新型コロナウイルスの影響で様々な産業、企業が打撃を受けています。しかし、年末頃に牛乳の消費低迷で在庫が増加し破棄しなければならないような事態に直面した時、なぜか自治体や国なども牛乳消費拡大を訴えていました。(ここ参照)どこかとどこかの裏側のつながりが強いのでしょうか?

いまだに小学校などの給食で牛乳が出ていることは不思議です。この時代になっても牛乳は健康的な栄養満点な飲み物という認識なんでしょう。

また、日本では近年プロテインブームが起きています。マスコミもネット上でもプロテインに関する話題が非常に多くなっています。高タンパクを謳う商品もものすごい数になっています。もちろん、タンパク質は非常に重要で、必須の栄養素ですが、あまりにもタンパク質不足と思わされ過ぎている感じも受けます。

様々な情報をもとにプロテイン飲料を飲んでいる人も多いでしょう。しかし、プロテインの安全性が確かめられる前に市場ではプロテイン商品があふれるようになってしまいました。

タンパク質の摂り過ぎが腎臓に悪いというのは私は否定的です。しかし、別の面での問題を懸念しています。

糖質制限は様々な有益性があると考えられていますが、その多くは血糖値を下げ、インスリン分泌、IGF-1(インスリン様成長因子)分泌を低下させ、それに伴うmTOR活性化も抑制することにより起こってると考えられます。つまり、子供のころは体の成長に重要なものが、大人にとっては成長は老化とがん化を招く可能性があるのですが、その部分を糖質制限では抑制します。

ホエイプロテインは、牛乳由来のタンパク質です。牛乳ももちろんですが牛乳由来のタンパク質はインスリン分泌、IGF-1分泌増加をもたらし、mTORの活性化を招きます。糖質を含んだホエイプロテインは糖質だけよりも1.6倍ものインスリンを分泌してしまいます。

プロテインを牛乳で割ればさらにそのような作用が増加します。人類はこれまで液体のタンパク質を摂ってきたことはありませんでした。それがプロテインを水や牛乳に溶かして飲むプロテイン飲料が出回ったことで、非常に吸収の良いプロテインを人間は手にしてしまいました。

吸収が良ければ血中濃度の上昇も大きくなります。糖質もゆっくりと摂取すれば吸収もゆっくりで血糖値の上昇も緩やかになります。それと同様にタンパク質も肉などから摂取すればゆっくり吸収されますが、液体状では非常に素早く体内に入り、その分体の反応も急激に大きくなります。プロテイン飲料は血糖値をあまり上げませんが、インスリンは増加してしまいます。

男性ももちろんそうですが、AYA世代の若い女性の間でプロテイン飲料が流行しているのは非常に恐ろしいことになるのではないかと思っています。インスリンもIGF-1もがんと結びついているからです。拙著「肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群II 」でも書いたように、AYA世代のがんの増加は著しいです。15~39歳の思春期・若年(AYA)世代のがん患者で、多くは女性が占めていることがわかりました。AYA世代の中で20~39歳の患者の約8割を女性が占めているのです。乳がんや子宮頸がんの増加が大きな原因と考えられています。

以前の記事「乳がんで糖質制限をした方が良い理由」で示したように、乳がん細胞には約6倍ものインスリン受容体があります。IGF-1が高いと8倍以上、子宮頸がんの前がん病変になりやすいのです。

ホエイプロテインに豊富なトリプトファンは成長ホルモン、IGF-1の分泌を増加させ、ロイシンはインスリン分泌を促進します。グルタミンもmTORを活性化します。牛乳および牛乳由来のタンパク質には他のメカニズムも考えられています。

