体の中には有害な重金属が入ってきてしまいます。以前の記事「運動して汗をかいて有害な重金属を排出しよう」で書いたように、それらは汗によって排出されます。では、サウナで汗をかいても排出できるのでしょうか?
今回の研究では、運動による発汗とサウナでの発汗でいくつかの重金属、ニッケル (Ni)、鉛 (Pb)、銅 (Cu)、ヒ素 (As)、および水銀 (Hg) の排出を調べています。12人の若い大学生を対象に、トレッドミルでのランニング20分とサウナ20分の汗を比較しています。(図は原文より、表は原文より改変)
ニッケル | 鉛 | 銅 | ヒ素 | 水銀 | |
---|---|---|---|---|---|
ランニング | 57.3 (36.4) | 52.8(15.9) | 206.5 (99.8) | 2.9(1.0) | 0.3(0.4) |
サウナ | 5.2 (14.1) | 4.9 (6.6) | 159.4 (88.5) | 2.1 (0.4) | 0.2(0.4) |
上の図と表はランニングとサウナの汗における重金属の濃度です。単位はμg/Lです。ニッケルと鉛は大きな差が出ました。銅とヒ素も有意にランニングの汗の方が多くなりました。水銀は差がありませんでした。
発汗の方法により違いが出るのは非常に興味深いですね。重金属は皮膚からかなりの量が排泄される可能性があり、皮膚からの排泄率は24時間の尿中排泄率と同等か、それを超える可能性さえあるようです。
長距離のランニングでは深部体温が40℃に達すると報告されています。しかし、サウナでは深部体温の上昇はそれほどでもないのでしょう。運動中は心拍数が増加し、深部体温の上昇により循環が促進されます。体の中心部からの温かい血液は皮膚に送られ、熱は汗として放出されます。そして、電解質や重金属、老廃物などは汗の分泌によって血液から直接排出されます。しかし、サウナで周囲の温度が中心温度を超えると、局所的な熱放散のみが発生します。一般に、局所の皮膚血管が拡張して血流と体液の浸透が増加し、熱放散のためにいくつかの金属を含む低張性の汗が分泌されます。どうやら、運動とサウナでは汗を出すメカニズムが違うようです。
もちろん、サウナの汗でも排出はないわけではありません。汗をかくことは恐らく重要だと思われます。できれば運動によってたっぷりと汗をかいたほうがより健康的だと思います。
運動は健康のためです。汗をかくほどの運動をしましょう。
「Excretion of Ni, Pb, Cu, As, and Hg in Sweat under Two Sweating Conditions」
「2 つの発汗条件下での汗中の Ni、Pb、Cu、As、Hg の排泄」(原文はここ)
以前はサウナ好きでしたが、次第に
「running後のシャワーで十分に、
むしろサウナより”整う”」
様に感じ、ほとんど行ってません。
思いついて行っても、やはり
running後の爽快感の方が
整います。