過体重および肥満の女性はインスリン抵抗性が増加し、性別特異的な内分泌障害(多嚢胞性卵巣症候群など)、月経不順、無月経、不妊症を発症する傾向が高まります。それでは、ケトン食やケトン体サプリでは月経の問題は改善するのでしょうか?低脂肪食では改善はどうでしょうか?
今回の研究では、閉経前の女性(平均年齢34歳、BMI31.6)19人が対象で、そのうち7人はケトン食のみ、6人はケトン体サプリメントと組み合わせたケトン食、6人は低脂肪食でした。6週間の研究に必要なすべての食事を提供しました。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図は食事例です。Aは隔週のテスト日に提供された朝食、昼食、軽食、夕食。Bは手作りランチドレッシングをかけた鶏胸肉トマトベーコンサラダ。Cはパルメザンチーズとズッキーニを添えたカリブ風ジャークチキンもも肉のたたき。Dはグリーンビーンズを添えた牛肉、卵、チーズのキャセロール。Eは手作りの低炭水化物パルメザンチーズクルトンとランチドレッシングを添えたフランクステーキサラダです。
下の表のように、毎日のケトン体サプリの有無にかかわらず、低エネルギーケトン食(体重維持に75%のエネルギー)では約40 g/日の炭水化物が提供され、残りの非タンパク質カロリーは脂肪から摂取され、一価不飽和脂肪と飽和脂肪源に重点が置かれました。どの食事でもタンパク質は約100gでした。
栄養成分 | |||
ケトン食+ケトンサプリ | ケトン食+プラセボ | 低脂肪食 | |
エネルギー (kcal/day) | 1845 (408) | 1752 (350) | 1900 (296) |
タンパク質(g) | 99 (12) | 100 (10) | 100 (8) |
炭水化物 (g) | 40 (4) | 38 (3) | 259 (48) |
砂糖 (g) | 17 (2) | 17 (2) | 101 (20) |
食物繊維 (g) | 10 (1) | 10 (1) | 34 (5) |
添加糖 (g) | n/a | n/a | <25g/day |
脂質 (g) | 143 (39) | 131 (4) | 51 (9) |
飽和脂肪酸 (g) | 63 (16) | 63 (15) | 17 (10) |
一価不飽和脂肪酸 (g) | 38 (12) | 38 (11) | 10 (2) |
多価不飽和脂肪酸 (g) | 8 (3) | 8 (3) | 7 (3) |
コレステロール(g) | 414 (119) | 402 (106) | 154 (10) |
ナトリウム (mg) | 6100 (56) | 2351 (82) | 1974 (163) |
カリウム (mg) | 2211 (208) | 2243 (175) | 2758 (350) |
カルシウム (mg) | 2001 (156) | 880 (126) | 1008 (71) |
低脂肪食は、脂質由来のエネルギーが25%、飽和脂肪が10%未満、添加油が30g未満でした。炭水化物は主に複合炭水化物で、1日あたり少なくとも32 gの繊維が含まれ、添加糖は25 g 未満に制限されていました。食事プランは、朝食、昼食、夕食に均等に配分されました。
上の図は、空腹時のケトン体であるβヒドロキシ酪酸の推移です。βヒドロキシ酪酸は、1日目に食事間で違いはありませんでしたが、14日以降はケトン食の2つのグループは栄養ケトーシスとなり、500mmol/Lを超えていました。。当然、低脂肪食はケトン体が増加しませんでした。
上の図は、自己申告による月経周期の変化に関する回答の累積パーセンテージです。
ケトン食で栄養性ケトーシスを達成した13人のうち11人が、介入期間中に月経の頻度、強度、またはその両方に少なくとも 1 つの変化があったと報告しました。しかし、低脂肪食のグループで月経についての変化を報告した人は一人もいませんでした。
上の図のように、ケトン食+ケトンサプリグループの3人とケトン食+プラセボグループの3人、計6人は1年以上無月経だったのに月経が完全に再開したと報告しました。そのうち3人は35歳以上でした。さらにケトン食で月経の変化を報告しなかった2人の女性は、避妊薬を使用していると報告した女性でした。
さらに、参加者の一人は33歳で、人生で一度も月経がなかった女性でしたが、5日間栄養性ケトーシス状態になった後、初めて月経を迎えました。(ここ参照)
体重は食事間での違いはなく、平均で7.1kg減少、BMIは2.6減少しました。インスリン抵抗性のHOMA-IRも食事による影響を受けませんでした。
つまり、月経の問題の改善は体重減少の効果ではなく、ケトン体の増加によるものである可能性が高いと考えられます。
肥満は代謝障害であり、様々な問題を引き起こすリスクが高くなります。内分泌の異常などにより月経の問題が起きるのは不思議ではありません。逆に人間本来のメカニズムが狂っているのであれば、何らかの代謝の問題が起きている可能性があり、その根本原因は糖質過剰摂取だと考えられます。
まずは若いうちから、糖質制限をして、代謝障害を起こさないようにすることが重要でしょう。
「Self-reported menses physiology is positively modulated by a well-formulated, energy-controlled ketogenic diet vs. low fat diet in women of reproductive age with overweight/obesity」
「過体重/肥満の生殖年齢の女性の場合、低脂肪食と比較して、適切に配合されたエネルギー制御されたケトン食によって自己申告による月経生理機能がプラスに調整される」(原文はここ)
サプリや市販薬にお金かけるより、
「肥満は代謝障害であり、様々な問題を引き起こすリスクが高くなります。
〜中略〜
その根本原因は糖質過剰摂取だと考えられます。」
の原則に従えば、健康になれそうです。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
その原則を隠さないと医療は商売になりません。