ケトン食は全てのがんのリスク増加と関連しているというウソ研究

また変な研究が出てきました。ケトン食ががんのリスク増加と関連しているというものです。あまり真面目に読む気になれません。一応見てみましょう。

今回の研究では、アメリカの国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて、食事性ケトジェニック比(DKR)とがん発症率の関連性を調べました。ただし、いつものようにデータは食事アンケートでのデータなので、それだけでも質の低いデータ、研究だとわかります。43,838人が対象です。

DKRは、(0.9 × 脂質グラム数 + 0.46 × タンパク質グラム数)÷(0.1 × 脂質グラム数 + 0.58 × タンパク質グラム数 + 純炭水化物グラム数)で算出されます。DKR値が高いほど、食事誘発性栄養性ケトーシスを達成する可能性が高いことを示します。例えば、糖質制限のPFCバランスを30%:60%:10%として、摂取エネルギーを2000kcalとすると、タンパク質150g、脂質133g、炭水化物50gとなるので、DKRは120+69/13.3+87+50=1.26です。通常の食事のPFCバランスを20%:30%:50%とすれば、タンパク質100g、脂質66.7g、炭水化物250gとなるので、DKRは60+46/6.67+58+250=0.34です。

DKRにより4つのグループに分けたとき、最もDKRが低いグループQ1では、DKRは0.08~0.29の範囲であり、 Q2は0.29~0.36、Q3は0.36~0.46、最も高いDKRのグループQ4は 0.46~2.47の範囲でした。(図は原文より、表は原文より改変)

 
モデルC
OR
Q1 1
Q2 1.16
Q3 1.13
Q4 1.29
DKR 1.58

上の図はDKRのグループごとのがんの発生の可能性です。Q1を1とすると、Q2では1.16倍、Q4では1.29倍と、DKRレベルが高いほど、がんの可能性の上昇と有意に関連していました。

上の図はDKRレベルと全てのがんの発症の可能性の関連性を示しています。DKR0.44未満では、がんの可能性との正の相関が認められました(オッズ比1.08)。一方、DKRが0.44以上の場合、有意な相関は認められませんでした。DKR0.44未満の範囲内では、DKRレベルの上昇に伴い、すべてのがんの可能性が徐々に増加することになります。図を見てわかるように、先ほど例として挙げたPFCバランス30%:60%:10%、DKR1.26という数値は上のグラフではほぼゼロです。つまり、糖質制限、ケトン食を摂っているデータがこの研究に含まれている可能性がほぼゼロなのです。しかし論文のタイトルにはケトン食という言葉を使用しています。アホらしい研究だとわかります。

では、食事の栄養成分を見てみましょう。下の表は3大栄養素の割合とグラム数です。

 
特性 DKR
Q1、N  = 10,960 Q2、N  = 10,959 Q3、N  = 10,959 Q4、N  = 10,960
エネルギー(kcal) 1,750 (1,278, 2,376) 1,968 (1,460, 2,604) 2,021 (1,507, 2,695) 2,009 (1,482, 2,689)
タンパク質(グラム) 56 (39, 77) 72 (52, 96) 80 (59, 107) 89 (64, 120)
タンパク質エネルギー(kcal) 223 (154, 307) 286 (209, 384) 319 (235, 429) 354 (258, 479)
タンパク質エネルギー(%) 13 (10, 15) 14 (12, 17) 16 (13, 19) 18(15、21)
炭水化物(グラム) 271 (200, 364) 259 (192, 341) 233 (173, 308) 181 (129, 245)
炭水化物エネルギー(kcal) 1,085 (799, 1,456) 1,036 (770, 1,365) 932 (691, 1,234) 724 (515, 981)
炭水化物エネルギー(%) 62 (59, 67) 53 (51, 55) 47 (44, 49) 37 (32, 41)
脂質(グラム) 46 (30, 66) 68 (49, 93) 81 (58, 110) 96 (69, 131)
脂質エネルギー(kcal) 410 (269, 594) 610 (437, 837) 731 (526, 987) 867 (618, 1,180)
脂質エネルギー(%) 24 (20, 28) 32(29、34) 37(33、39) 43 (39, 47)

タンパク質は最大でも18%と非常に少ないです。一方炭水化物(糖質)は最も少ないグループでも、中央値が181g、37%、と全く糖質制限やケトン食とかけ離れた食事であることがわかります。どうやら、この著者はケトン食というものを理解していないようです。全く的外れの研究でした。

でも、どこかの自称専門家は、この研究を引用して、糖質制限やケトン食を危ない食事であると言ってくる可能性があります。

騙されないように注意が必要でしょう。

「Ketogenic Diets Are Associated with an Elevated Risk for All Cancers: Insights from a Cross-Sectional Analysis of the NHANES 2001–2018」

「ケトン食はあらゆるがんのリスク増加と関連している:NHANES 2001-2018の横断的分析からの洞察」(原文はここ

2 thoughts on “ケトン食は全てのがんのリスク増加と関連しているというウソ研究

  1. 「騙されないように注意が必要でしょう。」
    糖質過剰摂取性認知機能低下症
    だと、簡単に騙されて余計なサプリとか
    買わされそうです。

  2. 「研究チームによると、断食や低炭水化物/高脂肪ダイエットによって内因的に生成されたケトン体でも、サプリメントとして外因的に投与されたケトン体でも、インスリン抵抗性によって誘発されるニューロンの機能低下を緩和する効果が 期待できるとのこと。」

    ネットニュースで見つけました。
    私は、こちらを指示実践してます。

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