利用可能炭水化物とこれまでの炭水化物量との乖離

以前の記事「運動と肝機能障害」で書いたように、私のウルトラマラソンの前の肝機能障害はにんにくが影響していたかもしれません。にんにくについてちょっと気になることがあります。

ご存じの方も多いと思いますが、栄養成分について、日本食品標準成分表2020年版(八訂)から、炭水化物に関して大きな変更がありました。これまでの日本食品標準成分表2015年版(七訂)では、「炭水化物」の欄は下の図のようになっていました。

「炭水化物」の他に、「利用炭水化物」という項目があります。日本食品標準成分表2020年版(八訂)では、下の図のようになっています。

炭水化物という名前の付く項目だけで、4種類もあります。このうち一番右の黄色の「炭水化物」は、成分表2015年版(七訂)の方法のエネルギーの算出に使われた成分項目です。利用炭水化物の欄が3種類になってしまいました。

いわゆる「炭水化物」は、みなさんがご存じのように「糖質」+「食物繊維」です。エネルギー計算のときは炭水化物は4kcal/gでした。

「利用可能炭水化物」とは、体内で利用できる、つまり消化吸収される炭水化物を示します。 糖アルコールは消化吸収されにくく、利用可能炭水化物とは分けて考えられています。「利用可能炭水化物」には、「利用可能炭水化物(単糖当量)」、「利用可能炭水化物(質量計)」、「差し引き法による利用可能炭水化物」の3種類がありますね。ややこしいですね。

利用可能炭水化物は、「利用可能炭水化物(単糖当量)」「利用可能炭水化物(質量計)」「差し引き法による利用可能炭水化物」の3種類があります。

「利用可能炭水化物(単糖当量)」は、主に分析値で、でん粉やブドウ糖、果糖などの利用可能炭水化物を分析して、各糖類の質量を単糖に換算し合計した値です。詳しく言えば、「でん粉、ぶどう糖、果糖、ガラクトース、しょ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、イソマルトース、80 %エタノールに可溶性のマルトデキストリン及びマルトトリオース等のオリゴ糖類等」

エネルギー計算の際に用います。しかし、「利用可能炭水化物(単糖当量)」は3.75kcal/gです。いわゆる「糖質」から「糖アルコール」を引いたような値ですね。

ちなみに、それぞれの栄養素のエネルギー換算係数は下のようです。(図はここより)

多くの人は自分でエネルギー計算をしないでしょうから、参考程度に見てください。私もエネルギー計算は通常しません。

「利用可能炭水化物(質量計)」は、利用可能炭水化物(単糖当量)と同様に利用可能炭水化物を分析した値で、質量の合計を示します。摂取量を算出する際には、こちらの値を用います。

「差し引き法による利用可能炭水化物」は、食品100gから水分、アミノ酸組成によるたんぱく質(この値がない場合は、たんぱく質)、脂肪酸のトリアシルグリセロール当量として表した脂質(この値がない場合は、脂質)、食物繊維総量、有機酸、灰分、アルコールなどを差し引いた値です。これまでの「炭水化物」から食物繊維を引いた値に一番近い値ですね。利用可能炭水化物(単糖当量、質量計)の値がない食品や一部の食品のエネルギー計算は、この値が用いられるそうです。

ここまでは良いとして、いくつかの野菜では利用可能炭水化物と従来の炭水化物量、または差し引き法による利用可能炭水化物の量+食物繊維総量合計と、利用可能炭水化物(単糖当量)+食物繊維総量の合計があまりにも乖離しているものがあります。その代表がにんにくです。下の表を見てください。

