多くの親は、子供が何らかの病気になったときに、心配で不安になり、専門家である医師を信じ、頼ろうとするでしょう。そして、その医師が出した薬がまさかひどい副作用を起こすなんて、ほとんど考えないでしょう。選択的ロイコトリエン受容体拮抗薬であるモンテルカスト(商品名:シングレアやキプレス)は、小児および成人の喘息治療に頻繁に処方される薬です。アレルギー性鼻炎でも処方されます。私もアレルギー性鼻炎があり、以前耳鼻科を受診した際には、恐らくこの薬を医師は処方しようとしましたが、私は拒否しました。
もしかしたら、小児の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)でも処方する医師がいるかもしれません。
このモンテルカストにはどんな副作用があるのでしょうか?
まれですが、アレルギー性肉芽腫性血管炎は、オランダの医薬品安全性監視センター Lareb では8人の患者で、WHOの世界規模のデータベースであるVigiBaseでは563人の患者で報告されています。アレルギーの薬なのに、アレルギーの副作用を起こす可能性なんて…
薬物の副作用 | VigiBaseのROR(95% CI) | 19歳未満の小児におけるVigiBaseのROR(95% CI) |
---|---|---|
うつ | 6.93 (6.54–7.36) | 20.52 (18.65–22.58) |
頭痛 | 1.85 (1.75–1.97) | 1.91 (1.72–2.12) |
攻撃的な行動 | 24.99 (23.49–26.59) | 29.77 (27.54–32.18) |
自殺願望 | 20.43 (19.18–21.76) | 38.27 (34.68–42.22) |
不眠症 | 5.08 (4.77–5.41) | 11.15 (10.07–12.35) |
不安 | 5.11 (4.79–5.46) | 16.99 (15.41–18.72) |
異常な行動 | 34.05 (31.79–36.46) | 17.64 (15.99–19.46) |
悪夢 | 22.48 (20.87–24.21) | 78.04 (69.95–87.07) |
呼吸困難 | 1.30 (1.20–1.41) | 1.14 (0.95–1.36) |
発疹 | 0.65 (0.59–0.71) | 0.31 (0.26–0.36) |
腹痛 | 1.81 (1.66–1.98) | 2.24 (1.95–2.56) |
めまい | 0.89 (0.82–0.97) | 0.72 (0.59–0.88) |
筋肉痛 | 1.66 (1.49–1.84) | 1.57 (1.21–2.03) |
筋肉のけいれん | 2.44 (2.17–2.74) | 3.98 (3.06–5.17) |
吐き気 | 0.61 (0.56–0.66) | 0.56 (0.46–0.68) |
19歳未満では、うつでは20.52倍、攻撃的行動が29.77倍、自殺願望が38.27倍、不眠が11.15倍、不安が16.99倍、異常行動が17.64倍、悪夢に至っては78.04倍報告される可能性が高くなっています。これらの共通点は何らかの脳に対する副作用であるように思えることです。つまり、モンテルカストは血液脳関門を突破し、脳に作用していることになります。子供にこんな薬を出していいのでしょうか?