せっかく糖質制限をしても、タンパク質の選択を間違えることにより、糖質過剰摂取と同様なリスク増加を起こしてしまうかもしれません。

牛乳は牛の赤ちゃんを大きくするためのお乳です。牛は人間より何倍も速く成長します。

牛乳摂取量が多いと、初潮が早くなるともいわれています。ニキビもIGF-1、mTORの活性化が関連していると言われています。ボディービルのためにホエイプロテインを始めた若い男性が、プロテインを飲み始めてから体幹にニ発生し、プロテイン中止で改善したという報告もあります。(ここ参照)(もちろん、このプロテイン飲料には大量の糖質が入っていた可能性もあります。)

つまり、初潮が早く、身長が比較的高く、ニキビが多いまたは以前多かった女性は、糖質過剰摂取だけではなく、牛乳由来のタンパク質にも反応しやすい可能性があります。

血糖値の推移だけを見れば、プロテイン飲料を飲んでもほとんど変化しないでしょう。しかし、その見えない裏側では、健康に有害になりうるメカニズムが動いているかもしれません。糖質制限では、「糖質=悪玉」という図式ですが、その流れで「タンパク質=善玉」となっています。しかし、全てのタンパク質を同じようにはとらえられないかもしれません。短期的に見れば本当のタンパク質不足の人では、プロテイン摂取は体調などの改善を認めるかもしれません。しかし、長期的に見れば安全性はわかりませんし、何かあっても因果関係は不明とされるでしょう。(なんかどこかのワクチンに似ていますね?)がんへの影響はかなり経ってからしか現れません。プロテインによる代謝への影響を考えれば、十分な注意が必要でしょう。BUN20以上を目指してプロテインを摂取し続けるのも問題です。(「タンパク質摂取に対する根拠無き理想値 その1」など参照)

タンパク質摂取は重要です。プロテイン飲料はその手軽さで人気がありますが、しかし、本当に安全かどうかはわかりません。ホエイプロテイン20gは牛乳コップ約3杯分(600ml)のタンパク質を含んでいます。毎日の摂取はお勧めしません。糖質過剰摂取や糖質過剰+プロテインよりはリスクは少ないと思いますが、プロテインに関連する企業の戦略や一部の専門家に惑わされず、慎重に選択してください。

 

「Lifetime Impact of Cow’s Milk on Overactivation of mTORC1: From Fetal to Childhood Overgrowth, Acne, Diabetes, Cancers, and Neurodegeneration」

「mTORC1の過剰活性化に対する牛乳の生涯の影響:胎児から小児期の異常成長から、にきび、糖尿病、がん、および神経変性まで」(原文はここ

21 thoughts on “プロテイン摂取は慎重に”
  1. 久しぶりにコメントします。プロテインよりも肉や卵、魚ですよね。普通の食事でしっかりタンパク質と脂質を摂取する、これが本来ですから。

    1. 齊藤克弘さん、コメントありがとうございます。

      プロテインはタンパク質ですが、タンパク質=プロテインではないですからね。
      肉や卵、魚でしょうね。

  2. いつも拝見しております。
    中3の息子と糖質制限生活4年目です。息子は最近特に筋トレをしているのもありプロテインを飲んでいるのですが先生の記事を見てやめさせようかなと思いました。もともとは自分自身がソイプロテインを飲んでいたのもあって息子も飲むようになり現在はホエイプロテインに。記事では牛乳由来の危険性を書かれていますのでソイプロテインは安全だと考えてよろしいでしょうか?

    1. 登山好きランナーさん、コメントありがとうございます。

      中学生が筋トレして、その時にプロテインを飲むなんて、プロテインに関連する企業は大成功ですね。
      企業の戦略として、筋トレしたときにタンパク質補給が重要だという洗脳がかなり浸透しているのですね。
      そもそも食事でタンパク質を十分に摂れているのに、プロテインが必要なのかどうか?だと思います。
      子供がプロテインを飲むかどうかは食育の問題です。

      ソイプロテインはホエイプロテインより安全か?はわかりません。ホエイよりも吸収が遅い分、少しは良いのかもしれません。
      しかし、1つ加工すれば良いものが無くなって、悪いものが添加されることはよくあることです。
      ソイプロテインの製造工程はよく知りませんが、大豆のタンパク質とソイプロテインがはたして同じものかどうかはわかりません。

