糖質の中でも果糖は猛毒です。果糖の消費量は非常に増加しており、それによって様々な代謝障害が起きていると考えられています。
今回の研究では果糖の過剰摂取で、全身性には検出できないかもしれないような、末梢での微妙な代謝変化を筋生検をして調べています。5人の参加者で、それまでと同じ等エネルギー⾷からなる高果糖食に切り替え、1.5g/kg 体重/⽇の果糖を4 週間摂取しました。
その結果、空腹時中性脂肪は55%増加し、VLDL-中性脂肪も110%増加しました。空腹時血糖値は4%の増加、レプチンは5%増加しました。体重に変化はありませんでした。
筋生検での遺伝子発現は次のように変化していました。(図は原文より)
上の図のように、ステアロイルCoA デサチュラーゼ-1 (SCD-1) が50%増加しました。グルコーストランスポーター 4 (GLUT-4)が27%減少しました。アセチル CoA カルボキシラーゼ-2 (ACC-2) は48%減少しました。ペルオキシソーム増殖因⼦活性化受容体コアクチベーター-1α(PGC-1α) の発現が26%減少する傾向が観察されました。
マウスの実験では、肝臓でSCD-1発現が高いことは脂肪肝やインスリン抵抗性と関連しているようです。また病的肥満の人では筋肉のSCD-1発現が増加しているようです。(この論文参照)
筋肉のSCD-1の増加は低い脂肪酸酸化速度、中性脂肪合成の増加、および筋肉脂質の一価不飽和脂肪酸の増加に対応していました。筋肉脂質の一価不飽和脂肪酸含有量は肥満に伴って増加します。今回の研究では、4週間では筋肉の脂質に大きな変化はありませんでしたが、日々果糖をたくさん摂取すれば、長期的には骨格筋に脂質がたくさん溜まり、インスリン抵抗性を増加させる可能性があります。
さらに、興味深いことに、果糖過剰摂取はインスリンの刺激に反応するGLUT-4発現を27% 減少させました。GLUT-4はインスリンによりブドウ糖を筋肉に取り込みますが、果糖を摂取すると、その取り込みが鈍くなってしまう可能性があるのです。これもインスリン抵抗性の第一歩かもしれませんね。
アセチルCoAカルボキシラーゼは脂肪酸合成に必須の結合させマロニルCoAを合成する反応に必要です。1と2がありますが、アセチルCoAカルボキシラーゼ1は細胞質での脂肪酸の合成に極めて重要であり、アセチルCoAカルボキシラーゼ2はミトコンドリアでの脂肪酸の酸化(β酸化)を調節するそうです。(詳しくは不勉強でわかりません。ここ参照)今回のACC-2の半減はミトコンドリアでの脂肪酸の酸化低下が起きると思われます。
PGC-1αはミトコンドリア⽣合成と熱産⽣の主要な調節因⼦です。(ここ参照)2型糖病患者や肥満者の骨格筋ではPGC-1αの発現が減少しているようです。(ここ参照)PGC-1αは筋肉のGLUT-4やミトコンドリアの量に関係しているので、果糖はミトコンドリアの機能低下を起こし、インスリン抵抗性を増加させている可能性があります。
動物実験上ではケトン体はPGC-1αを増加させるようです。(ここ参照)
さらに、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ I (CPT-I)は脂肪酸のβ酸化に必要不可欠ですが、それも減少する傾向がありました。
いずれにしてもたった4週間、果糖を多く摂取することで筋肉の状態、代謝が大きく変化しています。目に見える変化ではないので、多くの人は気付きません。しかし、多くの人は毎日多くの果糖を過剰摂取しています。長期に渡り続く果糖過剰摂取が大きな影響があることは確実でしょう。
「Effects of four-week high-fructose diet on gene expression in skeletal muscle of healthy men」
「4週間の高果糖食が健康な男性の骨格筋における遺伝子発現に及ぼす影響」(原文はここ)
果糖は勿論ですが、最近人工甘味料
ゼロコーラもヤメてます。
体重減ったような、単に暑くて発汗が
増えてるのかもしれませんが。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
夏だからかもしれませんね?