もちろん、糖質入りドリンクは虫歯の原因です。でも人工甘味料ってどうでしょう?
今回の研究では、10代(12~18歳:平均年齢17歳)の若者18人を対象に、砂糖入りのドリンク、アスパルテーム/アセスルファム K 入りのドリンク、炭酸水、および普通の水を飲んでもらい、唾液と歯のバイオフィルムのpHを測定しました。
全員が普段毎日ソフトドリンクを飲んでおり、ほとんどが1日2回以上口腔衛生を行っており、口腔検査では全員に虫歯が認められました。
最初のセッションで 355 mL の普通の水が与えられた。その後の 3 回のセッションで提供されるドリンクの順序はランダムに決定されました。ドリンクは4°C 近くの温度で、最大10分以内に飲みました。(図は原文より)
上の図はドリンクを飲んだ後の唾液のpHの推移です。砂糖入りのドリンクを摂取した後、最初の5分間にpHの大幅な低下が見られ、pHの中央値は6.80でした。その後、45 分までに徐々に回復し、ベースラインのpHレベルに戻りました。意外と低下の程度が少ないですね。
砂糖入りドリンクを摂取した後5分および10分で得られたpHは、他のドリンクで見られたものよりも有意に低くなりました。アスパルテーム/アセスルファムKを含むドリンク、炭酸水、および普通の水を摂取した後の唾液pHには有意差はなく、7.0以上を維持しました。
上の図はバイオフィルムのpHの推移です。変動が見られましたが、異なるドリンク間に有意な差は見られませんでした。
上の図はベースラインと各ドリンク摂取後120分におけるバイオフィルムの細菌増殖の変化です。左から普通の水、炭酸水、アスパルテーム/アセスルファム K 入りのドリンク、砂糖入りのドリンクです。明らかに砂糖入りのドリンクは細菌の増殖が多いですね。そして、砂糖入りよりも程度は低いですが、人工甘味料入りのドリンクでも細菌の増殖が多くなりました。不思議なことに炭酸水(ミネラルウォーター)でもわずかに増殖しました。ただし、普通の水との差は有意ではありません。普通の水は変化なしです。
他の多くの研究での結果よりも、砂糖入りドリンクでpHの酸性化が少なかったのは、飲み方によるのかもしれません。他の多くの研究では、口に含んですすいでいます。今回は恐らくゴックンと飲んでいます。
人工甘味料は不活性ではありません。以前の記事「人工甘味料は耐糖能に影響を与える」でも書いたように、腸内細菌に影響を与える可能性があります。腸内細菌に影響を与えるのであれば、口腔内の細菌叢にも影響があっても不思議ではありません。糖質だけでなく、人工甘味料でも虫歯の危険性を増加させる可能性があります。
飲み物は水かお茶、炭酸が欲しければ炭酸水などにとどめておきましょう。
「Effects of Carbonated Beverage Consumption on Oral pH and Bacterial Proliferation in Adolescents: A Randomized Crossover Clinical Trial」
「炭酸飲料摂取が青少年の口腔 pH と細菌増殖に与える影響: ランダム化クロスオーバー臨床試験」(原文はここ)