日焼けサロンで日焼けをすると悪性黒色腫リスクが上がる

日焼けサロンで、体を焼いている人ってまだいるのでしょうか?日焼けサロンの日焼けベッドは、皮膚がんの中で最も危険な悪性黒色腫(メラノーマ)のリスクを高めます。ヨーロッパのデータでは、毎年診断される63,942件の新規メラノーマのうち、推定3,438件 (5.4%) が日焼けベッドの使用に関連しているそうです。影響を受けるのは女性の方が多いようです。(ここ参照)年間の日焼けベッド使用回数が増えるごとに、メラノーマのリスクが1.8%増加し、35歳未満で初めて日焼けベッドを使用した場合のリスクは1.87倍でした。

WHOの分類は問題があることもありますが、一応、日焼けベッドはアスベストやタバコの煙と同様にグループ1のヒト発がん性物質に分類されています。

今回の研究では、ノースウェスタン大学皮膚科を受診した32,315人の患者の医療記録を調査しました。このうち、7,474人が日焼けベッドの使用歴を自己申告していました。日焼けベッドの使用頻度を定量化できたのは2,932人であり、これらを使用群とし、日焼けベッドの使用歴のない24,841人の患者の中から、日焼けベッド使用群と年齢を合わせた2,925人を無作為に抽出し、対照群としました。

日焼けマシン使用群におけるメラノーマの発生率は5.1%であったのに対し、日焼けマシン非使用群では2.1%でした。日焼けマシンの使用はメラノーマの可能性を2.85倍にしました。(図は原文より)

上の図のBは日焼けベッド(TB)の使用、使用(TB セッション)数、日焼け歴(Hx)、および黒色腫の家族歴との関連を評価しています。Cは累積的な日焼けダメージが低い、または高い身体部位におけるメラノーマの解剖学的分布を示しています。紫が日光による日焼けダメージが高い部位で、オレンジは日焼けダメージが高い部位です。T と C は日焼けベッド使用群と対照群を示しています。Dはメラノーマの数と、その患者における日焼けマシンの使用歴との関連です。

Bに示すように、日焼けベッド使用回数が増加するほどメラノーマの可能性は高くなりました。200回を超えるとメラノーマの可能性は8倍程度になります。

Cに示すように、日焼けベッドの使用群は、腰や臀部など日光に当たらない部位にメラノーマを発症する可能性も高くなりました。日焼けベッドの使用群では、累積日光ダメージの小さい部位が76.1%と、対照群の61.2%を大きく上回りました。

Dに示すように、多発性メラノーマも、日焼けマシン使用の方が非使用より多くみられました。

日焼けベッド利用者11人の腰部または背中上部から正常皮膚生検をしました。彼らは、日焼けベッドを50回から750回以上という過度の使用歴を自己申告していました。比較のため、2つの異なる対照群からも正常皮膚サンプルを採取しました。DNAなどを分析すると、日焼けベッド利用者のメラノサイトの変異負荷は、対照群のメラノサイトの約2倍でした。屋内で日焼けサロン利用者では、通常は日光から保護されている部位にも変異が見られ、日焼けベッドがより広範囲のDNA損傷を引き起こすことが確認されました。

日焼けベッドの使用者が浴びる紫外線のレベルは自然光よりはるかに高いでしょう。日焼けベッドにしてもサプリにしても、自然のものを人工的に摂取するのは無理があるのでしょうね。

日焼けサロンでは、危険性についての説明がちゃんとなされているのでしょうか?日焼け業界は、日焼けベッドの紫外線スペクトルは日光よりも安全であるという主張をするでしょうけど、それを正当化することは難しいでしょう。ただのマーケティングに踊らされることなく、自然な日光をたっぷり浴びましょう。

でも、日光もメラノーマのリスクは上がるというのは本当でしょうか?それについては次回以降で。

「Molecular effects of indoor tanning」

「屋内日焼けの分子的影響」(原文はここ

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