糖質制限を否定する記事がまた出てきました

最近プレジデントオンラインに江部先生の記事がいくつか出ていましたね。「イチゴでも桃でもない…糖尿病の医師が断言「糖質が1%未満だから糖質制限中でも食べていい唯一の果物」」「軽度の高血糖でもがんリスクを高める…日本人の死因第一位「がん」のリスクを確実に低下させる”食事の種類”

しかし、それとは真逆の糖質制限を否定する記事も出ています。「炊き立てご飯より「冷や飯」のほうが健康に良い…栄養学者が実践している「お米のポテンシャルを高める食べ方」

雑誌社としてのポリシーがないのか、逆に中立的立場なので、どちらの意見の記事も載せるということなのでしょうか?

さて、この糖質制限を否定する記事の内容を見てみましょう。栄養学部の教授の記事です。ウソの部分には赤文字にしています。

ご飯を抜くと、からだに何が起きる?
「ご飯を減らす、あるいはまったく食べないという糖質制限ブームがあります。当然量を減らせば摂取カロリーが減るので、体重は落ちます。しかし、人が活動するうえでエネルギーのもとになる炭水化物を摂らない、あるいは減らすことは、弊害を生むだけなのです

→この方は糖質制限では摂取カロリーが減るから体重が落ちると思い込んでいます。もちろん摂取エネルギーが減る人もいるかもしれませんが、摂取エネルギーが同じでも体重が減少します。糖質制限ではインスリン分泌が少ないためですね。また、人が活動するエネルギーは炭水化物がもとになると思い込んでいます。脂質(脂肪)およびケトン体はエネルギー源であることは知らないのでしょうかね?

笠岡教授は、開口一番、糖質制限に待ったをかけた。

弊害は、からだにさまざまな不調や機能低下として現れる。頭がボーっとして回らない、集中力が切れやすい、だるさや疲れを感じやすい、寝つきが悪い、さらには便秘や頭痛などの症状にも悩まされることになる。

→もう文章全体がウソです。糖質制限をすると、頭がさえ、集中力も持続します。食後の眠気も少なくなります。だるさも疲れも増加するわけではありません。私は糖質制限をして、朝に空腹のまま20~30kmランニングが可能ですよ。そして、以前の記事糖質制限と睡眠」「糖質制限は睡眠の質を改善する」「糖質制限は睡眠を改善する」で書いたように、糖質制限は睡眠の質を良くします。

また、「結構久しぶりの糖質制限否定の記事だけど その7 副作用」で書いたように、一時的に便秘が起きることもありますが、水分を十分に摂ったり、腸内細菌が変化すると通常の排便となるでしょう。さらに頭痛は糖質制限を始めたごく初期に起きることはありますが、ほとんどが水分や塩分の摂取不足でしょう。

からだのエネルギー不足を補うために、甘い菓子やスナック菓子の糖分を欲するようになり、かえって体重が増えるという負のループに陥る可能性もある。

→そもそもからだのエネルギー不足は起きません。エネルギーに溢れています。甘いお菓子などの糖分を欲するかどうかは、糖質依存が強いかどうかで違うでしょう。しかし、糖質制限を続けていれば依存から抜け出て、甘いものを欲することは少なくなるでしょう。また、以前の記事糖質過剰摂取で空腹になりやすく、糖質制限で空腹になりにくい理由」で書いたように糖質制限では空腹になりにくいのです。糖質制限を続けていれば、「かえって体重が増えるという負のループ」になることは全くないでしょう。

60年前の日本人は1日2合食べていた
からだが活動するにはエネルギー源となる糖質が不可欠なのです。特に、摂取するエネルギーの約20%を消費するのが脳です。エネルギー不足の状態になると、脳が活動しなくなる。エネルギー不足を補おうと、まずは筋肉のタンパク質からエネルギーを補給するため、体重とともに全身の筋肉量もどんどん減っていく。また、骨も形成されにくくなるから、女性の場合は骨粗しょう症にもなりやすい。

→先ほども書いたように、糖質だけが体のエネルギー源ではありませんし、初期設定は脂肪とケトン体がエネルギー源です。糖質制限でエネルギー不足にはならないし、脳が活動しなくなるなんて起こりえません。ケトン体が脳のエネルギー源ですから。そうでなければ数日絶食したら、みんな死んでしまいます。

また、糖質制限ではタンパク質を十分に摂取するために、筋肉は減少しません。(「糖質制限で筋肉は減らない その1 糖質制限、高タンパク高脂質食の糖新生」「その2 アスリートの場合」参照)骨に悪影響もありません。(「ケトン食は骨の健康に悪影響を与えるか?」「糖質制限と骨粗しょう症」参照)

