冠動脈疾患の危険因子の第1位は高コレステロールではなく糖尿病

冠動脈疾患=高コレステロールのように考える人も多いでしょう。でも実際には違います。

今回の研究はベースラインで30歳から79歳の男性5599人と女性6478人を無作為に抽出し、21年間追跡調査したものです。2180件の冠動脈イベントが発生しました。そして10個の危険因子を分析しました。(図は原文より)

上の図は男女別に、冠動脈疾患の相対リスク(左)と人口寄与リスク(右)のランキングを示しています。

男性の相対リスクは1.69から1.20の範囲で、糖尿病、高血圧、喫煙、身体活動不足の順でした。高コレステロールは第6位でしかありません。

女性の相対リスクは2.74から1.19の範囲で、糖尿病、喫煙、高血圧、身体活動不足の順でした。女性も高コレステロールは第6位でしかありません。糖尿病が圧倒的第1位ですね。

男性の人口寄与リスクは22%から3%の範囲で、喫煙、高血圧、毎日アルコールを摂取しないことの順でした。高コレステロールは第5位でしかありません。

女性の人口寄与リスクは37%から3%の範囲で、喫煙、高血圧、高コレステロール血症の順でした。やっと高コレステロールが第3位ですね。

この研究はちょっと古く、出版されたのが2002年です。20年以上も前です。世界の糖尿病人口は20年間でおよそ3.6倍も増加していると言われているので、まだこの研究のころは糖尿病の人口が少なく、人口寄与リスクは低めに出ていると思います。しかし、糖尿病があると冠動脈疾患のリスクは最も高くなります。

もちろん、この研究の時代も糖質過剰摂取であることには違いがありません。上位の高血圧、今よりは少なめの肥満、高中性脂肪はどれも糖質過剰症候群です。糖質を多く摂ると、通常はコレステロールは低下します。しかし、恐らくインスリン抵抗性が増加するとコレステロールが上がてきます。この研究の高コレステロールというのはそれほどインスリン抵抗性が高いことを意味している可能性があります。

またLDLコレステロールが高いほど糖尿病のリスクは低下します。(「糖尿病とコレステロールの密接な関係」など参照)

いずれにしても冠動脈疾患の原因は高コレステロールではありません。(「冠動脈のプラークは低LDLコレステロールと関連している」参照)

以前の記事「LDLコレステロール値は役に立たない」で示したように、136,905件もの冠動脈疾患での入院を分析した研究では、入院時のLDLコレステロールの平均値は104.9mg/dLと正常範囲でした。70mg/dL以下の人もいました。コレステロールの値なんて関係ないのです。

スタチン医者はどうしてもコレステロールを下げたがります。スタチンを崇拝している人の洗脳を解くのは無理です。春の健康診断で、また今年もコレステロールが高いことを執拗に指摘されて嫌な思いをする人が多くいると思います。そんな私も何度も医療機関に受診を!なんて手紙をもらいます。健診ハラスメントです。

自分自身で考えましょう。

「Coronary heart disease risk factors ranked by importance for the individual and community. A 21 year follow-up of 12000 men and women from The Copenhagen City Heart Study」

「冠動脈疾患の危険因子を個人および地域社会における重要度順にランク付け。コペンハーゲン市心臓研究による12,000人の男女を対象とした21年間の追跡調査」(原文はここ

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