みなさんは便秘ではないでしょうか?私は快便です。以前、糖質過剰摂取時代は、便秘ではなく、ちょくちょく下痢をしていましたが、糖質制限をして、本当に良いうんこが毎日出ています。
便秘について、それほど気にしていない人もいるかもしれませんが、便秘には注意が必要です。
便秘はパーキンソン病の前駆症状、またはすでにパーキンソン病の非運動症状の可能性があります。
ある研究を見てみましょう。(ここ参照、図もここより)1971年から1974年にかけて、ホノルル心臓プログラムに参加した51歳から75歳までのパーキンソン病に罹患していない男性6790人を対象としています。
96人の男性が追跡調査開始から平均12年目にパーキンソン病を発症しました。
上の図は、排便回数が1日に1回未満の男性におけるパーキンソン病のリスクです。リスク因子を調整後、排便回数が1日1回未満の男性は、排便回数が1回の男性と比較してパーキンソン病リスクが2.7倍高く、1日2回の排便がある男性と比較して4.1倍、1日2回を超える男性と比較して4.5倍に増加しました。
つまり、排便回数の少なさが将来のパーキンソン病発症リスクの増加と関連していると考えられます。
もう一つの研究を見てみましょう。(ここ参照、図もここより)パーキンソン病、認知症、脳卒中の既往歴のない551,324人を対象としています。
便秘患者は、軽度(1年間の下剤処方が3回未満)、中等度(1年間の下剤処方が3回以上12回未満)、重度(1年間の下剤処方が12回以上)に分類されました。平均5.5年の追跡調査の後、2,336件のパーキンソン病新規症例が診断されました。
便秘のない人と比較して、便秘のある患者はパーキンソン病を発症する可能性が高くなりました。個々の便秘重症度カテゴリーで見ると、軽度で2.42倍、中等度3.10倍、重度5.76 倍でした。Time-varying analysisという解析では、軽度2.84倍、中等度5.22倍、重度10.47倍でした。便秘発症から3年以内にパーキンソン病と診断された患者を除外した後も、この関連は有意でした。
上の図は男女別、年齢別です。男性の便秘の方がパーキンソン病のリスクは高く、重度では7.43倍でした。50歳未満では中等度だけ有意な差がありました。50歳以上の重度の便秘では3.00倍のリスク増加でした。
もう一つ見てみましょう。(ここ参照、図もここより)2000~2006年の医療専門家追跡調査(HPFS)(男性33,901人)および1982~2006年の看護師健康調査(NHS)(女性93,767人)において、ベースライン時の排便頻度と将来のパーキンソン病発症リスクとの関連について分析しました。追跡調査期間はHPFSでは6年間、NHSでは24年間で、その期間中に男性のパーキンソン病新規症例(HPFS)156件と女性のパーキンソン病新規症例(NHS)402件を特定しました。
HPFSでは、毎日排便する男性と比較して、排便頻度が3日以上に1回である男性は、その後6年間にパーキンソン病を発症するリスクが4.98倍でした。 NHSでは2.15倍でしたが、これは有意差なしでした。NHSで下剤の常用者を除いた場合では、排便頻度が3日以上に1回で2.98倍と有意に増加しました。パーキンソン病のリスクは6年間の追跡調査を超えて上昇しませんでした。これら2つのコホートを統合した場合、その後6年間のパーキンソン病の発症リスクは、下の図のようでした。
上の図のように、毎日排便がある場合と比較すると、3日以上に1回の排便のパーキンソン病発症リスクは3.93倍でした。
この研究では、便秘が遠い将来よりも近い将来におけるパーキンソン病リスクの予測因子でした。新規に便秘になった場合は、もしかしたらさらに注意が必要なのかもしれません。
以前の記事「パーキンソン病と糖質制限」で書いたように、パーキンソン病には糖化が大きくかかわっていると考えられます。そして、糖質過剰摂取で起こるメタボリックシンドロームは「メタボリックシンドロームはパーキンソン病リスクを上げる」で書いたように、パーキンソン病リスクを上げてしまいます。
さらに、コレステロールが低かったり、スタチンを使ったりしている人でも、パーキンソン病リスクは高くなります。(「コレステロールとスタチンとパーキンソン病のリスク」参照)
パーキンソン病にならないためにも、便秘になったら糖質制限をして、コレステロールを高く保ちましょう。


