血糖値とがんの発症および致死的がんのリスク

がんは糖質過剰症候群です。血糖値の上昇ががんリスクの増加と関連していると考えられます。

今回の研究は、以前の記事「コレステロールとがん発生率」でも取り上げた、メタボリックシンドロームとがんプロジェクト(Me-Can)というものがあり、これにはノルウェー、オーストリア、スウェーデンの集団、274,126人の男性と275,818人の女性のデータがが含まれています。ベースラインの平均年齢は44.8歳で、平均追跡期間は10.4年です。

追跡の最初の1年を除いて、18,621人の男性と11,664人の女性ががんと診断され、6,973人の男性と3,088人の女性ががんで亡くなりました。(図は原文より)

上の図は、男性におけるがんの発症(□)および致死的ながん(■)の相対リスクを血糖値により10のグループに分けたときのものです。もっとも低い40%の血糖値のグループ(1-4)を1とした場合のリスクは、最も血糖値の高い10%のグループ(平均血糖値134)では、がんの発症は1.14倍とリスクが高い傾向がありましたが、有意ではありませんでした。一方致死的がんは1.84倍と有意にリスクが高くなりました。前立腺がんを除くすべてのがんの相対リスクは、がんの発症で1.37倍、致死的ながんで2.10倍でした。

上の図は女性のリスクです。もっとも低い40%の血糖値のグループ(1-4)を1とした場合のリスクは、最も血糖値の高い10%のグループ(平均血糖値128)では、がんの発症は1.42倍、致死的がんは2.05倍と有意にリスクが高くなりました。全死亡率の対応する相対リスクは、男性で3.29倍、女性で3.69倍でした。

男性では、血糖値の1 mmol/l(18mg/dL)増加あたりの全てのがんの相対リスクは、がんの発症では1.05倍、致死的がんでは1.15倍でした。男性では、肝臓がん、胆嚢がん、呼吸器系のがんについて、血糖値1mmol/l増加ごとにがんの発症および致死的がんのリスクが有意に増加し、甲状腺発症、多発性骨髄腫発症、および致死性直腸がんについても有意な増加が認められ、血糖値で5つのグループに分けたときの最高のグループは致死性結腸がんの有意なリスク増加と関連していました。

女性では、血糖値1 mmol/lの上昇と全がんとの関連は男性よりもやや強く、がんの発症では相対リスクは1.11倍、致死的がんは1.21倍でした。女性では、膵臓がんおよび胃がんの発症および致死的がんに関して有意な正の相関が認められ、膀胱がんの発症および致死的子宮頸がんおよび子宮体がんについても有意なリスク増加が認められました。さらに、血糖値で5つのグループに分けたときの最高のグループは、子宮内膜がんの発症リスク増加および甲状腺がんの発症リスク減少と有意に関連していました。

男性と女性を合わせたところ、血糖値が 1 mmol/l 増加すると、中咽頭がんと食道がんによる死亡リスクが高まりました。

糖質はがんのエサです。さらに糖質過剰摂取によりインスリンとインスリン様成長因子-I(IGF-I)が増加しますが、これらはがんを成長、促進させます。

これほどがんの発症、死亡が多いにもかかわらず、なぜこれほど多くの人が糖質過剰摂取を続け、医師や栄養士、医療業界、食品業界などが糖質過剰摂取を推奨し、がん患者にまでも入院中に大量の糖質を提供しているのか、わかりません。

人間の体は糖質摂取を必要とはしていません。がんは糖質過剰症候群です。

「Blood glucose and risk of incident and fatal cancer in the metabolic syndrome and cancer project (me-can): analysis of six prospective cohorts」

「メタボリックシンドロームとがんプロジェクト(Me-Can)における血糖値と新規および致死的ながんのリスク:6つの前向きコホートの分析」(原文はここ

One thought on “血糖値とがんの発症および致死的がんのリスク

  1. 「これほどがんの発症、死亡が多いにもかかわらず、なぜこれほど多くの人が糖質過剰摂取を続け、医師や栄養士、医療業界、食品業界などが糖質過剰摂取を推奨し、がん患者にまでも入院中に大量の糖質を提供しているのか、わかりません。」
    その通りだと思います。

    がん保険で顕著ですが
    「日本人の二人に一人が癌になります」
    との文言はいろんな商売の宣伝文句になってしまってますね。

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