LDLコレステロール値と糖尿病は実はリンクしています。
今回の研究では、イタリアのナポリ地方保健局のCOMEGENデータベースというデータベースを利用しています。202,545人の患者の匿名化された電子カルテを分析し、事前に定義された除外基準に従って個人を除外した後、最終的なコホートには19歳から90歳までの13,674人の参加者が含まれていました。
平均年齢は62歳で、58%が男性。ベースラインの平均LDLコレステロールは105mg/dL、総コレステロールは187mg/dL、HDLコレステロールは51mg/dL、中性脂肪は104mg/dL、肝機能はGOT 21mU/mL、GPT 20mU/mLでした。52%がスタチン療法を処方されていました。中央値71.6か月の追跡期間中、1,819人(13%)が2型糖尿病を発症しました。(図は原文より)
上の図の横軸はLDLコレステロール値、縦軸は2型糖尿病の発症リスクです。LDLコレステロールが高くなるほど2型糖尿病の発症リスクは低下しています。LDLコレステロール値が10mg/dL上昇するごとに糖尿病リスクが10%低下します。
では、スタチンを使っているかどうかで分けたときはどうでしょう。
上の図は、黄色がスタチン使用者、青が非使用者です。どちらもLDLコレステロールが高くなるほど2型糖尿病の発症リスクは低下していますが、スタチンを使っている方が使っていない人よりも2型糖尿病の発症リスクが高いですね。スタチン医者は一粒で2度おいしいですね。
次に、LDLコレステロール値に基づき、低値(84 mg/dL未満)、中値(84 mg/dL以上107 mg/dL未満)、高値(107 mg/dL以上131 mg/dL未満)、非常に高値(131 mg/dL以上)の4つのグループに分けました。
上の図はグループに分けたときの2型糖尿病の発症リスクです。2型糖尿病の発症率は非常に高値群で有意に低いですね。低値群と比較すると、中値群で0.78倍、高値群で0.65倍、非常に高値群で0.37倍です。LDLコレステロール値は非常に高値群の131以上を目指したいですね。
スタチン使用、非使用者別を見てみましょう。
上の図のように、やはり、LDLコレステロールの最も高い群で糖尿病発症リスクが最も低くなるのですが、スタチン非使用者群と比較してスタチン使用群では糖尿病リスクが高くなっています。スタチン非使用者と比較して、スタチン使用者は低値群1.75倍、95%CI 1.39–2.20、中値群1.63倍、高値群1.54倍、非常に高値群2.41倍です。
スタチンがあってもなくても、LDLコレステロール値が低いと2型糖尿病発症リスクは高くなります。そして、スタチンを使うとさらにそのリスクは高まります。もしかしたら、これが、多くの医師がスタチンを強く勧める理由なのかもしれません。
今回の講演でも取り上げ、以前の記事「糖尿病とコレステロールの密接な関係」でも書いたように、以前の研究でもLDLコレステロール値と糖尿病がリンクしていることは示されています。私が知っているくらいですから、専門医は当然知っています。知っていて、何も症状のない高コレステロール値という理由だけで、脅してスタチンを強く勧めて、新たな糖尿病患者を作り出すのであれば、本当は大問題ですよね。でも、医療では正当化(?)されてしまっています。
糖質制限をして、血糖値を下げて、糖尿病を予防しつつ、LDLコレステロール値が上がっても気にしないようにしましょう。
「A six-year longitudinal study identifies a statin-independent association between low LDL-cholesterol and risk of type 2 diabetes」
「6年間の縦断的研究により、スタチンとは無関係にLDLコレステロール値の低下と2型糖尿病のリスクとの関連が明らかになった」(原文はここ)



