白血球数の正常範囲内の増加であっても代謝障害が起きている

血中の白血球数の基準値は3500~9700/μL(施設により多少異なります)となっており、上限がかなり高く設定されています。この上限値だと、健診などでも異常を検知できないでしょう。8000を超えるような白血球数でも正常と判定されてしまいます。私自身は6000を超えたら、あら?と思ってしまいます。

さて、白血球が基準値の範囲の中で増加するということはどうなっているのでしょうか?

ある研究を見てみましょう。(ここ参照、図もここより)正常耐糖能の女性ボランティア63人を対象として、stedy state plasma glucose法(SSPG)によるインスリン抵抗性および75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)と白血球数、血糖値、インスリン反応、空腹時コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、収縮期血圧と拡張期血圧との関係を分析しました。

上の図は63人の白血球数とSSPG濃度(インスリン抵抗性)およびブドウ糖負荷に対する血中のインスリン反応との関係です。縦軸が白血球数です。インスリン抵抗性とインスリン反応は白血球数と相関していることがわかります。つまり、インスリン抵抗性が上がるほど、インスリン分泌が増加するほど白血球数が増加するのです。

さらに、分析の結果、下の図のように、白血球数が血糖値、空腹時中性脂肪、HDLコレステロール、および拡張期血圧とも相関していました。年齢やBMIで推定される肥満度、そしてコレステロール値は白血球数と相関していません。

つまり、白血球数の正常範囲内の増加は、すでにインスリン抵抗性が増加してきていることを示しています。そして、その原因は糖質過剰摂取でしょう。

もう一つ研究を見てみましょう。(ここ参照、図もここより)今度は男性です。正常な耐糖能を持つ38歳の健康な男性90人が対象です。

上の図は白血球数(縦軸)と、OGTTの2時間後の血糖値とインスリン(横軸)との関係です。やはり2時間値の血糖値、インスリン分泌と白血球数は相関しています。

上の図は白血球数とフィブリノーゲンとの関連を示しています。フィブリノーゲンの増加と白血球増加は相関しており、白血球が増加しているということは、血栓のリスク増加、血栓症の準備状態とも言えます。

男性でも女性でも、正常と思われている範囲であっても、白血球の増加はすでに、代謝の異常を示していると考えられます。

ちょっとでも血圧が高かったり、LDLコレステロール値が高いと指摘されるのに、白血球は基準値内であれば何も言われないでしょう。恐らく意図的に基準値を広げて、代謝の問題が大きくなるまで、放置するためなのかもしれません。

感染など心当たりがないのに、白血球が6000を超えたら、要注意でしょう。

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