可  食  部   100  g  当  た  り
食 品 名 廃 棄 率 エネルギー 水 分 たんぱく質 脂質 炭水化物 有機酸

アミノ酸組成による
たんぱく質
たんぱく質 脂肪酸の
トリアシルグリセロール当量
コレステロール 脂質 利用可能炭水化物 食物繊維総量 糖アルコール 炭水化物
利用可能炭水化物
(単糖当量)
利用可能炭水化物
(質量計)
差引き法による
利用可能炭水化物
単位 % kJ kcal (…………… g ………………) mg (……………………………… g ……………………………)
アスパラガス 若茎 生 20 87 21 92.6 1.8 2.6 (0.2) Tr 0.2 2.1 * 2.1 2.7 1.8 3.9 0.2 0.7
えだまめ 生 45 524 125 71.7 10.3 11.7 5.7 (0) 6.2 4.7 4.3 5.7 * 5.0 8.8 1.6
オクラ 果実 生 15 107 26 90.2 1.5 2.1 (0.1) Tr 0.2 1.9 1.9 2.2 * 5.0 6.6 0.1 0.9
かぶ 根 皮なし 生 15 78 19 93.9 0.5 0.6 (0.1) (0) 0.1 3.5 * 3.5 3.5 1.4 4.8 0 0.5
(かぼちゃ類) 西洋かぼちゃ 果実 生 10 331 78 76.2 1.2 1.9 0.2 0 0.3 17.0 * 15.9 17.6 3.5 20.6 0.4 1.0
カリフラワー 花序 生 50 117 28 90.8 2.1 3.0 (0.1) 0 0.1 3.2 * 3.2 2.9 2.9 5.2 0.3 0.9
(キャベツ類) キャベツ 結球葉 生 15 90 21 92.7 0.9 1.3 0.1 (0) 0.2 3.5 * 3.5 3.8 1.8 5.2 0.1 0.5
きゅうり 果実 生 2 55 13 95.4 0.7 1.0 Tr 0 0.1 2.0 * 1.9 2.0 1.1 3.0 0.3 0.5
ごぼう 根 生 10 244 58 81.7 1.1 1.8 (0.1) (0) 0.1 1.1 1.0 10.4 * 5.7 15.4 0.9
こまつな 葉 生 15 55 13 94.1 1.3 1.5 0.1 (0) 0.2 0.3 0.3 0.8 * 1.9 2.4 1.3
(しょうが類) しょうが 根茎 皮なし 生 20 117 28 91.4 0.7 0.9 (0.2) (0) 0.3 4.2 4.0 4.6 * 2.1 6.6 0.1 0.7
ズッキーニ 果実 生 4 66 16 94.9 (0.9) 1.3 (0.1) (0) 0.1 (2.3) * (2.3) 1.9 1.3 2.8 0.8
セロリ 葉柄 生 35 49 12 94.7 0.4 0.4 0.1 (0) 0.1 1.4 * 1.3 1.1 1.5 1.0 3.6 Tr 1.0
そらまめ 未熟豆 生 25 431 102 72.3 8.3 10.9 0.1 (0) 0.2 13.2 12.1 15.6 * 2.6 15.5 1.1
(だいこん類) だいこん 根 皮なし 生 15 63 15 94.6 0.3 0.4 (Tr) 0 0.1 2.9 * 2.8 3.0 1.3 4.1 0.6
(だいこん類) 切干しだいこん 乾 0 1178 280 8.4 (7.3) 9.7 (0.3) (0) 0.8 51.3 * 21.3 69.7 8.5
たけのこ 若茎 生 50 114 27 90.8 2.5 3.6 (0.1) (0) 0.2 1.4 1.4 2.5 * 2.8 4.3 0.1 1.1
(たまねぎ類) たまねぎ りん茎 生 6 139 33 90.1 0.7 1.0 Tr 1 0.1 7.0 * 6.9 7.1 1.5 8.4 0.2 0.4
たらのめ 若芽 生 30 114 27 90.2 4.2 (0) 0.2 0.1 * 4.2 4.3 1.1
チンゲンサイ 葉 生 15 36 9 96.0 0.7 0.6 (0.1) (0) 0.1 0.4 0.4 0.7 * 1.2 2.0 0.1 0.8
(とうもろこし類) スイートコーン 未熟種子 生 50 375 89 77.1 2.7 3.6 1.3 0 1.7 12.5 12.0 14.8 * 3.0 16.8 0.2 0.8
(とうもろこし類) ヤングコーン 幼雌穂 生 0 124 29 90.9 (1.7) 2.3 (0.2) (0) 0.2 (4.2) * (4.1) 3.9 2.7 6.0 0.6
(トマト類) 赤色トマト 果実 生 3 83 20 94.0 0.5 0.7 0.1 0 0.1 3.1 3.1 3.5 * 1.0 0 4.7 0.4 0.5
(なす類) なす 果実 生 10 77 18 93.2 0.7 1.1 Tr 1 0.1 2.6 * 2.6 3.0 2.2 5.1 0.4 0.5
(にら類) にら 葉 生 5 75 18 92.6 1.3 1.7 (0.1) Tr 0.3 1.7 * 1.7 1.9 2.7 4.0 1.1
(にんじん類) にんじん 根 皮なし 生 10 127 30 89.7 0.6 0.8 (0.1) (0) 0.1 5.8 * 5.7 6.2 2.4 8.7 0.3 0.7
(にんにく類) にんにく りん茎 生 9 544 129 63.9 4.0 6.4 0.5 (0) 0.9 1.1 1.0 24.1 * 6.2 27.5 0 1.4
(ねぎ類) 根深ねぎ 葉 軟白 生 40 146 35 89.6 1.0 1.4 Tr 2 0.1 3.6 3.6 6.4 * 2.5 8.3 0.5
はくさい 結球葉 生 6 54 13 95.2 0.6 0.8 Tr (0) 0.1 2.0 * 2.0 2.1 1.3 3.2 0.6
(ピーマン類) 青ピーマン 果実 生 15 85 20 93.4 0.7 0.9 0.1 0 0.2 2.3 2.3 3.0 * 2.3 5.1 0.2 0.4
ブロッコリー 花序 生 35 156 37 86.2 3.8 5.4 0.3 0 0.6 2.4 * 2.3 3.1 5.1 6.6 0.3 1.2
ほうれんそう 葉 通年平均 生 10 75 18 92.4 1.7 2.2 0.2 0 0.4 0.3 * 0.3 0.1 2.8 3.1 0.9 1.7
みずな 葉 生 15 96 23 91.4 (1.9) 2.2 (0) 0.1 2.1 * 3.0 4.8 1.3
(もやし類) だいずもやし 生 4 122 29 92.0 2.9 3.7 1.2 Tr 1.5 0.6 * 0.6 1.1 2.3 2.3 0.5
ゆりね りん茎 生 10 501 119 66.5 (2.4) 3.8 (0) 0.1 24.3 * 5.4 28.3 1.3
(らっきょう類) らっきょう りん茎 生 15 342 83 68.3 0.9 1.4 (0.1) (0) 0.2 9.2 * 20.7 29.3 0.8
(レタス類) レタス 土耕栽培 結球葉 生 2 46 11 95.9 0.5 0.6 Tr (0) 0.1 1.7 * 1.7 1.9 1.1 2.8 0.5
れんこん 根茎 生 20 280 66 81.5 1.3 1.9 Tr 0 0.1 14.2 13.0 14.1 * 2.0 15.5 1.0
<いも類> きくいも 塊茎 生 20 278 66 81.7 1.9 (0) 0.4 (2.8) (2.7) 12.2 * 1.9 14.7 0.5 1.3

