コレステロールとがん発生率

コレステロールは人間にとって必須のものです。細胞の構成成分でもありますし、ホルモンなどの原料でもあります。さらに

メタボリックシンドロームとがんプロジェクト(Me-Can)というものがあり、これはノルウェー、オーストリア、スウェーデンの集団からのデータが含まれており、代謝因子とがんリスクとの関連を調査することを目的としています。Me-Canの、ノルウェー、オーストリア、スウェーデンからの7つの集団で、対象は男性289,273名と女性288,057名で、平均11.7年の追跡期間でがんの発生率と総コレステロールの関連を調査しました。総コレステロール値は5つのグループに分けられましたが、それぞれの集団で違いがあり、最も低値の総コレステロールグループは平均157~187mg/dL、最も高いグループは平均271~313mg/dLでした。(表は原文より改変)

五分位数
2345
HRHRHRHR
がん全体0.950.940.940.94
口唇、口腔、咽頭1.040.930.901.38
食道0.950.830.791.12
0.850.780.920.71
結腸0.941.191.191.18
直腸、肛門1.120.970.961.09
肝臓、肝内胆管0.330.220.260.14
胆嚢、胆道1.161.351.031.27
すい臓0.630.750.630.52
喉頭、気管/気管支/肺1.011.090.971.15
前立腺1.001.051.010.99
精巣0.801.111.340.81
腎臓、腎細胞1.260.991.231.06
膀胱1.270.901.041.11
皮膚の黒色腫0.870.770.760.82
皮膚の非黒色腫0.770.700.790.67
脳、神経組織0.910.970.820.86
甲状腺1.030.771.010.64
リンパ/造血組織0.760.750.850.68
その他のがん0.940.830.850.87

上の表は男性について、最も総コレステロールが低いグループと比較して、それぞれのがんのリスクを示しています。第5五分位、つまり最も総コレステロールが高いグループでは、全てのがんリスクの減少と関連し、0.94倍でした。最も総コレステロールが高いグループの肝臓/肝内胆管のがんのリスクは0.14倍、すい臓がんは0.52倍、皮膚の非黒色腫0.67倍、リンパ/造血組織のがん0.68倍でした。一方最も総コレステロールが高いグループで有意にがんリスクが高くなるものはありませんでした。

五分位数
2345
HRHRHRHR
がん全体0.950.930.940.86
口唇、口腔、咽頭1.190.751.261.13
食道1.171.103.291.51
0.960.620.980.84
結腸1.051.191.171.23
直腸、肛門1.111.431.501.48
肝臓、肝内胆管2.871.081.090.96
胆嚢、胆道0.940.380.470.23
すい臓0.860.760.971.08
喉頭、気管/気管支/肺0.831.101.041.24
乳房0.930.910.840.70
子宮頸部1.020.971.071.05
子宮の他の部分0.830.870.700.74
卵巣1.061.321.421.27
腎臓、腎細胞0.741.120.951.13
膀胱0.740.810.700.91
皮膚の黒色腫0.960.680.980.61
皮膚の非黒色腫1.671.121.471.52
脳、神経組織0.740.560.920.70
甲状腺1.170.900.930.85
リンパ/造血組織0.770.810.770.61
その他のがん1.131.101.060.94

上の表は女性のがんのリスクです。女性では、最も総コレステロール値が低いグループと比較して第5五分位のリスクは、全てのがんで0.86倍、胆嚢がん0.23倍、乳房0.70倍、皮膚の黒色腫0.61倍、リンパ/造血組織のがん0.61倍でした。一方女性も最も総コレステロールが高いグループで有意にがんリスクが高くなるものはありませんでした。

やはり低コレステロールは様々ながんのリスクを高めるようです。(「日本人でも低コレステロールは肝臓がんの死亡リスクを増加させる」「空腹時血糖とコレステロールと肝臓がんのリスク」参照)コレステロールを運ぶLDLもHDLも免疫機能の一部でもあります。免疫が下がればがんにもなりやすいでしょう。

コレステロールが高いとスタチン医者に脅されますが、スタチンでは糖尿病発症や筋肉系の問題など様々な副作用を起こす可能性がありますし、がんとの関連を指摘する研究もあります。(「スタチンはがんのリスクを増加させる可能性」「スタチンの長期使用は乳がんを増加させるかもしれない」参照)スタチンはずっと投与し続けられるし、それによって色々な副作用を起こしてくれれば、2度うまいどころか、何度もうまい薬になります。

糖質制限をして、コレステロールは気にしない方が良いでしょう。

 

「Total serum cholesterol and cancer incidence in the Metabolic syndrome and Cancer Project (Me-Can)」

「メタボリックシンドロームとがんプロジェクト(Me-Can)における血清総コレステロールとがん発生率」(原文はここ

2 thoughts on “コレステロールとがん発生率

  1. コレステロールは血管を詰まらせ、塩分は高血圧の元凶。
    逆に糖質は脳の唯一のエネルギー源と見做されています。
    「生活習慣病」医療は当分安泰でしょうか。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      疑わないように国民を育てた、日本の教育、マスコミの洗脳の賜物でしょう。

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