体組成計って正確なの?

糖質制限+カロリー制限をされている方からコメントをいただきました。

「糖質制限+カロリー制限」の実験中(糖質制限下でのカロリー制限は禁忌ですがあえて実験)です。
2か月の実験の結果、摂取カロリーは1800→1500kcalで300kcalほど減っていますが、蛋白質摂取量は落とさないように注意し(少し落ちてますが)、113→106gです。
結果、体重は落ちていますが、筋肉量はほぼ、維持されています。
特に運動はしていません(通勤などで8000歩程度)が、蛋白質を十分に摂取(2g/kg)していれば、日常の活動負荷に必要な筋肉量が維持されているのだと思います。
ただし、週末になると通勤による歩行がなくなる分運動が減り、筋肉量も明らかに落ちます。運動は筋肉量にリアルタイムに反映するように感じます。

前回検査日(9/5 実験開始)→今回検査日(11/7) の変化です。
■検査結果(9/5→11/7)
アルブミン      4.3 → 4.5
総コレステロール   247 → 250
LDLコレステロール 149 → 161
HTLコレステロール  77 → 77
中性脂肪        59 → 48
AST         19 → 19
ALT         18 → 16
γ-GT        16 → 16
血糖値        104 → 95
HbA1C       5.8 → 5.8
クレアチニン      0.75→ 0.72
eGFR       82.9 → 86.7
尿酸          5.3 → 5.7

■体組織(9/5→11/7)
体重         56.1 → 54.8
筋肉量        43.9 → 43.7
体脂肪率       17.5 → 15.9
内臓脂肪レベル    9.5 → 8.5
※身長161.5cm

■食事(月平均)
    8月→ 9月→10月→11月
摂取量 1800→1690→1596→1493 kcal
蛋白質 113→ 107→ 104→ 106 g
脂 質 131→ 119→ 110→ 98 g
糖 質 42→ 47→ 47→ 47 g

狩猟採集時代では恐らく毎日満腹になるまで食事にありつけるわけではなかったと思います。そして、1日の食事回数も恐らく1回、多くて2回でしょう。それで、現代のような2,000kcal前後のエネルギーを摂取できたかというと、できていなかったと思います。他の動物と一緒で満腹になればそれ以上に食べることはなかったでしょうし、空腹になれば必死に獲物を探したと思います。

恐らく人間や動物はかなりの幅の摂取エネルギーの中で生きていけると思います。足りなければ可能な範囲でやり繰りをするのでしょう。そのやり繰りのために使わない部分はどんどん削られてしまうでしょう。そんな中で少なめのエネルギーの方が良いのか、多めの方が良いのかはわかっていません。ただ、動物ではエネルギーが少ない方が長寿にかかわるサーチュイン遺伝子が活性化すると言われています。しかし、人間ではどうかはわかりません。エネルギーを制限しなくとも糖質制限で達成可能かもしれません。

我々が糖質制限が有益だと考えていても、糖質過剰摂取の状態でも健康かどうかは別として、寿命が非常に長くなり、人生100年時代を迎えていることは確かです。そうすると、摂取エネルギーを制限することが人間にとって本当に良いことなのかどうかはわかりません。

ここのところはそれぞれの判断で良いと思います。

データでは面白いことに、脂質摂取量が減って、中性脂肪は低下、LDLコレステロールは上昇傾向ですね。以前の記事「糖質制限とLDLコレステロール上昇5 ファスティングはLDLコレステロール値を上昇させる」で書いたように、絶食をするとLDLコレステロールは上昇します。それと似たようなことが起きているのかもしれません。つまり、体にとっては少しエネルギー不足なのかもしれません。それにしてもLDLは様々な影響を受けるようですね。

しかし、筋肉量が変化していないので、筋肉が分解されてエネルギーにされるほどではないのでしょう。体脂肪率はその分減少しているように見えます。筋肉はどの程度の動きで維持できるのかはわかりませんが、コメントにあるように1日8,000歩くらいの運動であれば、問題ないのかもしれません。入院生活では1,000歩も歩かないでしょう。(「活動性の低下によって失ったものは簡単には戻らない」参照)