にんにくの100g当たりの炭水化物量は27.5g、差し引き法による利用可能炭水化物24.1g、食物繊維総量は6.2gです。しかし、利用可能炭水化物(単糖当量)は1.1gなのです。つまり、20g前後は利用可能炭水化物ではない「利用不可能炭水化物」なのです。もちろんこれは食物繊維でもありませんし、糖アルコールでもないのです。では、「利用不可能炭水化物」はどんなものなのでしょう?どこにも書かれていません。にんにく100gで糖質1.1gであればたくさん食べても大丈夫ですが、24.1gであれば大量には食べれません。

にんにくには大量のフルクタンが含まれています。フルクタンは人間の消化酵素で分解されず、腸まで到達して腸内細菌に利用される難消化性のオリゴ糖/多糖類です。イヌリンもフルクタンの一つです。フルクタンという名前の通り、果糖がいっぱい繋がったものです。

そうであるならば他の多糖類やオリゴ糖などと共に利用可能炭水化物に含まれていも良いはずですが、消化できないので、通常は食物繊維に分類されているはずです。いずれにしてもどちらかにフルクタンが含まれていないと変ですね。

フルクタン(イヌリン)を多く含むもので有名なのが、きくいもですね。きくいもは野菜ではなくイモですが、その炭水化物欄を見てみましょう。

利用可能炭水化物(単糖当量)2.8g、差し引き法による利用可能炭水化物12.2g、食物繊維1.9g、炭水化物14.7gです。利用可能炭水化物(単糖当量)と食物繊維を足しても、差し引き法による利用可能炭水化物や炭水化物量には遠く及びません。つまり、「利用不可能炭水化物」が存在しています。きくいものイヌリン量は8~17 g/100gと分析されています。(ここ参照)

他の文献では、きくいものイヌリン量は16~20g/100gとも書かれています。(ここ参照)ここで書かれているイヌリン量は、にんにくで9~16g、ごぼうで5.4〜9.7gです。上の表の食物繊維欄の数値と比較すると、きくいもは大きく違いますし、にんにくも違いが結構あります。ごぼうはまずまずですが。

かなり古いものですが、らっきょうは17.6%のフルクタンを含み、炭水化物の約80%を占めた、と書かれた文献もあります。(ここ参照)食物繊維18.9%で、その90%以上がフルクタンとも書かれています。つまり、らっきょう100g当たりのフルクタンは17.6gです。食物繊維は18.9gです。この量は上の表のらっきょうの欄の食物繊維量に近いものがあります。らっきょうのフルクタンは食物繊維に入っているに、にんにくやきくいものフルクタンは食物繊維に入っていない、ということは考えられません。

もし、にんにくのフルクタンが食物繊維にも分類されない「利用不可能炭水化物」として存在し、私の消化酵素が特別で、フルクタンを分解できて吸収してしまったら、私は毎日大量の果糖を摂取していた可能性があります。そうすれば、私の今年の肝機能障害、脂肪肝の説明がつきます。もちろん昨年までの2年間の説明が付きませんが。

いずれにしても、にんにくの利用可能炭水化物(単糖当量)1.1gが信用できる数値であれば、今後もにんにくをたくさん食べますが、実際にはもっと糖質として多いのであれば、単なる調味料のような使い方しかできません。

どなたか、利用可能炭水化物量とこれまでの炭水化物量および差し引き法による利用可能炭水化物量との乖離の理由がわかる方はいませんか?

(様々な食品の栄養成分を知りたい方は、ここにデータベースがあり、検索できます。)

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