LDLコレステロール高い方が心筋梗塞後の死亡率が低いのですが・・・

LDLコレステロールが低い方が心臓に良いに決まっている、と思い込んでいる人もいるでしょう。低ければ低いほど心臓を守ってくれると信じている人がいるでしょう。この洗脳は非常に深く深刻です。

今回の研究では、急性心筋梗塞または急性非代償性心不全の患者13,860人が対象です。高脂血症(HLP)は、疾患の初発での入院中または過去 6 か月以内に臨床的に測定されたLDLコレステロールレベルが100mg/dL以上と定義されました。(図は原文より)

上の図は上が急性心筋梗塞、下が急性非代償性心不全の死亡率です。左側が高脂血症があるかどうか、右側がLDLコレステロールの値によって4つのグループに分けたときです。高脂血症がある方が死亡率が低く、LDLコレステロールも高い方が死亡率が低いことがわかります。つまり低コレステロールの方が死亡しやすいのです。

上の図は死亡リスク比です。Aが急性心筋梗塞後の患者、Bが急性非代償性心不全の患者です。高脂血症(HLP)があると、HLPが無い人と比較して死亡リスクはそれぞれ0.76倍、0.8倍になりました。

さらにがん、慢性腎臓病、COPD、糖尿病、心不全、冠動脈疾患、脳卒中のある人では、当然死亡リスクが高くなっていますが、それらとHLPが両方ある方が死亡リスクが低下しているのです。つまり、HLPはあなたを守ってくれているのです。

さらに興味深いことに急性心筋梗塞後の死亡リスクは高血圧(HTN)がある方が8%低く、高血圧+HLPだと32%も低下するのです。高血圧と高脂血症が心筋梗塞後の命を守ってくれているのです。まあ、高血圧にも程度があるでしょうけど。

上の図は上が急性心筋梗塞後、下が急性非代償性心不全で、HLPがある場合の急性心筋梗塞後30日以内の死亡率と2年以上の死亡率、心不全の2年以上の死亡率のメタアナリシスです。急性心筋梗塞後30日以内の死亡率はHLPがあると26%低下し、2年以上でも24%低下し、急性非代償性心不全の2年以上でも33%低下しました。

我々にとって数値の見た目が良いことが重要ではありません。健康であり、どんな死因であれ、死なないことが重要でしょう。

LDLコレステロールは多くの研究で高い方が長生きであったり、様々な疾患リスクを低下させることが示されているにも関わらず、医師や製薬会社の力で、高コレステロールは不健康の象徴のようにされています。そして、個人差があるにも関わらずLDLコレステロールはどんな人でも140以上は異常値として、すぐにスタチンの処方の対象となります。スタチンは様々な副作用が確認されているのですが、ほとんどの医師はスルーして、しかもそれを飲まないと死んでしまうかのように脅す医師さえ珍しくないでしょう。

心血管疾患は糖質過剰症候群です。まずは糖質制限をしましょう。

 

「Association between hyperlipidemia and mortality after incident acute myocardial infarction or acute decompensated heart failure: a propensity score matched cohort study and a meta-analysis」

「急性心筋梗塞または急性非代償性心不全の発生後の高脂血症と死亡率との関連:傾向スコアが一致したコホート研究およびメタ分析」(原文はここ

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