若年層の心筋梗塞とLDLコレステロール

LDLコレステロールが心筋梗塞などの心血管疾患の原因であるというのは非常に疑わしいと思っています。

アメリカにおける比較的若年層の心筋梗塞を発症した人のデータを見てみると面白いことがわかります。最初の心筋梗塞で入院し、心臓カテーテル検査を受けた6,639人の患者のうち、41%が55歳未満、35%が55〜65歳、24%が66〜75歳でした。

では入院時のデータを見てみましょう。(表は原文より改変)

18歳以上55歳未満55歳以上64歳以下65歳以上75歳以下合計
 BMI人数(%)<0.001
  25未満520(19.2)561(24.3)479(30.4)1,560(23.6)
  25以上30未満1,066(39.3)971(42.0)609(38.7)2,646(40.1)
  30以上35以下694(25.6)467(20.2)295(18.7)1,456(22.1)
  35以上434(16.0)311(13.5)191(12.1)936(14.2)
 喫煙歴<0.001
  なし1,080(39.5)1,112(47.8)978(61.8)3,170(47.7)
  以前236(8.6)321(13.8)262(16.6)819(12.3)
  現在1,417(51.8)891(38.3)342(21.6)2,650(39.9)
 高血圧の病歴1,271(46.5)1,316(56.6)1,011(63.9)3,598(54.2)<0.001
 糖尿病の病歴517(18.9)562(24.2)452(28.6)1,531(23.1)<0.001
 高脂血症の病歴1,093(40.0)1,020(43.9)715(45.2)2,828(42.6)<0.001
検査値
 中性脂肪ベースライン値 mg/dl123(82–181)112(75–169)101(66–149)114(75–170)<0.001
 総コレステロールベースライン値 mg/dl183(157–215)175(148–203)167(142–197)177(150–207)<0.001
 HDLベースライン値 mg/dl37(31–44)39(33–47)41(34–49)39(32–47)<0.001
 男性:HDL<40 mg/dl、女性:HDL<50 mg/dl1,808(66.2)1,437(61.8)945(59.7)4,190(63.1)<0.001
 LDLベースライン値 mg/dl117(91–143)107(84–133)103(79–128)110(85–136)<0.001
 LDLカテゴリー mg/dl<0.001
  70未満259(9.5)312(13.4)254(16.1)825(12.4)
  70以上100未満624(22.8)646(27.8)492(31.1)1,762(26.5)
  100以上130未満816(29.9)718(30.9)463(29.3)1,997(30.1)
  130以上190未満897(32.8)584(25.1)325(20.5)1,806(27.2)
  190以上137(5.0)64(2.8)48(3.0)249(3.8)
  LDL 160以上422(15.4)238(10.2)132(8.3)792(11.9)<0.001
 収縮期血圧 mmHg129(115–144)132(117–149)136(118–154)131(117–148)<0.001
 拡張期血圧 mmHg79(70–90)78(68–88)75(66–84)78(68–88)<0.001

心筋梗塞を起こした55歳未満の人の平均LDLコレステロールは117mg/dLでした。これらの人の約3分の1では、LDLは100mg/dL未満でした。LDL高値は多くはありません。

中性脂肪は平均で123mg/dLであり、HDLコレステロールは平均で37mg/dLでした。男性でHDL40未満、女性で50未満は66%でした。

その他には、80%以上が過体重であり、41%以上が肥満でした。52%近くが現在も喫煙しており、46.5%が高血圧、18.9%が糖尿病でした。

果たして、心筋梗塞はLDLコレステロールによって起こったのでしょうか?この様々なデータを見てLDLが犯人だと思えるでしょうか?

以前の記事「LDLコレステロール値は役に立たない」でも書いたように、心筋梗塞を起こす人はLDLが基準値の範囲であることは全く珍しいことではありませんし、基準値を下回る人もたくさんいます。今回の研究でも70未満の人が10%近くもいます。

さらに、「急性心筋梗塞や急性心不全ではLDLコレステロール値が高い方が死亡率が低い」で書いたように、LDLが高い方が心筋梗塞での死亡率が低いというデータもあります。

LDLよりもHDLの低さの方が問題ではないかと思います。さらに中性脂肪の高さでしょう。恐らくBMIの高さも考えると、食後の中性脂肪は非常に高くTGスパイクを起こしているでしょう。

本当に必要なのはLDLを下げることでしょうか?糖質制限をして、中性脂肪を下げて、HDLを増加させて、体重を減少させ、炎症を低下させ、血液を固まりにくくさせた方が余程心筋梗塞や心血管疾患のリスクを低下させられると思います。

糖質過剰症候群

「Performance of Guideline Recommendations for Prevention of Myocardial Infarction in Young Adults」

「若年成人の心筋梗塞の予防のためのガイドライン推奨のパフォーマンス」(原文はここ

2 thoughts on “若年層の心筋梗塞とLDLコレステロール

  1. 本木雅弘さんのお茶のCM、健康的な生活の啓発をしています。
    当然のごとく、コレステロールは無条件に悪者です。
    サトリーのホームページ情報によると、今年8月実施のアンケートによると健康キーワード
    1位はコロナ、2位糖尿病、3位高血圧、それらはいいとして、
    対策の健康行動トップ3が「朝食摂取」「休養」「野菜から食べる」とのこと。
    意識が高いんだか低いんだか、それとも食品会社にとって不利益な情報は
    流さないのか、
    とにかく正確な情報が伝わっていない、ような気がします。
    これらを真に受けて「健康生活」を続けたら、糖尿病や生活習慣病、
    それらに伴う合併症も減りそうにないですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      企業は利益第一ですから。それにしても「トクホ」も非常に怪しいですね。本当に健康と結びついているのでしょうか?
      裏ではお金が動いているのでしょうか?

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