      若い男の子は一時的にプロテインを飲みたがる気持ちはわかりますが、たまに飲む分には大きな問題は無いと思います。
      そのうち飽きてくると思います。肉の方がおいしいですから。

      1. 清水先生、返信ありがとうございます。
        おっしゃるように食事で高タンパクにしておりまして、主に肉類をメインに納豆や豆腐など食べておりますがやはりYoutubeなどで筋トレしているボディビルダーやアスリートの方たちがプロテインを必ず摂っていたり友人たちの影響もあってプロテインを飲んでますね。食事で十分タンパク質摂取できているしプロテイン飲むなら納豆食べなと行っておきます。

        1. 登山好きランナーさん

          本当に若い男の子は筋トレが好きですよね?
          友達との関係もあるので、難しいところですね。

  3. 依存症関連の本に、エネジードリンクや煙草、カフェイン、アルコール、禁止薬物に至るまで、
    「元気や活力の前借(借金)」の側面との記載がありました。

    プロテインや牛乳にしても筋肥大や運動機能向上に一時的には効果があり、
    時間が限られているプロスポーツ選手などは割り切って使用も有りかもしれません。

    でも一般人が真似する必要はないですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      企業の戦略の勝利です。
      血糖値変動が少ないのは糖質制限の一つの側面に過ぎません。糖質の入っていないまたは糖質の少ないプロテインは
      血糖値変動が非常に少ないので、糖膣制限をしている人にも非常に受け入れられやすいのですが、
      その裏でインスリンやIGF-1が増加していることはあまり企業は表に出さないのではないでしょうか?
      アスリートもボディビルダーも健康のためにプロテイン摂取をしているわけではないですからね。

  4. プロテインもさることながら、日常の食事の方が影響大でしょう。
    健康に良いとされる、肉、魚、玉子、大豆などのたんぱく質だって、庶民が日常的に変える値段のものは、何が入ってるか分かったものじゃありません。
    成長促進剤、保存料、添加物、農薬、除草剤など、細かく調べたらきりがないでしょう。
    厚生労働省が基準を定めていると言っても、それは単体の基準であり、様々な食品を複合的に摂取した場合の安全性の検証はされていません。
    現代社会においては、糖質を避けても、有害な物質はどんどん体内に入ってきてると思います。
    有害な物質が入ってくることは避けられない以上、それを排出する身体活動が重要なんじゃないかなと素人ながらに考えています。
    心拍数を上げたり、呼吸数を上げたり、発汗したり、快便などです。

    1. 岩崎弥太郎さん、コメントありがとうございます。

      仰る通りで何に何が入っているかはわかりません。
      しかし、その中で生きていくしかないので、その中でそれぞれが最善と思われることをすれば良いと思います。
      もちろん、運動は重要です。

  5. いつも楽しみに拝見しています。一型糖尿病のむーです

    私も子どもと一緒に糖質制限しております。子どもは部活で運動をしているのですがタンパク質の摂取にと豆乳メーカーを購入し豆乳をとっています。液体タンパク質の摂取では加工品と考え、同じようなリスクがあると考えたほうが良いのでしょうか

    1. むーさん、コメントありがとうございます。

      プロテインドリンクの目的は大量のタンパク質をすばやく吸収することで、筋肉などを増やそうとするものです。
      逆に言えばそのような反応、インスリン分泌やIGF-1分泌を狙っていると思われます。
      本来の目的がアスリートやボディビルのためであり、健康のためのものではないということです。
      今回の記事のホエイプロテインは他の動物性タンパク質よりも圧倒的にインスリン分泌が多いと思われ、
      リスクが高いと考えています。カゼインもIGF-1増加が多くなります。
      大豆のタンパク質ではそこまでではないかと思いますが、
      申し訳ありませんが、エビデンスは持っていません。
      同じタンパク質量であれば、液体の方が反応は大きいと思っています。

      運動しているから豆乳?というのがよくわかりません。肉ではダメなんでしょうか?納豆などの大豆製品ではダメなんでしょうか?

