GLP-1受容体作動薬を使ったダイエットを行っているクリニックはボロ儲けでしょうね。体重は減少するかもしれませんが、痩せた状態を維持するには薬がやめられません。まさに薬漬け状態、薬物依存状態です。
それにしても、薬を使って体重減少を行おうとする人は、薬を止めたら元に戻ってしまうことは知っているのでしょうか?
不健康な食事をして、高額な費用を払ってリスクのある薬を使用し続けるなんて本末転倒。特に若い人がこの薬に手を出していますが、将来どうするのでしょうか?何らかの規制が必要なのではないでしょうか?
今回の研究では、対象集団において少なくとも4週間実施され、投与中止後4週間以上追跡された様々な抗肥満薬のランダム化比較試験11件を対象としました。そのうちGLP-1薬に関する研究が6件、GLP-1およびGIPデュアル受容体作動薬に関する研究が1件、オルリスタットに関する研究が1件です。(図は原文より)
上の図は、対照群と比較した、抗肥満薬中止後の全体的な体重とBMIの推移です。 4週目では、対照群と比較して、治療により依然として体重減少が見られましたが、8、12、20、26、52週目には有意な体重増加を認めました。治療中止後8週間で体重が大幅に増加し、治療中止後12週間~20週間に上昇傾向を示し、その後体重増加が徐々に安定したことがわかります。ベースラインと比較して、抗肥満薬中止後52週間体重減少が持続しました。
上の図は、それぞれの研究の抗肥満薬中止後の推移です。多くの研究は20週以内に体重がかなり増加してきているのがわかります。
上の2つの図は、GLP-1薬および非GLP-1薬のグループにおける治療中止52週間後の体重変化です。GLP-1薬は中止後しばらくは体重減少が認められていますが、その後急速に増加していきます。非GLP-1薬はやめた途端に急増しています。
確かにベースラインと比較すると、抗肥満薬中止後52週の体重は減少しているかもしれません。しかし、決して喜べるものではありません。以前の記事「糖尿病においてGLP-1受容体作動薬やSGLT-2阻害薬で起こる筋肉量の減少」でも書いたように、GLP-1薬で体重減少が5.7kgあったうちの総脂肪量減少は3.41kgで、内臓脂肪量はほとんど減少しておらず、筋肉量が2.26kg、体重減少の約40%も筋肉減少で起きていたのです。「減量後のリバウンドでは筋肉が減り、脂肪が増える」で書いたように、リバウンドは脂肪が増加して体重が増えるだけで、筋肉量が戻ってくれるわけではありません。
「効果を維持するためにはやめることができないGLP-1受容体作動薬」で書いたように、効果を維持するためには薬がやめられません。
現代では、急に太る病気が流行っているわけではありません。ただ単に食事の間違いで、代謝異常が起きているのです。食事を改善すれば、体重は自然と人間のメカニズムに合った初期設定に戻るでしょう。薬を使わなければならないのであれば、代謝異常は起きたまま隠されてしまうのです。
薬、医療にどっぷり漬かってでも、食事を変更したくないのであれば、その分のリスクを覚悟しなければならないでしょう。安易に薬に手を出すべきではありません。
肥満は糖質過剰症候群です。
「Trajectory of the body weight after drug discontinuation in the treatment of anti-obesity medications」
「抗肥満薬治療における投薬中止後の体重の推移」(原文はここ)