先日、コーヒーが腸運動の抑制を引き起こす可能性があるのでは?というコメントをいただきました。私は逆だと思っています。
ある研究では、12人の健康な人の横行結腸中央部までセンサーを留置し、結腸内圧測定を実施しました。(ここ参照)ブラックのコーヒー(カフェイン150mg)、カフェイン抜きのコーヒー、水、1000kcalの食事で比較しました。
コーヒーとカフェイン抜きコーヒーは結腸の動きを増加させ、直腸S状結腸部分と比較して、横行結腸と下行結腸で特に刺激されました。コーヒーは食事と同じくらい結腸の運動性を刺激し、カフェイン抜きのコーヒーより23%、水より60%多く刺激していました。
また別の研究では、14人の健康な人を対象に、ブラックの無糖コーヒーに対する直腸S状結腸の運動の反応をマルチポートマノメトリーという機器によって調査しました。(図は原文より)14人のうち12人が男性で、2人が女性、そして8人はコーヒーが便意を引き起こすと主張した人です。
上の図はコーヒーが便意を引き起こすと言っているレスポンダーである8人の腸の運動指数の推移です。コーヒーとカフェイン抜きコーヒーの両方を摂取後に運動指数が上昇しました。なんとそれも摂取後4分以内に起きていたのです。しかし、ノンレスポンダーの6人はこのような変化はありませんでした。つまり個人差があるということですね。
上の図もレスポンダーの運動指数の変化です。水では変化しない人がほとんどですが、コーヒーではカフェインの有無に関わらず運動性が増加しています。そして、コーヒーによって誘発された直腸S状結腸運動性の増加は少なくとも30分間持続しました。
システマティックレビューとメタアナリシスでも、コーヒー摂取の利点が示されています。(ここ参照)それぞれの試験には、結腸直腸と婦人科の手術の両方に関する4〜13件のランダム化対照試験が含まれており、コーヒー摂取を水または介入なしと比較しました。5つのメタアナリシスではコーヒーにより、最初のオナラまでの時間が3.6~10時間短縮されました。最初の腸音までは3.3時間減少し、最初の排便までの時間は対照群と比較してコーヒー群では9.4~16.1時間の範囲で短縮されました。さらに、固形食品を摂取できるまでの時間は、コーヒーによって9.5~17.1時間大幅に短縮されました。総入院期間はすべての研究で0.74~3.18日短縮されました。コーヒーによる悪影響はありませんでした。
また、腹部の手術後に腸の動きが止まってしまう術後イレウス(腸閉塞)については、合計1246人の患者を対象とした結腸直腸手術、帝王切開、婦人科手術に関する13件の試験で、コーヒー摂取は術後イレウスの発生が0.42倍と、統計的に有意に減少しました。
もちろん、途中でも書きましたが、個人差があると思います。しかし、レスポンダーは確実にいると思われ、コーヒーによって腸の運動性が増加する人も多いでしょう。
私はコーヒーが大好きで、少なくとも2~3杯、多いと5~6杯のコーヒーを飲みます。完全に中毒ですかね。通常、朝食事をしなくても、コーヒーを飲んでしばらくすると便意を催します。水やお茶でももしかしたら便意は催すかもしれませんが。
「Effect of coffee on distal colon function」
「遠位結腸機能に対するコーヒーの影響」(原文はここ)
コーヒー、毎日(勿論無糖で)欠かせませんがカフェインで夜間覚醒などもありません。
自販機などで手軽に購入出来る缶珈琲もありますが、
ブラックはともかく煙草同様、無駄遣い、不健康ですね。