胃食道逆流症と耳鳴りの関連性

耳鳴りの正確なメカニズムは不明であると考えられています。さて、胃食道逆流症(GERD)と耳鳴りって関係があるのでしょうか?実はあるようです。

今回の研究では、669,159人を対象に、胃食道逆流と耳鳴りの関連性を調べました。(図は原文より)

追跡期間中、GERD群の60,253人と非GERD群の11,367人が耳鳴りと診断されました。上の耳鳴りの累積発生率の図のように、GERD群で有意に耳鳴りが多くなり、GERD群の耳鳴りのリスクは非GERD群の6.65倍でした。

次に、GERD患者におけるPPI(プロトンポンプ阻害薬)と耳鳴り発症との関連性を分析しました。132,519人の患者がPPI群に含まれ、502,521人の患者が非PPI群に含まれました。追跡期間中、PPI曝露時に15,333件の耳鳴りが発生し、PPI非曝露時に34,767件が発生しました。

 

上の図はPPI使用の有無による耳鳴りの累積発生率です。明らかにPPI使用者の方が耳鳴りが多いですね。GERD患者のPPI使用によるリスク増加は1.35倍でした。

では、なぜGERDで耳鳴りが多くなるのでしょうか?まずは胃酸の逆流が耳に有害な作用をもたらすのでしょう。咽頭や喉頭に対する、逆流による胃酸への慢性的な曝露は、耳管を介して中耳と内耳に影響を及ぼす可能性があります。

また、GERDは糖質過剰症候群であり、糖質制限をすると多くの人で症状が改善します。また耳鳴りも恐らく糖質過剰症候群でしょう。高血糖や高インスリン血症は内耳の神経、血流などに大きな影響を与えるでしょう。そうすると、GERDも耳鳴りも同じ原因である可能性が高いのです。

またさらに、GERDではPPIを使用する頻度が高いでしょう。以前の記事「PPI(プロトンポンプ阻害薬)とめまい」などで書いたように、PPIは内耳に大きな問題を引き起こす可能性があります。当然PPIで耳鳴りが起きても不思議ではありません。

実際に2型糖尿病患者におけるPPIを使用したときの耳鳴りのリスクを評価した研究(ここ参照)では、PPI使用者は耳鳴りのリスクが1.56倍になりました。

胃食道逆流にも耳鳴りにもまずは糖質制限ですね。

「Association between gastroesophageal reflux disease and tinnitus in a nationwide population-based cohort study」

「全国規模の人口ベースのコホート研究における胃食道逆流症と耳鳴りの関連性」(原文はここ

2 thoughts on “胃食道逆流症と耳鳴りの関連性

  1. 簡単で効果抜群、継続可能、
    特別費用もかからず
    (更に医療費も軽減され経済的)、
    等々驚く程万能な糖質制限。

    突込みどころが無いが故に、
    反証にも値しない反証を
    声高に掲げる輩が絶えません。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      糖質制限は医療にとっては不都合な存在ですからね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です