我々人類は雑食性の動物です。そして 肉食性の動物でもあります。様々な肉や魚などからタンパク質をはじめとする栄養素を摂り入れ、体を作るように進化しました。
一部の人は動物を食べることを好まず、ベジタリアンやビーガンの食事をしています。肉よりも野菜の方がコレステロールや飽和脂肪酸も少なく、様々なビタミンが豊富で、抗酸化物質もたくさん摂れると考えるかもしれません。しかし、肉食で進化した人間にとって有益なのでしょうか?
今回の研究では、肉を含む雑食の食事をする人とベジタリアンとビーガンの人を比較しています。平均29歳の標準体重(平均BMI21)の人を対象としています。(図は原文より)
上の図はそれぞれの食事の内容です。左から雑食、真ん中がベジタリアン、右がビーガンです。食事の内容は上から、牛肉と羊肉、鶏肉と魚と豚肉、乳製品、シリアルとパン、野菜、果物、油脂、スナックと砂糖、飲み物です。当然ベジタリアンとビーガンは肉を食べていません。ビーガンは乳製品もゼロです。大きな違いはベジタリアンはシリアルやパンを雑食の2倍以上ビーガンは3倍近く摂取し、野菜もベジタリアンとビーガンは雑食の4倍程度、果物も雑食の5~6倍摂取していることです。
さて、野菜はヘルシーなのでしょうか?
上の図はそれぞれの食事の体の状態、検査データです。ビーガンでは雑食と比較して、筋肉量指数(MM)と除脂肪体重(LBM)の有意な減少が観察されました。かなりビーガンは筋肉が少ないですね。
血液データでは、雑食はコレステロールや飽和脂肪酸の摂取量が圧倒的に多いにも関わらず、それぞれの食事で大きな差がありません。逆に中性脂肪(TG)はビーガンの方が雑食よりも高いくらいです。
ホモシステイン(Homo)は雑食とベジタリアンやビーガンの間で有意差があり、最も雑食が低くなっています。高ホモシステイン血症は心筋梗塞や虚血性脳血管障害などの心血管リスクなどの因子とされています。また、葉酸やビタミンB12欠乏を示しています。ビーガンやベジタリアンでは葉酸やビタミンB12などが不足してしまうのでしょう。
上の図は上の4つが抗酸化作用のパラメーター、一番下が酸化ストレスのパラメーターです。
抗酸化パラメータのFrapはビーガンが低く、フェノール(Phenol)は有意に雑食で高くなっていました。つまり、雑食の方が抗酸化パラメーターが高いのです。
さらに酸化ストレス(脂質過酸化)のパラメーター(TBARS)はビーガンが非常に高く、雑食やベジタリアンの約2倍でした。脂質過酸化の増加は、ビーガンに含まれる高用量の抗酸化物質であるビタミンCやビタミンE、カロテノイドなどが毒性を引き起こし、酸化促進を示している可能性があります。
つまり、ビーガンの食事の長期摂取は、必要な栄養素を別に摂取しない場合、酸化ストレスから保護したり、酸化ストレスを防止したりすることもできないのでしょう。また、人間の健康な生物学的システムを維持することもできないでしょう。
肉や魚、卵をしっかり摂って健康を維持しましょう。
「Effect of restriction vegan diet’s on muscle mass, oxidative status, and myocytes differentiation: A pilot study.」
「筋肉量、酸化状態、および筋細胞分化に対する制限ビーガン食の影響:予備的研究」(原文はここ)
ビーガン、有名なトレイルランニング走者や芸能人にもやっていらっしゃる方がいて、体調良くなる?体も軽くなって活動的になれる?と、惹かれる部分もありますが、やはり科学的に
分析すると、必須栄養素が十分摂る事ができないなどの問題がありそうですね。
「科学的」というより「宗教的」「思想的」習慣に近いのではないでしょうか。
そう思えば、ビーガンの人達がたとえ必須栄養素が不足していても(精神力で)元気、
健康なのではないか、と納得いきます。
糖質制限も無関心な人達からみれば「宗教的」かもしれませんが。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
何を食べるかは自由です。糖質制限も「宗教的」なら、バランス食も1日3食きっちり食もすべてエビデンスが無く、
「宗教的」なのかもしれないですね。食と宗教は昔から結びつきがありますから。
宗教的に考えたい人は考えれば良いと思います。私は全くそのようには思いませんが。
アメリカ製サプリメントには「ビーガン用」と書かれたものが多く存在します。
ビーガンはそれだけ栄養が偏って足りないと言う事だと思います。動物性食品にしか含まれないビタミンB12などは明らかに不足するでしょう。
ビーガンは決して健康食ではなく、精神的主張であって、豚肉や牛肉を口にしない宗教があるのと同じように宗教食だと思います。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
人間が肉食である以上、ビーガンで生きていこうというのは所詮無理だと思います。
ビーガンの人は健康を求めているのではなく、もっと違うものを求めているのでしょうね。