さて、この体組成のデータですが、恐らく「タニタ」などの家庭用の体重計(体組成計)のデータだと思います。しかし、ご存じの方も多いと思いますが、タニタの体組成計には「アスリートモード」があります。私もタニタの体組成計を使っていますが、アスリートモードにするとビックリするくらい体脂肪率が激減します。標準体重の男性なら誰でも体脂肪率が一桁になるかもしれません。

同じ人でも測定するのに、通常のモードと、アスリートモードでは体脂肪率が違うというのはおかしいですよね?これはアルゴリズムを使って、推測しているだけの値だからです。通常モードとアスリートモードでは体脂肪率を計算するアルゴリズムが違うのです。つまり、体組成計で表示されるデータは所詮、推測値であり、そこまでの精度ではないのでは?と思います。同様に、筋肉量もタニタのホームページのよくある質問にあるように、実際の骨格筋の量を示しているわけではありません。ホームページには次のように書かれています。

弊社体組成計で測定いただける筋肉量は、一般的に筋肉と呼ばれる「骨格筋」のみならず、平滑筋(内臓など)や体水分も含んでおります。

申し訳ございませんが、弊社体組成計で表示する「筋肉量」から骨格筋に関する数値を計算することは出来ません。

つまり、筋肉量と示されていても水分の増減でも変化しますし、骨格筋が増減したかどうかはわかりません。内臓脂肪に関しても同様にアルゴリズムで推測したものでしょうから、あまり一喜一憂する必要はないと思います。

また、部位別の組成を測定できるタイプもありますが、これもかなりの誤差があると思います。ちょっと前の研究ですが、水泳選手に対して体組成計を使って調べたものがあります。正確に体組成を計測する方法として「DXA法」というのがありますが、これと比較しています。(図は原文より)

上の図は5年以上の競技経験を持った大学の水泳選手29人(男性15人、女性14人)の状態です。

上の図は男女別の部位別の測定法の違いによる脂肪率の測定値です。左から標準モードとアスリートモードとDXA法で、上から右脚、左脚、右腕、左腕、体幹、総体脂肪率です。標準モードとアスリートモードでは、男女とも5%以上違っており、アスリートモードの方が低く出ています。DXA法はその間くらいの値です。部位や性別によっては誤差が無い部位もありますが、全体的に考えると、精度は低いと思えます。

アスリートモードというのは、

18才以上の方で、次の条件を満たしている場合
・1週間に12時間以上のトレーニングを行っている方
・体育会やスポーツ実業団に所属し、競技会等を目指している方
・プロスポーツ選手
・ボディービルダーのように、筋肉量が多くなるようなトレーニングを行っている方

という場合に使いますが、これが力士でもマラソンランナーでも水泳選手でも同様に使えるのかどうかはわかりませんが、非常にあいまいな条件です。

まあ、体組成は同じ機器、同じ条件を意識して測定して、あくまで目安程度に考える方が良いでしょう。体脂肪率を低い方が「うれしい」と思うのであれば、アスリートモードにしてみてください。(推奨はしていませんが)

「生体インピーダンス測定器の測定精度」(原文はここ

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コメント

  1. 大阪高橋 より:

    ある有名なパーソナルトレーナーが「体組成形の数字なんかより、鏡の前に裸で立って、各部をしげしげとチェックする方がはるかに情報量が多い」と言っていましたが、私もその通りだと思います。もちろん血液検査は別ですが、体組成計よりは「見た目」の方がはるかに大事だと思います。

    • Dr.Shimizu より:

      大阪高橋さん、コメントありがとうございます。

      私も自分の体の見た目を結構大事にしています。しげしげとは見てみませんが。
      体組成計はかなり精度が低いと思います。

  2. とくっち より:

    私の通っているフィットネスクラブの体組成計がタニタからインボディに
    変更になりました。
    それだけで体脂肪率が5%上昇。あんまり当てにならないことを実感しました。

    元々見た目よりも体脂肪率が高く表示されるタイプなので単なる目安にしています。

    • Dr.Shimizu より:

      とくっちさん、コメントありがとうございます。

      業務用の体組成計でさえそのようなレベルなのですね。
      家庭用は本当に目安程度ですね。