摂取量もありますが、心血管疾患リスクに対する意味はないでしょう。
上の図は血圧です。これも臨床的に何の意味もありません。
上の図はCRP、IL-6、TNF-αです。これも意味はありませんね。逆に有意差はなくても、全粒穀物が非常に多くなると、CRPが増加する人もいます。
この研究の結論では、1日あたり約60~100g(乾燥重量、生重量で約115~190g、または4~6食分)の摂取が、複数の心血管リスク因子の改善と関連している可能性を示唆していると言っていますが、こんなわずかな違いで、リスクが変化するとは思えません。
心血管疾患が糖質過剰摂取によるものだと思っています。精製炭水化物を全粒穀物に交換しても利益はほとんどありません。
いずれにしても、薬の効果と同様に、針小棒大に効果を大げさに示すのは、医学の論文では通常のことなんですね。健康に良いもの、疾患リスクを下げると言われているものの本当の効果は、実は非常にショボい効果しかないことが多いと言えます。
足し算の前に、身体に悪いものを引き算しないと健康にはなれないでしょう。
「Whole-grain consumption and cardiometabolic risk: a meta-analysis of randomized trials」
「全粒穀物の摂取と心血管代謝リスク:ランダム化比較試験のメタ分析」(原文はここ)





いわゆる「茶色い炭水化物」(今回の全粒穀物や全粒粉パン、玄米、レジスタントスターチ??)なども、
存症者がなんとか糖質を罪悪感なく食べる為の方法なのだと思います。
ただ人体ではそんな思惑やイメージとは無関係に血糖値スパイクが生じるのでしょう。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
玄米を食べていても糖尿病や心血管疾患になる方は多いでしょう。