GLP-1受容体作動薬は医療のサブスクリプション

GLP-1受容体作動薬の使用は急増しているようですが、この薬は医療のサブスクの代表です。使用している間だけ、体重が減り、心臓代謝パラメータの数値が改善しているかのように見えます。しかし、薬を止めれば、その権利は失われます。つまり、本当の意味では健康にはなっていません。医療および薬への依存、薬の奴隷と化すのです。

今回の研究では、GIP/GLP-1受容体作動薬で、日本では「マンジャロ」「ゼップバウンド」という商品名で処方されている薬、チルゼパチドを中止した後、体重や心血管代謝パラメータがどうなるかを調べています。糖尿病の治療ではなく、肥満の治療として薬を投与しています。

36 週間のチルゼパチド治療後、推定体重の10%以上の減少を達成した参加者308人を52 週間(36 週目から 88 週目)プラセボに切り替えました。0週目から36週目までのチルゼパチド投与中に減少した体重に対する88週目の体重増加の度合いの割合で評価しました。(図は原文より)

上の図は、チルゼパチドを中止した参加者における体重増加のカテゴリー別の36週目および88週目の様々なパラメータ変化です。一番上の体重は、308人中、体重増加率25%未満群は54人、25%以上50%未満群は77人、50%以上75%未満群は103人、75%以上群は74人でした。82.5%が1年以内に25%以上体重が戻ってしまっています。約4人に1人は75%以上体重が戻っています。75%と言っていますが、この群ではチルゼパチド治療開始前の平均体重が107.7kgであり、36週目に88.1kg、そして88週目の体重が107.0kgなので、完全に元通りになってしまっています。約9% は100%を超える体重のリバウンドを経験しています。チルゼパチド中止後に生活習慣の介入だけで体重が減少を維持し続けたのは約4%しかいませんでした。

チルゼパチド投与中止後の体重増加が大きいほど、チルゼパチド投与によって改善した心血管代謝パラメータが反転してしまっています。ただ興味深いことに、HDLコレステロールに関しては、チルゼパチド投与によって減少しており、中止によって増加しています。心血管系に有益と言われているHDLコレステロールがチルゼパチドにより低下したことは、本当の意味でチルゼパチドが心血管系の健康に寄与しているのではない可能性があります。

様々なパラメータ変化は下の図のようです。

空腹時インスリンも興味深い変化を示しています。体重増加が25%未満の群では、インスリンが増加していません。やはり体重増加はインスリンがカギですね。インスリン抵抗性のHOMA-IRを計算してみると、25%未満群で1.59→1.23、25%以上50%未満群1.48→1.41、50%以上75%未満群1.42→1.83、75%以上群1.86→2.24と、チルゼパタイド投与前の平均3.13までは戻ってきていません。

平均BMIが薬投与前に38.4あったのが、36週で30.0まで低下しました。しかし、この数値は決して健康的なBMIではありません。中止後は平均34.3まで戻っています。

もちろん、全ての人が全てのパラメータにおいて元の数値までリバウンドしたわけではありません。中止後の1年間、参加者が何を行っていたか、どのような食事をしていたかは不明です。しかし、パラメータによってはほとんど戻ってしまうものもあります。多くの人は薬なしでは良い状態が維持できていません。

さらにもう1年後であれば、もっとリバウンドしてしまう体重やパラメータを示す割合が増加する可能性は高いでしょう。

薬の投与前が酷すぎる体重なので、チルゼパチドによって素晴らしい効果があるように見えますが、標準的な体重とはまだほど遠いでしょう。そして、この研究は2型糖尿病の人を対象としていないので、パラメータの戻りが比較的穏やかであった可能性はあります。

いずれにしても、痩せるためのGLP-1薬は、減少した体重を維持するには、ほとんどの人は薬を使い続けなければなりません。サブスクをやめれば、多くの人は、自分で生活を変えない限り、痩せ続ける権利を失ってしまうでしょう。そして、GLP-1薬を使い続ければ、様々な副作用に襲われる可能性があります。マッチポンプ薬ですから。

結局は自分がどこまで変われるかでしょう。自分で変えなければ、医療の餌食です。

「Cardiometabolic Parameter Change by Weight Regain on Tirzepatide Withdrawal in Adults With Obesity: A Post Hoc Analysis of the SURMOUNT-4 Trial」

「肥満成人におけるチルゼパチド離脱後の体重増加による心臓代謝パラメータの変化 SURMOUNT-4試験の事後分析」(原文はここ

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