腎機能が低下した高齢者ではタンパク質摂取が腎臓を保護する

タンパク質の摂りすぎは腎臓に負担をかけるといまだに考えている人がいます。

今回の研究では、日本人高齢者を対象としています。69~71歳の1,000人、79~81歳の973人、89~91歳の272人で、その中から1160人を分析しました。平均追跡期間は2.53年です。ただし、いつものようにタンパク質摂取量は食事アンケートという自己申告の質の低いデータを使用しているので、結果の質もあまりよくありませんが、見ていきましょう。

下の表のように体重1kgあたりのタンパク質摂取量で4つのグループに分けました。(図は原文より、表は原文より改変)

合計 Q1 Q2 Q3 Q4
タンパク質摂取量(g/kg体重/日) 1.50 ± 0.43 1.01 ± 0.16 1.32 ± 0.07 1.59 ± 0.08 2.07 ± 0.30

全体の平均値は1日あたり1.5g/kg体重でした。最も少ないグループでは1.01g/kg体重、最も多いグループでは、2.07g/kg体重です。当然かもしれませんが、総タンパク質摂取量が多いグループほど、動物性タンパク質の摂取量が多くなっていました。

下の表はベースラインと追跡したフォローアップでのeGFRと体重の変化です。
合計 Q1 Q2 Q3 Q4
ベースライン
eGFR 69.1 ± 14.4 68.5 ± 13.5 68.4 ± 15.4 70.0 ± 13.0 69.7 ± 15.6
体重 55.7 ± 9.7 64.8 ± 8.4 58.1 ± 7.2 52.8 ± 6.4 47.1 ± 6.7
フォローアップ
eGFR 64.6 ± 14.3 64.1 ± 14.5 63.7 ± 14.3 65.4 ± 13.0 65.0 ± 15.1
体重 55.4 ± 10.0 63.7 ± 9.2 56.9 ± 7.8 52.3 ± 7.5 47.8 ± 7.4
年間変化率
eGFR −1.89 ± 2.98 −1.78 ± 2.81 −1.90 ± 2.94 −1.96 ± 3.11 −1.93 ± 3.07
体重 −0.67 ± 4.93 −1.06 ± 5.25 −1.26 ± 4.93 −0.44 ± 4.71 0.16 ± 4.71
年間体重減少4.5kg
21 (100%) 10 (47.6%) 9(42.9%) 1 (4.8%) 1 (4.8%)

ベースラインのeGFRはグループでの違いはありません。しかし、興味深いことに、タンパク質を摂取する量が増えると元の体重は低くなっています。恐らく、タンパク質の摂取量が少ないグループは、その分糖質を摂ってしまっているので、太ってしまうのでしょう。

フォローアップでのeGFRはグループ間で差はありません。体重はタンパク質摂取量が多いほど維持できています。逆に高齢者の体重減少は、筋肉の減少が大きいかもしれませんので、あまりいい傾向ではないでしょう。フレイルの診断基準に含まれている、年間の4.5kg以上の体重減少、に該当する割合は最もタンパク質の少ない群で47.6%、その次に少ない群で42.9%でした、3番目に少ない群と最も多い群では、それぞれ1人(4.8%)に過ぎませんでした。

上の図のように、ベースラインのeGFRが60以上の群では、総タンパク質摂取量と腎機能変化量との間に有意な関連が認められませんでしたが、ベースラインのeGFRが60未満の群では、総タンパク質摂取量および動物性タンパク質摂取量と腎機能変化量に正の相関が認められました。植物性タンパク質は関連はありませんでした。つまり、タンパク質、動物性タンパク質を多く摂ることによる腎保護作用が示唆されたのです。

全ての人にタンパク質、それも動物性タンパク質は重要でしょう。そして、高齢者こそ肉をたくさん食べるべきです。野菜がヘルシーだと思わされている人も多いでしょう。しかし、人間にとって必要な栄養はタンパク質と脂質であり、動物の肉は、ほとんどの栄養素を満たしています。特に赤肉は重要な食材です。

私は今日も肉をたっぷり食べます。

「Association between protein intake and changes in renal function among Japanese community-dwelling older people: The SONIC study」

「日本人地域在住高齢者におけるタンパク質摂取量と腎機能変化との関連:SONIC研究」(原文はここ)

2 thoughts on “腎機能が低下した高齢者ではタンパク質摂取が腎臓を保護する”

  1. 「タンパク質の摂りすぎは腎臓に負担をかけるといまだに考えている人がいます。」
    他にも高血圧減塩、三食バランスよく、
    脂肪摂取が肥満原因、コレステロールは薬を使ってでもとにかく低く、
    等の「常識」は根強いです。

    でも何故か、これらの「常識」を
    遵守したところで健康が
    保障されないのが不思議です。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      医療の仕組みを考えれば、いくつかのことは、医療が推奨することの反対をすれば健康になれるはずです。

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