      豆乳メーカーで作った豆乳がどれほど影響するのかは知りません。飲む量にもよると思いますが。
      北海道の大豆は検出されませんが、使用する大豆のグリホサートなどの残留は気になるのであればご自身でご確認ください。

      1. 清水先生ありがとうございます。
        1日を通して肉も納豆も魚も卵、食べた上で、朝食の手間を省いているのでそのようになっています。タンパク質と脂質を摂取する一手段としていますがどうしても甘いものから抜けられず糖質60%オフのシリアルを子どもが摂取しているためです。
        グリホサートは調べてみます

        いつも丁寧にありがとうございます

  6. 清水先生、おはようございます。

    私は朝に、ヨーグルトと豆乳ヨーグルトにMCTオイルを混ぜて食べることが多いのですが、今回の記事を見て、少し複雑です。MCTをとっても、燃焼してくれなければ逆効果ですし。インスリンに与える影響がどうか、そこがキーですね。

    1. じょんさん、コメントありがとうございます。

      ヨーグルト1杯分のタンパク質はしれているので、あまり気にしなくても良いと思いますが。
      MCTは糖質を摂っていてもエネルギーになると思うので心配しなくてもいいですよ。

  7. 先生こんにちは。
    うちの息子22歳も筋トレ後、一生懸命プロテイン飲んでます。毎日あまーい良い香りさせてます、ザ◯スのココア味のようです。
    確かに、先生の仰る通り肉の方が美味しいのに…と思います。
    とにかくあまーい、良い香りすぎて…

    飲む??と言われ、いらない…
    というやり取りです。
    プロテイン飲むのはともかく、私自身は体を動かす事がとても苦手なので毎日ストイックに筋トレできるというのは本当に羨ましいです。

    1. みみさん、コメントありがとうございます。

      ザバスであれば糖質たっぷりのプロテインなので、ダブルパンチですね。
      企業の洗脳大成功ですね。

  8. 先生いつも情報ありがとうございます。  
    低糖質制限頑張っています。      

    息子が無添加プロテイン+玄米+筋トレで、ダイエット成功しました。 

    魚が苦手で、ツナ缶とサケフレーク位しか食べられないので、タンパク質量を補うために、バターコーヒーと豆乳ヨーグルトにグラスフェットのプロテインを入れて取っていますが、タンパク質の摂取量は気にしなくても良いのでしょうか?           
    プロテインはWPIですが、下痢します。

    1. みこさん、コメントありがとうございます。

      下痢をするのであれば十分に吸収されていないのでは?吸収されなければ摂取する意味がありません。
      下痢をするような飲食物を体に入れる意味は?自分の体や腸内細菌に合わないので乳糖がなくても下痢をするのではないでしょうか?
      ホエイプロテインという成分だけを抽出するのに、グラスフェッドというのはどのような関係があるのかよくわかりません。
      タンパク質の摂取量はもちろん気にしてください。でも食事では不十分ですか?

  9. 先生ありがとうございます。

    プロテインを続けて胃腸が慣れてきたら、消化吸収出来る様になるのだと思っておりました。
    最近は辞めようと思い始めていた所です。
    他のタンパク質を取る様に努力したいと思います。

    1. みこさん

      もちろん、数日間の下痢であれば、腸内細菌の変化によって起きているかもしれません。
      またタンパク質の代謝に必要な栄養素や酵素が足りなくて下痢を来たしているかもしれません。
      しかし、肉を普通に食べることができるのであれば、そのプロテインが下痢の原因と思われます。
      プロテイン飲料は人類の進化の中で摂取したことがないものなので、拒否反応を示す人がいても不思議ではありません。

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