メタボリックシンドロームはパーキンソン病リスクを上げる

パーキンソン病は糖質過剰症候群だと考えています。以前の記事「パーキンソン病と糖質制限」で書いたように、パーキンソン病には糖化が大きくかかわっていると考えられます。

今回の研究では、糖質過剰症候群の代表である、メタボリックシンドロームとパーキンソン病の関連性を分析しています。イギリスのバイオバンクから37~73歳のパーキンソン病に罹患していない、467,200人(平均年齢56.53歳、女性54.26%、そのうちメタボは177,407人(37.97%))を追跡しました。追跡期間(6,605.9 × 1,000人年)中に、3,222人がパーキンソン病を発症しました。発症率は10,000人年あたり5.01です。(図は原文より、表は原文より改変)

メッツHR(95%CI)
モデル3
メタボリックシンドローム
 いいえ1
 はい1.39 (1.11–1.74) 
メタボのコンポーネントの数
 01
 11.11 (0.63–1.95)
 21.22 (0.69–2.15)
 31.41 (0.81–2.46)
 41.39 (0.78–2.47)
 52.23 (1.22–4.07) 
トレンドのp1.14 (1.05–1.24)

上の表はメタボとパーキンソン病発症リスクを示しています。メタボがあると、パーキンソン病リスクは1.39倍で、メタボの構成因子が増加するほど1.14倍リスクが高くなり、5つすべてが揃うと、2.23倍にもなります。

上の図は、メタボリックシンドローム(MetS)とその構成要素とパーキンソン病の発症率との関連を示しています。Aはメタボの構成因子数別のパーキンソン病の男女別発症率です。Bはメタボの構成因子数別のパーキンソン病の累積発症率です。Cはメタボとパーキンソン病リスクのサブグループ解析です。60歳未満のメタボでは1.29倍、60歳以上のメタボでは1.11倍、女性のメタボでは1.14倍、男性メタボでは1.07倍でした。。Dはパーキンソン病の多遺伝子リスクスコアとの関連を示しています。パーキンソン病リスクはメタボで高多遺伝子リスクスコアの人で最も高く2.58倍でした。

上の図は、メタボの構成因子別のパーキンソン病リスクのメタアナリシスです。メタボありで1.29倍、腹部肥満で1.13倍、高血圧で1.20倍、低HDLコレステロールで1.23倍、高HbA1cで1.26倍でした。中性脂肪については有意な関連は認められませんでした。

糖質過剰摂取でメタボリックシンドロームになると、インスリン抵抗性、酸化ストレス、慢性炎症などを起こします。体全体、神経や脳にとって良いわけがありません。パーキンソン病を発症して慌てる前に、まずは毎日の食事が重要でしょう。

「Metabolic Syndrome and Incidence of Parkinson Disease A Community-Based Longitudinal Study and Meta-Analysis」

「メタボリックシンドロームとパーキンソン病の発症率:地域ベースの縦断的研究とメタアナリシス」(原文はここ

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