以前の記事「血中の鉛濃度の上昇は知能の低下と関連している」では鉛の血中の濃度が知能の低下と関連していることを書きました。そして、その摂取源として一番多いのはお米だということも書きました。
今回は、他に懸念される鉛の摂取源について書きたいと思います。
子供や女性の中で、チョコレートを好きな人は多いかもしれません。またココアも人気かもしれません。ハイカカオのチョコレートも健康に良いと思われています。その、カカオ由来の製品は実は重金属が多いことがわかっています。
今回の調査(アメリカの消費財を調査検討する非営利組織のConsumer Reports)では、鉛とカドミウムのリスクを評価するため、各製品を1食分摂取することで、カリフォルニア州の食品中の鉛(0.5マイクログラム/日)およびカドミウム(4.1マイクログラム/日)の基準最大許容摂取量(MADL)に達するかどうかを検証しました。
アメリカの調査ですが、同じ製品が日本にも入ってきているものもあるでしょう。
ダークチョコレート
ダークチョコレートバーを検査したところ、7製品のうち5製品(71%)で鉛(LEAD)、カドミウム(CADMIUM)、またはその両方の基準値を超えていました。(図はここより)
同じ企業の製品なら、ハイカカオの方がやはり鉛は多そうです。鉛が500%を超えてしまっているものもありますし、鉛とカドミウム両方が基準を超えている商品もあります。
ミルクチョコレート
ミルクチョコレートはダークチョコレートよりもカカオが少ないため、重金属含有量が低い傾向があります。5種類のミルクチョコレートバーは、いずれも基準値を超える重金属はありませんでした。
チョコレートチップ
12製品はいずれも高濃度のカドミウムを含んでおらず、2種類だけ鉛の制限を超えていました。
ココアパウダー
ココアパウダーはほぼ全てカカオなので、たとえ少量でも鉛やカドミウムの含有量が高すぎると思われるかもしれません。しかし、テストした製品の中にはカドミウム含有量の高いものはなく、鉛含有量が高かったのは2種類だけでした。ギリギリのものも多いですが。ただ1食分は大さじ 1 杯なので、大量に飲むのは問題でしょう。
ホットチョコレートミックス
6種類のミックスのうち4種類が鉛の基準値を超えました。300%を超えているものもあります。
ブラウニーとケーキミックス
ブラウニーミックス1品とケーキミックス2品のみが鉛規制値を上回り、それぞれかなり高い数値を示しました。
ハイカカオのダークチョコレートは健康的だと考えられていますが、ダークチョコレートを大量に子供や妊婦さんが食べたら大変なことですね。チョコレートを全く食べてはいけないというわけではありませんが、子供や妊娠中の方はダークチョコレートをかなり控えめに、あるいはやはり全く食べないようにした方が良いでしょう。その他のチョコレート製品についても、毎日ではなく時々の方が良いかもしれません。
他にも気になるものがあります。それはフルーツジュースです。100%と言っても多くのジュースは濃縮還元ジュースです。国産の果物を使用と書かれていなければ、ほとんど外国産、特にリンゴジュースは中国産が多いかもしれません。チョコレートと同じConsumer Reportsが調査したものです。
細かい調査結果はわかりませんが、概要は次のようです。(ここ参照)
• すべての製品に、カドミウム、無機ヒ素、鉛、水銀の少なくとも 1 つの重金属が測定可能なレベルで含まれていました。
• 45種類のジュースのうち21種類(47%)に、カドミウム、無機ヒ素、鉛のいずれか、あるいはそのいずれかの含有量が懸念されるレベルでした。
• 21種類のジュースのうち7種類は、1日に4オンス(1/2 カップ)以上飲む子供に害を及ぼす可能性があります。また、9種類は、1日に8オンス(1カップ)以上飲む子供にリスクをもたらします。
• 10種類のジュースは成人にとってさえ危険です。そのうち5種類は1日4オンス(1/2 カップ)以上、残りの5種類は1日8オンス(1カップ)以上を摂取すると危険です。
• ぶどうジュースとジュースブレンドは平均重金属濃度が最も高くなりました。
• 子供向けに販売されているジュースのブランドは、他のジュースに比べて成績が良かったり悪かったりすることはありませんでした。
• オーガニックジュースの重金属含有量は、従来のジュースより低くはありませんでした。
シナモンが好きな人はいますか?私はあまり好きではありません。ただ、スパイシーなカレーに使いますから。
シナモンも鉛にまみれている可能性があります。(ここ参照、図もここより)シナモンパウダー製品36種類と、ガラムマサラや五香粉などのシナモンを含むスパイスブレンドの鉛含有量を検査しました。
上の図の商品は使ってはいけないレベルの鉛含有量です。
上の図は1日に小さじ1/4杯から1杯程度使用しても良いものです。
上の図は比較的安心して使用できるシナモンです。
他のスパイスはどうでしょうか?38ブランド126種類のハーブとスパイスについて、ヒ素、カドミウム、鉛の含有量を検査しました。(ここ参照)
ブラックペッパー、チリパウダー、コリアンダー、カレー粉、ガーリックパウダー、サフランサフラン、ゴマ、白コショウについてはほぼ心配ありません。しかし、バジル、クミン、ジンジャー、オレガノ、パプリカ、タイム、ターメリックは注意が必要なようです。ここでもオーガニックと謳っているから重金属が少ないわけではありませんでした。
もう一つ、見てみましょう。プロテインパウダーです。調査を行ったのはアメリカの非営利組織Clean Label Project(CLP)です。市場シェアの83%を占めるトップブランド70社の160製品を検査しました。結果は次の通りです。(ここ参照、図もここより)
・製品全体の47%が安全性規制値のいずれか一つを超えていました。さらに対象製品の21%に、規制値の2倍以上の鉛が含まれていました。
・大豆などを原料とする植物性プロテインパウダーの77%は鉛の規制値を超えていました。ホエイプロテインは28%が規制値を超えていました。
・植物性プロテインパウダーは、ホエイプロテイン製品と比べ、鉛が約3倍、カドミウムが約5倍多く含まれていました。
・オーガニックのプロテインパウダーの79%は鉛の規制値を超えていました。
・オーガニックプロテインパウダーには、非オーガニック製品に比べて、鉛が3倍、カドミウムが2倍多く含まれていました。
・チョコレート味のプロテインパウダーの65%は規制値を超え、29%は規制値の2倍以上の鉛が含まれていました。
・チョコレート味のプロテインパウダーには、バニラ味の製品に比べて、鉛が4倍、カドミウムが110倍も多く含まれていました。
まあ、プロテインも超加工品ですからね。プロテインを飲む方は、ご自身でそのブランドのホームページで重金属含有量を確認の上、使用した方が良いでしょう。確認できない場合はそのプロテインを避けるか、控えめにした方が良いかもしれません。
一つ一つの製品、食材の重金属が少なくても、合わせて1日量が多くなる場合もありますので、注意が必要です。
そして、重金属を排出するために、運動で汗をかきましょう。サウナでは効果は少なめでしょう。(「運動して汗をかいて有害な重金属を排出しよう」「運動とサウナでの発汗による重金属の排出の違い」参照)