GLP-1受容体作動薬では急性膵炎の報告が多く認められています。急性膵炎は重篤な場合には死亡する可能性もあります。
例えばこの論文。GLP-1受容体作動薬のリラグルチドを服用している患者で11件の膵炎が発生した症例が報告され、1件は死亡例です。
他にもこの論文。73歳の男性の症例が報告されています。
さらに、GLP-1受容体作動薬の過剰摂取による急性膵炎の報告もあります。(ここ参照)減量目的であればあり得る話ですね。
GLP-1受容体作動薬のリラグルチドの臨床試験では、リラグルチドの急性膵炎の発生率は、リラグルチドへの 1,000患者年曝露あたり1.6例であったのに対し、対照群では1,000患者年曝露あたり0.7例であったことが示されました。(この論文参照)急性膵炎のリスクは2.1倍です。
他にも、18~64歳の2型糖尿病で急性膵炎の入院症例1,269人と、年齢カテゴリー、性別、糖尿病合併症などが一致した対照1,269人を比較した研究があります。
様々な交絡因子とメトホルミンの使用を調整した後、30日以内のGLP-1ベースの治療の現在の使用は急性膵炎を発症する可能性が2.24倍、GLP-1の30日~2年未満の最近の使用では急性膵炎の可能性が2.01倍でした。
この研究では、交絡因子を調整したとはいえ、急性膵炎症例は対照よりも高中性脂肪血症、アルコール摂取、胆石、タバコ乱用、肥満、胆道がんおよびすい臓がんなどが多かったのも影響している可能性があります。
また、様々な研究で、GLP-1受容体作動薬は急性膵炎を増加させないという報告もあります。
しかし、急性膵炎の懸念がある以上、安易な使用は問題があるでしょう。
そして、さらに気になるもっと怖い副作用もあるかもしれません。それについては次回以降で。
「Glucagonlike peptide 1-based therapies and risk of hospitalization for acute pancreatitis in type 2 diabetes mellitus: a population-based matched case-control study」
「GLP-1ベースの治療法と 2 型糖尿病における急性膵炎による入院のリスク:集団ベースの対応症例対照研究」(原文はここ)
健診の数値合わせが主目的の処方で健康が害されるとしたら、怖いです。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
薬で解決しようとする考えがそもそも間違いです。