以前の記事「降圧剤の処方中止は心臓発作や脳卒中の入院と関連しない」でも書いたように、日本高血圧学会は高齢者の血圧をもっと下げようとしています。(記事はここ)
動脈硬化の進んだ高齢者の血圧を下げすぎると危険です。
今回の研究では、収縮期血圧と降圧薬の服用回数に応じて、80歳を超える施設入所者における全原因死亡率を評価しました。フレイルの男女計1127人(平均87.6歳、女性78.1%)が対象です。収縮期血圧が130mmHg未満で2剤以上の降圧薬の服用を受けている患者を、他のすべての参加者と比較しました。
上の図のBのように、収縮期血圧が130未満でかつ2剤以上の降圧薬を飲んでいる場合の死亡リスクは2.09倍でした。
上の図は収縮期血圧が130未満でかつ2剤以上の降圧薬を飲んでいる人と、他の参加者の生存率の比較です。2年間では10%以上も開きがあります。
上の図は死亡原因です。他の患者と比較して、収縮期血圧が130未満でかつ2剤以上の降圧薬を飲んでいる人は、心血管疾患による死亡と心血管疾患以外の死亡の両方が増加しました。具多的には、脳卒中、心不全、すべての心血管疾患、がん、すべての心血管疾患以外の死亡が有意に増加しました。日本高血圧学会は高齢者で血圧を下げると脳卒中予防になると言っていますが、本当でしょうか?その根拠となる研究はどのような研究なのかわかりません。ガイドラインが出たら確認してみたいと思いますが、まさか利益相反のある研究ではないでしょうね…
いずれにしても、高齢者で安易に血圧を下げるのは危険です。大げさに言えば、死亡率が2倍以上になるような医療行為は〇人と何が違うのでしょうか?
「Treatment With Multiple Blood Pressure Medications, Achieved Blood Pressure, and Mortality in Older Nursing Home Residents: The PARTAGE Study」
「高齢者介護施設入居者における複数の血圧降下薬による治療、到達血圧、および死亡率
PARTAGE研究」(原文はここ)