モンテルカストが脳に作用している証拠に、薬剤誘発性チックが増加します。(この論文参照)薬剤誘発性チックを起こす薬のほとんどは、抗精神病薬や抗けいれん薬などで、明らかに脳に作用する薬ですが、薬剤誘発性チックの報告オッズ比は、VigiBaseでは、メチルフェニデート(リタリンやコンサータ)の37.54倍に次いで多く、モンテルカストでは12.18倍です。抗精神病薬のアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)7.40倍、、リスペリドン(商品名:リスパダール)で4.40倍、ベンラファキシン(SNRI 商品名:イフェクサー))1.52倍よりもリスクがかなり高いのです。
非常に報告の多い悪夢について見てみましょう。モンテルカストの服用による悪夢の報告では、多くの症例で悪夢の深刻な影響が報告されています。報告の約半数が重篤に分類されました。報告の3分の2は子供に関するもので、最も多い年齢層は5~10歳の子供でした。ほとんどの場合、薬の服用を中止すると悪夢は消えましたが、一部の患者では悪夢が止まるまでに長い時間がかかりました。
子供の症例では、たとえば、鮮明な悪夢により、眠ることや一人にされることに極度の恐怖を感じるようになります。悪夢は、睡眠中の寝言、夢遊病、喧嘩、さらには自傷行為の試みを伴って現れます。恐ろしい悪夢で子供は目を覚まし、不安、泣き声、奇妙なものを見ることもあります。モンテルカストを 1 か月服用している6歳の女の子は「廊下で切断された手を見る…叫び、泣き、部屋に見知らぬ人がいるのを見る」と言っています。いきなりホラー映画の世界に放り込まれたようなものです。メンタルが崩壊しなければいいですが。
他の例としては、爆弾が世界を破壊するか世界が凍ると信じていた患者がいました。多くの子供は目覚めた後混乱しパニックに陥り、時には両親を認識できませんでした。重度の悪夢では、目覚めてから45分間叫び続け、現実に戻ったり眠ったりするのが困難になることもあります。悪夢は繰り返し起こることもあり、例えばモンテルカストを服用していた夜に週2回起こることもあるのです。ある患者では、悪夢で爆発の危険があるため食事が怖くなったとも説明しています。死を恐れ、体がバラバラになるのを恐れる子供もいました。
子どもたちはいらだち、気分のむらや攻撃性、自傷行為、幻覚、めまい発作、または極度の感情的崩壊を経験しました。10歳の子どもは幻覚を感じたため抗うつ剤を処方されました。別の少年は、崩壊した家庭で育ち、ナイフで手首を切ると脅しました。社会からの引きこもりが見られ、急性精神病の疑いまたは自殺願望による入院も記録されています。暗闇への恐怖、夜尿症、死にたい衝動を伴うパニック発作を描写した話もありました。
モンテルカストを服用し始めて2週間後の7歳の女の子は、学校が子供の行動に大きな変化があると報告しました。子供は自ら周囲とのコミュニケーションを止め、自殺願望を表明しました。「生きたくない、死にたい」と頭を壁にぶつけました。
1人の子供は重度の不安のため3年間学校に通っていませんでした。別の子供は抗うつ剤を処方され、別の報告では、数人の子供が行動上の問題を解決するために治療を受けたと説明されていました。
こんな悪夢をもたらす薬が子供に頻繁に処方されてしまっているのです。
子供の悪夢はその家族、兄弟などにも深刻な影響を与える可能性があります。7歳の男の子は「頭の中で残酷なことをしろ、例えば妹を殺せと命令する声」がしたのです。
モンテルカストを処方する小児科医や耳鼻科医はこのようなリスクを認識しているでしょうか?これらの医師にこのような副作用を訴えても、関連性は否定され、逆に精神疾患を患っていると疑われ、その専門家への受診を勧められたり、精神疾患の診断をされてしまう可能性があります。
14歳の男の子の母親は、「息子はモンテルカストを服用中にADHDと診断されましたが、それが間違いであり、モンテルカストと関連があると考えています。」と言っています。
でも、多くの親は、まさか子供に処方される薬がそんな危険であるなんて思ってもいないでしょう。そうすると、当然、処方医に対して副作用について何も言わない可能性があります。このため、2~7歳の子供が5年間も悪夢に悩まされたケースもあったそうです。
回復までの時間については、モンテルカストを中止した後、悪夢は通常数日から数週間以内に軽減または消失するようです。19件の症例では、悪夢は2週間以内に解消したことが記録されています。16件の報告では、回復までの時間はモンテルカストの中止後7日でした。ただし、回復に数か月かかったという報告もありました。ある症例では、子供へのモンテルカストの投与を中止し、身体的な有害事象はすぐに消失したと報告されていますが、心理的な有害事象は当初悪化しましたが、18か月後に完全に回復しました。
