PPI(プロトンポンプ阻害薬)への曝露と高血圧との関連

PPI(プロトンポンプ阻害薬)は3大マッチポンプ薬の一つです。様々な問題を起こすPPIですが、高血圧にも関連しています。

今回の研究では、WHO の薬物安全性データベースである VigiBase からの実際のデータを使用しています。データベースには、PPI関連高血圧の報告が26,587件(2.3%)含まれており、63.3%が女性で、45~64歳のグループで41.4%と最も頻繁に報告されました。報告オッズ比(ROR)を見てみましょう。(表は原文より改変)

薬剤名多変量解析
ROR95%信頼区間
デキランソプラゾール1.17(1.06から1.28)
エソメプラゾール1.25(1.22から1.29)
ランソプラゾール0.99(0.96から1.03)
オメプラゾール1.09(1.06から1.11)
パントプラゾール1.35(1.32から1.38)
ラベプラゾール1.34(1.26から1.42)
PPIクラス1.19(1.17から1.20)

上の表のように、ランソプラゾール以外の全てのPPIは高血圧の報告の可能性が高くなりました。

薬剤名薬物曝露による高血圧
用量≤中央値用量 > 中央値
多変量解析多変量解析
ROR95%信頼区間ROR95%信頼区間
デキランソプラゾール1.63(1.32から2.01)1.92(0.26から14.35)
エソメプラゾール1.33(1.23から1.44)1.88(1.59から2.24)
ランソプラゾール0.99(0.88から1.11)1.47(1.11から1.95)
オメプラゾール1.08(1.01から1.17)1.27(1.17から1.38)
パントプラゾール1.23(1.15から1.31)1.37(1.18から1.59)
ラベプラゾール0.92(0.76から1.11)1.09(0.67から1.76)

上の表は、薬剤の用量との関連を示しています。多くのPPIは用量が中央値を超えた方が、高血圧の報告の可能性が高くなっています。

下の表は、PPI投与後の高血圧発症までの時間を示しています。

日数の中央値、IQR)
デキランソプラゾール11.0 (0.0–23.0)
エソメプラゾール2.0 (0.0~36.0)
ランソプラゾール0.6 (0.0–7.2)
オメプラゾール0.0 (0.0~3.0)
パントプラゾール1.0 (0.0~6.0)
ラベプラゾール1.0 (0.0–30.5)

デキランソプラゾールを除いて、全てのPPI投与から高血圧発症まで中央値で2日以内でした。すごい即効性ですね。

PPIが高血圧を誘発するメカニズムとして、血管内の一酸化窒素(NO)産生を阻害したり、血管の活性酸素生成の増加を介した酸化ストレスを促進し、内皮依存性血管拡張を阻害する可能性があります。

様々な危険を増加させるPPIはできる限り避けるべきです。医師は本当は短期間でやめるべきPPIをダラダラと処方し続けます。

まずは最初に飲まないようにすること。もし飲み始めてしまったら、できる限り早期に止めるようにしましょう。

糖質制限をすれば、ほとんどの人はPPIが不必要になりますが、長期に飲んでいる人はしばらくリバウンドに耐えなければなりません。

「Association between exposure to proton pump inhibitors and hypertension: a descriptive and disproportionality analysis of VigiBase」

「プロトンポンプ阻害薬への曝露と高血圧との関連:VigiBaseの記述的および不均衡性分析」(原文はここ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です