食事性終末糖化産物と死亡リスクの関連性はない

糖質過剰摂取により、体内で終末糖化産物(AGEs)が大量に作られます。しかし、食事でも我々はAGEsを摂取しています。食事のAGEsは有害でしょうか?

今回の研究では、食事性AGEsの摂取量と全原因死亡率または特定死亡率リスクとの関連性を分析したメタアナリシスです。対象研究は6件で、これらの観察研究には45.6~79歳の111,543人が参加し、追跡期間は3.8~16年でした。ただし、いつものように、食事の研究なので、データは食事アンケートという質の低いデータを使用しています。(図は原文より)

Uncovering the possible link between dietary advanced glycation end products and mortality risk: A systematic review and meta-analysis - ScienceDirect

上の図のように、食事性AGEsの摂取量の増加によって、全原因死亡リスクは1.02倍、がん死亡リスクは1.00倍、心血管疾患死亡リスクは1.16倍で、いずれも有意な関連は認められませんでした。

男女別では、男性で食事性AGEsの摂取量が多いと、全原因死亡リスクは0.88倍と有意にリスクが低下していました。人種別ではアジア人では、全原因死亡リスクは0.90倍と有意にリスクが低下していました。

いずれにしても、食事による終末糖化産物の摂取はあまり気にしなくていいのではないかということになります。

やはり問題は糖質過剰摂取による内因性のAGEsでしょう。以前の記事「終末糖化産物(AGEs)を除去してくれるタンパク質も糖質過剰で機能不全になるかもしれない」で書いたように、糖質過剰摂取では、AGEsの除去能も低下してしまうかもしれません。また、AGEsは糖とタンパク質からできるために、肉などはAGEsが多いと考えられがちですが、「ベジタリアンは終末糖化産物(AGEs)が増加してしまう」で書いたように、ベジタリアンの方がAGEsが増加してしまう可能性があります。果糖を多く含むフルーツを多く食べるからかもしれません。

一番大事なのはやっぱり糖質制限ですね。

「Uncovering the possible link between dietary advanced glycation end products and mortality risk: A systematic review and meta-analysis」

「食事性終末糖化産物と死亡リスクの関連性の解明:系統的レビューとメタアナリシス」(原文はここ

One thought on “食事性終末糖化産物と死亡リスクの関連性はない

  1. 「糖質過剰摂取により、体内で終末糖化産物(AGEs)が大量に作られます。しかし、食事でも我々はAGEsを摂取しています。食事のAGEsは有害でしょうか?」
    AGEsは以前から、体内で糖質過剰摂取によって生成される物と、たとえば肉や魚の焦げは食べたら
    危険などの「常識」もありモヤモヤしていましたが、先生のレポートでスッキリしました。
    ありがとうございます。

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