空腹時高血糖はすい臓がんの発生率を増加させる

すい臓がんは日本において死亡数が多い部位の順位で、男性で第4位、女性で第3位、男女計で第4位のがんです。そして5年生存率は10%にも満たないのです。

アメリカでは現在、肥満に関連したがんが比較的若い世代に急激に増加しています。すい臓がんも肥満関連がんです。すい臓がんの発生率は、45〜49歳の成人では年間約1%増加しました。30〜34歳の間では、年間平均増加率はその2倍以上でした。さらに、25歳から29歳の間で、年間4.4%と急上昇しました。(「米国の若年成人における肥満関連がんの割合の急激な増加」参照)

糖尿病があるとすい臓がんの発生するリスクは高くなるといわれています。

今回の研究では空腹時血糖値とすい臓がんのリスクを分析しています。(図は原文より)

上の図は、空腹時血糖値によるすい臓がんの累積発生率です。横軸が年数、縦軸が累積発生率です。

上の図は空腹時血糖値によるすい臓がん発生率のリスク比です。空腹時血糖値が増加するにつてリスクも増加し、糖尿病予備軍でも42%増です。

また、正常な血糖値範囲(90~99)の人でさえ、血糖値が90未満の人と比較すると、すい臓がんの累積発生率は有意に増加しました。

さらに糖尿病の期間での発生のリスクを比較すると、1年未満が最も多く、その後低下し、その後また高くなるというJ字曲線を描いていました。恐らく最初の1年未満がすい臓がんの発生率が高いのはすい臓がんによって糖尿病が発生しているパターンでしょう。(それについては次回以降で機会があれば書きます。)

日本の研究でも空腹時血糖値が日本人のすい臓がん死亡率と関連しているという論文があります。(ここ参照)すい臓がんでの死亡リスク比は、糖尿病予備軍では2.83倍、糖尿病では3.96倍でした。

すい臓は血糖値を決定するための重要な臓器です。そのすい臓に過剰な負担がかかればがんになってもおかしくはないと思います。

空腹時血糖が上がり始めたら、しっかりと糖質制限をして、すい臓を労わりましょう。

糖質過剰症候群

「The Incremental Risk of Pancreatic Cancer According to Fasting Glucose Levels: Nationwide Population-Based Cohort Study」

「空腹時血糖値によるすい臓がんの増加リスク:全国的な人口ベースのコホート研究」(原文はここ

コメント

  1. じょん より:

    清水先生、こんばんは。

    糖質を制限することで、インスリンの分泌の必要がないため、すい臓の負担が少ないことはわかります。
    一方で、脂肪の摂取量が多くなると、すい臓や胆のうへの負担が大きくなるように思います。しかし、その負担は医学的には問題にはなっていないように思います。
    糖質と脂肪とで、このような違いが生じるのはなぜなのでしょうか?

    • Dr.Shimizu より:

      じょんさん、コメントありがとうございます。

      答えになるかどうかはわかりませんが、記事にさせていただきます。

  2. じょん より:

    清水先生、ありがとうございます。