医療業界が無視する子供のHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染率

子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)だとされています。しかし、HPVに感染してもほとんどの人は自然に免疫で排除されていますし、性行為のない処女でもHPV感染は高率に起こっています。恐らくは赤ちゃんは出産時に、そしてその後乳幼児でも、何らかの経路からHPV感染は珍しくなく、頻繁に起きている可能性があります。

今回の研究では、子供のHPV感染を分析しています。小児が何歳でHPVに曝露したかを推定するため、HPV-16 L2タンパク質に対するIgM抗体の保有率を測定しました。

上の図は、小児におけるHPV-16 L2タンパク質に対する血清IgM抗体陽性率です。229例中56例(24.4%)の小児血清に特異的IgM抗体が認められました。IgM陽性率は二峰性分布を示し、2歳から5歳の間にピークを迎え(陽性率20~67%)、11歳では0%まで低下した後、16歳では段階的に43%まで増加しました。

1歳から5歳までの小児49人中24人(48.9%)がIgM陽性、6歳から10歳までの小児78人中38人(48.7%)が陽性でしたが、11歳から15歳までの小児では、94人中10人(10.6%)のみが陽性でした。

IgM抗体って、ウイルス感染が起きて最初に増加する抗体です。ということは、子供たちは性行為もしないのに、かなり頻繁にHPVに晒され、感染している可能性があります。そして、もしかしたら、実際には免疫で排除されているわけではなく、ほとんどの場合、ヘルペスウイルスのように持続感染を起こしているかもしれません。ヘルペスウイルスは体内にずっと潜んでいても、通常時は新たな抗原を提示せず、免疫からうまく隠れて、症状がありません。同様にHPVも常在してしまっている可能性もあるかもしれません。

しかし、何らかの状況の変化でウイルスが再活性化すれば、病原性を発揮する可能性があります。

異性カップルの間では、パートナー間の性器HPV型の一致率は低い場合が多く、また、HPV-16に感染した夫婦のうち、50%のみが同一のHPV-16ゲノム変異を有していたことを示す研究もあるようです。このことから、HPV-16は性行為という経路による感染力が比較的低いことが示唆されます。ちょっと古いデータでは、妊婦の52%がHPV-16に感染しており、HPV16/18が感染母親から生まれた乳児の68%~77%に垂直感染しています。新生児の35%~39%が少なくとも6か月間持続する可能性のある高リスクHPVに感染している可能性があります。さらに、HPV-16陰性の母親から生まれた乳児の30%にHPV-16のDNAの証拠が認められたことから、HPVは別の感染経路も存在する可能性が十分にあります。

もともとほとんどの人がHPVに感染していることを考えれば、HPVワクチンは何のためにあるのか非常に疑問になります。

以前の記事「子宮頸がんってHPV(ヒトパピローマウイルス)が本当に根本原因なの?」でも書いたように、HPVが本当に子宮頸がんの根本原因なのでしょうか?ウイルスが悪さをするとしても、悪さをする環境を与えなければ、静かに存在しているだけかもしれません。様々な細菌叢で、常在しているのに通常では悪さをしないけれども、細菌のいる環境の変化で狂暴化する細菌がいるのと一緒ではないかと思います。HPV陽性の子宮頸がんの方が予後が良いことを考えると、逆に保護的なのかもしれません。

膣内細菌叢の変化が子宮頸がんを生んでいると私は考えます。では、何が最も原因となるか?それは次回以降に書きたいと思います。

「Perinatal infection and persistence of human papillomavirus types 16 and 18 in infants」

「ヒトパピローマウイルス16型および18型の周産期感染と乳児における持続感染」(原文はここ

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