インスリン抵抗性を示すTyGインデックスは骨サルコペニア性肥満の発生と死亡リスクを予測する

人間の初期設定と合わない生活を続けていると、骨、筋肉、脂肪組織という、体の主要で重要な構成要素が、人体にとって適切な状態ではなくなってしまいます。最近、サルコペニアというだけでなく、Osteosarcopenic obesity(日本語では「骨サルコペニア性肥満」とでも言うのでしょうか?)という状態の人が増加しています。

サルコペニアは、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指します。そして、そこに骨減少症/骨粗鬆症、肥満の状態すべてを併発したのが、骨サルコペニア性肥満というのだそうです。

当然、これも糖質過剰症候群でしょう。

今回の研究では、インスリン抵抗性の指標となるTyGインデックス(計算は「中性脂肪値と血糖値だけで様々な疾患のリスクを評価できる」参照)と骨サルコペニア性肥満(OSA)との関連を調べています。

20~59歳の8,098人が対象です。OSA 0(対照:骨粗鬆症/骨減少症、サルコペニア、肥満なし)、OSA 1(いずれかの症状あり)、OSA 2(いずれかの症状2つあり)、OSA 3(骨サルコペニア性肥満の3つの症状すべてあり)と分類しています。

またインスリン感受性群(TyG < 8.5)とインスリン抵抗性群(TyG ≥ 8.5)に分類し、TyGインデックスの値によって4つのグループ(Q1 < 8.1、Q2 8.1~8.5、Q3 8.5–9.0、Q4 ≥ 9.0)分類しました。(図は原文より)

上の図のaのように、TyGインデックが増加すると、OSAの0の人がどんどん減少し、OSA2や3が増加しています。TyGインデックが最も低い群では、ほとんどOSA3は存在しません。

図のbに示すように、TyGインデックが増加するにつれ、OSA1~3の可能性はどんどん増加しますが、cのようにOSA3だけを見れば、TyGインデックが9くらいで横ばいになっています。

TyGインデックスのQ1と比較して、OSA 1~3の可能性はQ2で1.69倍、Q3で2.71倍、Q4で4.52倍でした。

死亡率はどうでしょうか?OSA1~3の患者におけるTyG≥ 8.5群は、TyG < 8.5群と比較して、全原因死亡リスクは1.93倍でした。さらに、心血管疾患死亡リスクはTyG ≥ 8.5群で2.10倍、心血管以外の死亡リスクも1.53倍でした。OSA0の患者では、調整をしない場合ではTyG ≥ 8.5群で全原因死亡リスク1.63倍、心血管以外の死亡リスク1.60倍でした。

骨サルコペニア性肥満は明らかにインスリン抵抗性と関連があり、糖質過剰摂取が原因でしょう。中性脂肪値と血糖値でインスリン抵抗性を推測できるTyGインデックは非常に有用性が高いと思われます。

閾値が確定していませんが、健康のためには、TyGインデック8未満を目指すべきでしょう。9を越えたらかなり危険な状態だと思います。

まずは糖質制限ですね。

「Triglyceride-glucose index, a silent predictor for osteosarcopenic adiposity occurrence and risk of cardiovascular and all-cause mortality」

「中性脂肪・グルコース指数は、骨サルコペニア性肥満の発生と心血管疾患および全原因死亡リスクのサイレント予測因子である」(原文はここ

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