やせた後に通常の食事に戻ると、エネルギーが足りない状態なので、入ってきたエネルギーを脂肪として蓄えようとして、今度は脂肪が増えていく。いわゆるリバウンドです。炭水化物を制限する糖質制限はこうした悪循環を生むのです

→どんな食事で痩せたとしても、通常の食事に戻せばリバウンドするに決まっています。カロリー制限で痩せたとしても、元に食事を戻せば、体は元に戻るか、さらに体重が増加します。当たり前のことであり、糖質制限だけの話ではありません。

糖質制限ブームに押された米離れの現状に、笠岡教授は「ご飯などの炭水化物は“ダイエット・健康の大敵”と誤解している人が多いのが気になる」と言う。

その傾向が顕著に表れているのが、米の消費量だ。パンやパスタといった主食の選択肢が増えていることなども関連しているだろうが、1962年のピーク時の1人1日約2合(324g)から半減している。その結果、1日のエネルギー摂取量が戦後直後のレベルまで減少していると、笠岡教授は話す。

現在の日本人は、炭水化物不足による危機的なエネルギー不足に陥っているのです。脳もからだもうまく活動できないレベルです

1960年代は炭水化物の割合が70%を超えていたと思われる時代です。さらに平均寿命も現在よりも15年ほど短かった時代です。その時代と比較する意味が良くわかりません。もしかしたら米の摂取量が減ったから長生きになったのかもしれません。

米の消費量が減少しているのは本当であり、1962年の半分になっているかもしれませんが、恐らく戦後の貧しい日本の食事の習慣がまだ残っていたから、米の消費量が多かっただけであり、1日のエネルギー摂取量の減少は、本当に起きているかどうかは微妙でしょう。間食や糖質たっぷりのドリンクなどを飲んでいる現代のエネルギー摂取量が本当に少ないのでしょうか?

米の消費量が減っても、他の食品でエネルギー摂取量は十分に保てますし、そもそもが本当に必要な摂取エネルギー量はわかりません。

「現在の日本人は、炭水化物不足による危機的なエネルギー不足に陥っているのです。脳もからだもうまく活動できないレベルです」というのは、凄い妄想ですね。脳もからだもうまく活動できないレベルなら、人がバタバタと倒れそうですね。

炭水化物を食べない人は長生きできない
また、炭水化物は病気のリスクに影響することが分かってきた。

アメリカの疫学研究によると、炭水化物の摂取量が総カロリーの40%に達しない人たちは、死亡リスクが高まり寿命が短縮するという。炭水化物の摂取を大幅に減らすと、動脈硬化のリスクが高まり、心臓病による死亡率が50%近くも増加。さらに、ガンによる死亡率の増加、脳梗塞への影響もあると報告している。

→このような研究があること自体は事実でしょう。この研究はどの研究かは知りませんが、こういった研究のほとんどは食事アンケートによる質の低いデータの研究でしかありません。(例えば「糖質を制限すると寿命が縮まる? 冗談のような研究」など参照)また、糖質制限の研究が有害という研究のほとんどは糖質制限になっていないのも問題でしょう。

名古屋大学大学院教授らの研究グループによる追跡調査でも、日本人の炭水化物の摂取量と死亡リスクとの関連を疫学調査した結果、男性では炭水化物が極端に少ない人、女性では炭水化物が極端に多い人で死亡リスクが高くなる傾向があると発表している。

名古屋大学大学の追跡調査というのは、これのことでしょうか?この研究の「炭水化物が極端に少ない」というのは炭水化物40%未満です。全く糖質制限とはかけ離れています。

「からだに良い糖質」と「悪い糖質」がある
笠岡教授が懸念している「炭水化物をめぐる誤解」とは何なのか。

「ご飯やパン、麺類に含まれる糖質は、砂糖の“糖”の文字が入っているため、からだに悪いものと思っている人もいるかもしれませんが、むしろ、からだに“絶対に必要”なものです。毎日適量を食べなければ、人は健康にはなれないのです

→糖質は“絶対に必要”だそうです。古典栄養学の典型的な考えですね。これが本当であれば、糖質制限をしている我々は、全員が不健康であるはずです。

ご飯の糖質は、砂糖や果物、酒類とは構造上似て非なるものだ。

「お菓子やジュースに添加されている砂糖は、糖質の中で、摂取後すぐにからだに消化・吸収される『二糖類』に分類されます。血糖値が急激に上昇しやすく、肥満や糖尿病につながります。一方、ご飯の糖質はでんぷんと呼ばれ、ゆっくり時間をかけて消化・吸収される『多糖類』です。血糖値が緩やかに上昇するので、からだには負担が少ないのです

