以前の記事「包茎も糖質過剰症候群?」で書いたように、包茎は糖質過剰摂取で、恐らく尿糖が増加することで起こると考えられます。子供のころはみんな包茎ですが、大人になりおちんちんの皮は剥けてきます。しかし、50歳以降が包茎の発生率の第2のピークだそうです。
後天的な包茎は炎症や性器感染症によって引き起こされることが多く、2型糖尿病の男性は、亀頭炎のリスクが3倍、包茎のリスクが最大7倍とされています。さらに、包茎は陰茎がんのリスクを最大12倍に増加させることが知られています。
そうだとすると、糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬は包茎リスクを上げるでしょう。SGLT2阻害薬は尿に糖をいっぱい出してしまうからです。
今回の研究では、SGLT2阻害薬ともう一つの最近よく使われている糖尿病薬のGLP-1受容体作動薬の包茎リスクを比較しました。2型糖尿病で、SGLT2阻害薬を開始した32,486人とGLP-1受容体作動薬を開始した14,793人を対象とし、中央値4年間(最長8年間)の追跡調査を行いました。(図は原文より)
上の図の赤がSGLT2薬、青がGLP-1薬です。Aは包茎の累積リスク、Bが治療開始1年後からの陰茎がんの累積リスクです。明らかにSGLT2の方が包茎が増加しています。
SGLT2開始による包茎の1年リスクは0.9%、GLP-1薬の包茎の1年リスクは0.5%、リスク比は1.88です。 8年間の追跡調査後、SGLT2の包茎の累積リスクは4.8%、GLP-1の累積リスクは3.6%であり、リスク比は1.36でした。
陰茎がんについては、発生数、発生率が非常に低いですが、SGLT2とGLP-1ではリスク曲線は最初の数年間はほぼ同じままでした。しかし、約 2~3 年後には離れ始め、SGLT2の方が GLP-1薬 よりも発生率が高くなり、多くは 7~8 年目に発生しています。絶対リスクは低いですが、SGLT2を開始した男性で陰茎がんリスクの上昇が示唆され、8年間の累積リスクが0.09%、GLP-1薬開始では0.01%、リスク比は6.34でした。
SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の両方において、 HbA1c値が高いほど包茎リスクが上昇していましたが、HbA1c値全体にわたって、SGLT2の方が一貫して包茎リスクが高くなりました。
SGLT2阻害薬は腎臓でのブドウ糖の再吸収を阻害し、尿糖を引き起こします。尿糖は細菌や真菌の増殖を促進して、おちんちんの亀頭や包皮内の微小環境に影響を及ぼし、炎症、増殖、異形成を引き起こす可能性があります。また、包茎は持続感染を助長する環境を作り出し、それが陰茎がんの発症リスクをさらに悪化させるでしょう。
尿は老廃物を排泄するためのものですが、人類の初期設定では、決して糖を排泄してはいませんでした。腎臓も膀胱などの尿路も、尿を出すおちんちんも、糖を排泄するように設計されていません。人間がその初期設定を無視して、糖質を過剰摂取し始めたため、人体を守るために糖を尿から捨てる以外に方法はなくなってしまいました。それによる影響は様々でしょう。
そして、さらに多すぎる体内の糖質は、尿で糖を捨てれば良いのだという間違った考えから、SGLT2阻害薬がここまで多く使われてしまっています。過剰に摂って、過剰に捨てるのではなく、捨てなくてもいい程度に摂取量を抑えるべきです。
食事の間違いが病気を作り出し、病気を治療する薬がさらなる別の病気を作り出す時代です。薬に頼るべきではありません。
「Risk of Phimosis Associated With SGLT2i Versus GLP-1RA: A Danish Cohort Study」
「SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の包茎リスクの比較:デンマークのコホート研究」(原文はここ)
