AIが非常に浸透してきて、糖尿病の食事管理に対しても、AI料理アプリがあるそうです。そして、こんな記事が出ていました。
「血糖改善にAI料理アプリが有望⁉ 利用が週1増でHbA1cが0.09ポイント低下」(ここ参照)
どうやら、自治医科大学と株式会社おいしい健康がやった研究みたいです。(ここも参照、下の図はここより)
上の図のように、今回の研究は、参加者募集からデータ収集までを完全オンラインで実施し、医療者などによる直接支援を伴わない形で行われた12週間の観察研究です。AI料理アプリの使用頻度は自由です。結果はどうなったでしょう?
上の図のように、12週間後、HbA1cデータがそろった24人でHbA1cがベースライン6.40%から12週後6.12%へと0.28ポイント低下しました。しかも、ベースラインHbA1cが6.5 %以上の10人では、HbA1cは7.56%から7.07%へと0.49も減少しました。素晴らしい(?)効果ですね。
BMIは65人の分析で、23.47から23.28へと、0.20も有意に低下しました。ベースラインのBMIが25以上だった21人では、BMIの平均値は29.16から28.85へと、なんと(!)0.31も低下しました。
さらに、アプリ利用が週1日増えるごとに、HbA1cは0.09も有意に低下することが示されました。さすがAIですね!
12週間後の食習慣の変化は全て有意ではありませんが、麺スープを頻繁に飲むと回答した参加者の数は減少傾向にあり、家庭料理の塩分がやや減ったと回答した参加者の数は増加する傾向にありました。同様に、醤油やソースの使用量が減ったと回答した参加者の割合は増加する傾向があり、その使用頻度が非常に低いと回答した参加者の割合も増加する傾向がありました。外食時にご飯を少し多く食べたと回答した参加者の割合は減少する傾向があり、外食時に副菜の量が多いと回答した参加者の割合も減少する傾向がありました。
また、食行動にも改善の傾向が見られました。参加者のうち、食べる速度がやや遅くなった、または通常通りになったと回答した人が増え、脂身の多い肉をあまり食べなくなったと回答した人の割合も増加傾向にありました。さらに、参加者の80%以上が、このアプリケーションの使用によって食習慣が多少なりとも、あるいは非常に改善されたと回答しました。
素晴らしいアプリができたもんですね。是非皆さん使ってください……なんちゃって!
アホらしいですね。さて、この研究のアプリは「株式会社おいしい健康」のものです。おいしい健康のサイトを見てみましょう。(ここ参照)その中で「管理栄養士監修 2型糖尿病のある方におすすめの1週間献立」を見ると、素晴らしい献立が並んでいます。
1日目から順に、一食の糖質量を書いていくと、75.1 g、73.3 g、71.2 g、69.1 g、67.2 g、69.7 g、67.7 gです。一食70g前後の糖質を摂取させるのが基本のようです。3食食べれば200gを超えます。
「筑波大学とおいしい健康が共同開発した1日1600kcal目安の朝昼夜の献立」には1日3食分の献立が示されていますが、1日の糖質量は200g前後です。
まあ、このようなレシピが並んでいるので、AIのアプリのデータも、このような食事からのものでしょうから、効果は期待できないのがよくわかります。悪く言えば、患者を患者のままにするための料理を提供しているとも言えます。1日200gの糖質量なんていりませんし、まあ、普段糖質過剰摂取の人がこれだけで食事が済むとは思えません。
12週間のHbA1c低下効果は多くても0.5%、BMI低下効果は0.31です。健康というレベルには全く達しません。そして、恐らく、アプリの効果はこのレベルで頭打ちでしょう。しかも、塩分を減らすとか、肉の脂身を減らすとか、有害な効果まであります。
そして、アプリで料理をするのは最初のうちだけ。しばらくすると、こんなアプリは誰も使わなくなるでしょう。
糖尿病は糖質過剰摂取で起きるのです。
難しく考えず、糖質量、加工食品を減らせばいいのです。糖質、超加工したもの、質の悪い油を避ければ、後は好きなものを食べていいのです。もちろんタンパク質は多めで。
「Use of a Culturally and Personally Tailored Cooking Application is Associated with Improved Glycemic Control in Type 2 Diabetes Mellitus」
「文化的背景や個人の好みに合わせた調理アプリの使用は、2型糖尿病患者の血糖コントロールの改善と関連している」(原文はここ)