→この方はご自身でご飯を食べた後に血糖値を測ったことがないようですね。穏やかに血糖値が上昇する?多くの人は血糖値スパイクを起こしますよ。

米や麺類などの炭水化物は糖質ばかりが注目されるが、もう一つ忘れてはいけない成分が「食物繊維」だ。そもそも炭水化物は、消化しやすい糖質と消化しにくい食物繊維で構成されている。

食物繊維は、大腸まで届いて便通を良くしたり、腸内環境を整える働きを持つ。健康志向が高い人ほど、食物繊維を摂ろうと野菜をたくさん食べているだろう。しかし、日本人の食物繊維の摂取量は、エネルギーと同じく不足しているという。

「レタスやキャベツ、ホウレンソウといった葉物野菜の90%は水分で、ミネラルや食物繊維は残りの10%しかないのです。野菜で食物繊維を摂ろうと思うと、かなりの量を食べる必要がありますが、実はご飯なら1日2、3膳で摂ることができます」

→ごはん2膳だと食物繊維は5gぐらいしかありませんが…?

食物繊維を摂るなら、野菜よりご飯
そもそも日本人は、伝統的に野菜より米から食物繊維を摂っていた、と笠岡教授。食物繊維量のうち10%が米由来で、全品目のなかで最多だったのだが、ご飯の摂取量が減少していくのに比例して、食物繊維の摂取量も年々低下しているという。

→そもそもと言っても、そもそも日本人の昔の食事は貧相でした。その時代の食事が良かったの?また、何から食物繊維を摂るかはそこまで重要ではないでしょう。国民の健康・栄養調査から言えば、1960年代から米は半減していますが、野菜や果物の消費は大幅に増加しています。なぜそこまで米にこだわるのかよくわかりませんが、今回の記事の趣旨がお米崇拝の内容だからかもしれません。

「食物繊維の1日の摂取目安量は18~21グラム以上ですが、現在の日本人の摂取量は平均14グラム程度です」

食物繊維不足の影響が顕著に表れるのが、排便量だ。笠岡教授によると、戦前の日本人の排便量は1日約400グラムでバナナ2、3本分。現在はその半分の約200グラムで、便秘に悩む人が増えている。

前述のアメリカの疫学研究によると、1日当たりの食物繊維の摂取基準量25~29グラムを上回ると、さまざまな生活習慣病のリスクが低下すると報告されている。

→本当に必要な食物繊維の量も、本当はわかっていません。研究はやはり質の低い食事アンケートのデータを使ったものなので、その結果も信用はできません。(「日本人の食事摂取基準(2025年版)の食物繊維の摂取基準」参照)

それに私は毎日快便で、バナナ2~3本分くらいは出ます。でも1本分でも良いのではないでしょうか?肉食で快便の人も大勢いるでしょう。

生活習慣病が増えているのは、食生活の影響で腸内環境が悪化していることも原因の一つかもしれない。

→腸内環境を悪くしているのは糖質だということに気づいていないようですね。(「超悪玉腸内細菌は糖質大好き」参照)

 

目安は1日当たり「ご飯4膳」だが…
炭水化物は、摂りすぎも摂らなすぎも健康によくない。それでは、1日にどれくらい食べるのが「適量」なのか。

1日の食事によるエネルギー摂取量の割合は、炭水化物50~60%、タンパク質10~20%、脂質20~30%が基準になっている(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025年度版」)。これは性別・年齢問わず、「理想的なバランス」だという。

→栄養素の理想的なバランスというのは、実は全くわかっていません。ウソです。(「厚労省や各学会が推奨するPFCバランスは2型糖尿病ではどうなっているの?」参照)

厚生労働省の「食事バランスガイド」によると、デスクワークで運動をする習慣のない成人男性、デスクワークで散歩や軽い運動をする成人女性の場合、1日に摂るべき主食はご飯で計算すると「中盛りで4膳程度」になる。

→ご飯を4善も食べたら血糖値爆上がりですね。

 

ほとんどの内容がエビデンスもありません。

このようなウソを並べる人が、大学で栄養学を教えています。教えている内容は古典栄養学です。そして、この文章の随所に認められるように、栄養学を専門にしている人は、実際には自分自身で糖質制限をやっていないでしょう。思い込みだけで悪いものであると発言し、それを栄養士の卵たちに教えてしまっているのです。学生も教科書や先生の言うことが正しいと思って疑っていません。

まずは、自分自身で糖質を摂り、血糖値を測定してみましょう。できるなら3か月ほどでも糖質制限をしてみましょう。自分の体に起こる変化を味わってください。そうすれば、このような教授の言っていることがウソだとすぐにわかります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です