急性心筋梗塞でLDLコレステロールが低いと退院後の長期の心血管イベントが増加する

LDLコレステロールは低ければ低いほど良い、って思っている人もいるかもしれませんが、ウソであることは様々な研究でわかっています。でも、それを認めたら、専門家たちは大変なことになるので、ずっと変わらず、LDLコレステロールは悪玉と煽り続けています。

今回の研究では、急性心筋梗塞患者10,719人のうち、経皮的冠動脈形成術が成功した後の入院期間中に死亡、心筋梗塞の再発、脳卒中を起こさなかった患者5,532人(平均年齢62.1歳)が対象です。ベースラインでのLDLコレステロール値と、5年時点での主要な心血管イベント(非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞、心血管死の複合)と心血管疾患による死亡を分析しました。5年時点で446人の心血管死(8.1%)と695人の主要な心血管イベント(12.6%)が発生しました。(図は原文より)

上の図は、LDLコレステロール値と(A)心血管疾患死亡率、(B)主要な心血管イベントのリスクを示しています。一目瞭然、LDLコレステロール値が低い方が心血管疾患死亡率も心血管イベントリスクも高いですね。

ベースラインのLDLコレステロール値の平均は117.9mg/dLでした。ベースラインのLDLコレステロールが100mg/dLから低下するにつれて、死亡率や心血管イベントのリスクは急激に増加しました。

上の図は、LDLコレステロール値により3つのグループに分類され、LDLコレステロールが70 mg/dL未満、LDLコレステロールが70~99 mg/dL、LDLコレステロールが100mg/dL以上に分けたときの、心血管疾患死亡と主要な心血管イベント累積の発生率です。臨床転帰は最長5年間(中央値1825日)評価されました。5,532人のうち、5年時点で心血管疾患による死亡は446人、心筋梗塞は198人、脳血管発作は173人、主要な心血管イベントは695例認められました。

心血管死については、LDLコレステロール100mg/dL以上の3759人中237人(6.3%)、LDLコレステロール70–99mg/dLの1291人中123人(9.5%)、LDLコレステロール<70mg/dLの482人中86人 (17.8%)でした。主要な心血管イベントも同様に、LDLコレステロール100mg/dL以上の11.1%、LDLコレステロール70–99mg/dLの13.3%、LDLコレステロール<70mg/dLの22.2%でした。

上の図は、LDLコレステロール100 mg/dL以上と比較したときの発生率とリスクを示しています。、LDLコレステロール70mg/dL未満は、5年時点での心血管死リスクは1.68倍、主要な心血管イベントリスクは1.37倍でした。

LDLコレステロールが低い方が本当に健康的であるのであれば、急性心筋梗塞時のLDLコレステロールが低い方が、その後の死亡率、心血管イベント発生などの予後も良さそうですよね?でも今回の記事と同様に、以前の記事「LDLコレステロール高い方が心筋梗塞後の死亡率が低いのですが」「急性冠症候群のLDLコレステロールは低い方が死亡リスクが高まる」「心筋梗塞時のLDLコレステロール値の低下は心血管イベントの増加と関連している」でも書いたように、実際には反対の結果が示されている研究がいくつもあります。

これでもまだ、LDLコレステロールが低い方が良いと思いますか?

心血管疾患は糖質過剰症候群です。まずは糖質制限をしましょう。

「Impact of Low Baseline Low-Density Lipoprotein Cholesterol on Long-Term Postdischarge Cardiovascular Outcomes in Patients With Acute Myocardial Infarction」

「急性心筋梗塞患者における低ベースラインLDLコレステロールの退院後長期心血管アウトカムへの影響」(原文はここ

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