慢性腎臓病の血圧と死亡率の関係

高血圧は腎臓に有害と考えられているために、慢性腎臓病の人は血圧を下げられています。しかし、それによって患者は本当に利益を得ているのでしょうか?

今回の研究では、透析を必要としない慢性腎臓病(CKD)患者の死亡率と血圧の関連を評価しました。対象はアメリカの退役軍人の病院の研究なので、ほとんどが男性で、CKDを患う退役軍人651,749人です。平均年齢73.8歳で、平均推定 GFR (eGFR) は 50.4 ml/min/1.73m 2でした。追跡期間の中央値5.8年の間に、合計238,640人の患者が死亡しました。(図は原文より、図も原文より改変)

上の図は、収縮期血圧(左)および拡張期血圧(右)と死亡リスクの関連を示しています。収縮期血圧を見ると、明らかにU字の関連性があるのがわかります。もっともリスクが低いのは、収縮期血圧が約140~160 mmHg、拡張期血圧が約80~90 mmHgの場合でした。

モデル HR(95%信頼区間)
収縮期血圧が120mmHg未満かつ
拡張期血圧が80mmHg未満の患者
収縮期血圧が120~139mmHgまたは拡張期血圧が80~89mmHgの患者 収縮期血圧が140~159mmHg
または拡張期血圧が90~99mmHgの患者
収縮期血圧が160mmHg以上または拡張期血圧が100mmHg以上の患者
5 1.42 (1.41–1.43) 1.00 0.95 (0.94–0.96) 1.05 (1.03–1.07)

上の表は、高血圧カテゴリーに関連する全原因死亡率のリスクです。収縮期血圧が140~159mmHg
または拡張期血圧が90~99mmHgの患者が最も死亡リスクが低く、収縮期血圧が120~139mmHgまたは拡張期血圧が80~89mmHgの患者よりも低いのがわかります。つまり正常よりも高い血圧の方が死亡率が低くなるのです。

最も死亡リスクが高いのは、収縮期血圧が120mmHg未満かつ拡張期血圧が80mmHg未満の患者で、1.42倍でした。

収縮期血圧/拡張期血圧の組み合わせで考えると、血圧値が130~159/70~89mmHgの患者が最も死亡率が低くなります。

動脈硬化が進むほど、重要な臓器への血流維持には、それなりに高い血圧が必要です。

腎機能が悪いのに、しっかりと血圧を下げられている患者は多いでしょう。それによりさらに腎機能が下がっている可能性もあります。さらに死亡リスクが高まっている可能性もあります。

あなたの血圧は大丈夫でしょうか?

「Blood pressure and mortality in U.S. veterans with chronic kidney disease: a cohort study」

「慢性腎臓病を患う米国退役軍人の血圧と死亡率」(原文はここ)

2 thoughts on “慢性腎臓病の血圧と死亡率の関係”

  1. 緊急を要する場合もあるのでしょうが、
    血圧にしても、コレステロールや高血糖等も、恒常的に薬で数値を下げる利益があるのでしょうか?製薬会社以外に。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      医療もビジネスですから、一番は企業の利益です。
      利益を増やすためには顧客を増やすことが重要です。

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