もう一つのモンテルカストの子供の副作用の研究を見てみましょう。(ここ参照)この研究では、 2年間にわたり、6つの医療機関で385人の6か月以上の小児を対象にモンテルカストのすべての有害反応を遡及的に調査しました。元の疾患は喘息89.6%、アレルギー性鼻炎50%、睡眠関連呼吸障害は13.6% でした。
親が副作用を懸念してモンテルカストを中止したのはわずか5.3%でした。患者の31.9%が少なくとも1つの副作用を報告ました。つまり、かなり副作用は多いのです。
最も多く副作用があった年齢は4~9歳で52.8%でした。副作用は睡眠障害15.1%、興奮10.4%、痛み9.3%、多動6.8%、注意力の低下3.1%、攻撃性2.1%、頭痛1.82%でした。睡眠障害には、睡眠減少、睡眠中断、悪夢など、さまざまなタイプがありました。
成人の場合でも、モンテルカストが誘発する悪夢は、極度に落ち着かない夢を引き起こし、疲労感や憂鬱感につながります。悪夢の翌日には、特に眠れないときに、パニック、追いかけられている感覚、自殺願望などのさらなる感情を引き起こす可能性があります。
35歳の男性は「夜に錠剤を服用してから1時間後に症状が現れました。2年間薬を服用していました。症状がひどく、憂鬱で自殺願望があり、自分や他人の考えに対するひどい感情、自己批判的で極度に不安定な夢を見たため、自分で薬を止めました。薬の効果が薄れてきた夕方になると気分が良くなりましたが、夕方遅くにまた毎日服用し始めると、また気分が悪くなり始めました。」 と報告しています。
もう一つ、主に大人を対象とした研究を見てみましょう。(この論文参照)対象患者は、モンテルカストの最初の処方時に15歳から64歳ですが、喘息患者72,490人の平均年齢は35歳、アレルギー性鼻炎患者82,456人の平均年齢は40歳ですので、ほとんど大人ばかりの研究です。追跡期間は12か月です。
モンテルカスト使用者の、あらゆる精神神経疾患の可能性は、喘息患者が1.11倍、アレルギー性鼻炎患者では1.07倍でした。最も可能性が高かった疾患は、喘息患者では不安障害が1.21倍で、アレルギー性鼻炎患者では不眠の1.15倍でした。
モンテルカストの使用は、あらゆる睡眠障害の可能性が喘息患者が1.13倍、アレルギー性鼻炎患者が1.10倍になっており、睡眠障害の中では、不眠症が喘息患者で1.13倍、アレルギー性鼻炎患者が1.15倍でした。また、あらゆる不安関連障害の可能性は喘息患者で1.21倍、アレルギー性鼻炎患者で1.12倍、追跡期間中に抗うつ薬の処方を受ける可能性は喘息患者で1.16倍、アレルギー性鼻炎患者では1.17倍と有意に高くなりました。
大人でも、モンテルカスト使用開始後12カ月間に精神神経疾患と診断されるリスクが高くなりました。
まだ脳が成長段階にある子供に、脳に影響を与えるような薬を飲ませることはできる限り回避した方が良いでしょう。もしこの薬を子供に飲ませるのであれば、必ず毎日の精神状態や睡眠状態などに注意が必要でしょう。そして、一度でも何かがあれば中止した方が良いでしょう。大人であれば、一人暮らしではできる限り使用しない方が良いかもしれませんし、もし飲むのであれば周りの人に注意を払ってもらうように依頼が必要かもしれません。
「Adverse drug reactions of montelukast in children and adults」
「モンテルカストの小児および成人における薬物有害反応」(原文はここ)
「Montelukast and Nightmares: Further Characterisation Using Data from VigiBase」
「モンテルカストと悪夢: VigiBase のデータを使用したさらなる特徴づけ」(原文はここ)
「うつでは20.52倍、攻撃的行動が29.77倍、自殺願望が38.27倍、不眠が11.15倍、不安が16.99倍、異常行動が17.64倍、悪夢に至っては78.04倍報告される可能性が高くなっています。」
インフルエンザの「特効薬」タミフルでも同様の
報告あったような、、、既視感。
薬はほぼ副反応覚悟の対症療法ですね。
ちなみにタミフル検索した際
「インフルエンザは基本的には自然に回復する病気です。」との文言が
最上位にありました。まともですね。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
インフルエンザ流行の季節になりましたが、抗インフルエンザ薬の異常行動も非常に怖いです。
親は薬を飲ませたら、一瞬でも目を離せません。
そんな危険な薬に頼らなくても、自分の免疫が対処してくれます。
幼少期からの難治性アトピーなので過去に飲んでいたかも…現在は抗ヒスタミンだけですが、漫然と飲み続けるのは避けたほうが良さそうですね