糖質はがんのエサです。血糖値の上昇はがんのリスクを増加させるでしょう。また、以前の記事「LDLコレステロールが高いとがんのリスクは低下する」で書いたように、コレステロールの低下はがんのリスクを増加させるでしょう。LDLコレステロール値10mg/dL減少するごとにがんリスクはおよそ20%上昇する計算になります。
今回の研究では、空腹時血糖値と総コレステロールと肝臓がんのリスクの関連を分析しています。98,936人が対象で平均年齢51.81歳、平均空腹時血糖値は98.46mg/dL、平均総コレステロールは191.6mg/dLでした。これらの人を空腹時血糖値と総コレステロールによって4つのグループに分けました。
正常の空腹時血糖値は108mg/dL以下で、それを超えるものは血糖値上昇群とします。総コレステロール値は160mg/dL未満、160~240、240を超えるものをそれぞれ低コレステロール血症群、正常群、高コレステロール血症群とします。
そして、非低コレステロール血症(つまり正常および高コレステロール血症)かつ正常空腹時血糖グループ (G1)、非低コレステロール血症かつ空腹時血糖上昇グループ (G2)、低コレステロール血症かつ正常空腹時血糖グループ (G3)、低コレステロール血症かつ空腹時血糖上昇グループ (G4)の4グループに分けます。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図は原発性肝臓がんの累積発生率です。平均追跡期間は11.47年で、肝臓がん症例数は388例でした。G1~G4 グループの10年間の累積発生率は、それぞれ3.35%、4.60%、6.09%、11.60%でした。低コレステロール血症かつ空腹時血糖上昇グループのG4は圧倒的に肝臓がんが多いですね。
単変量モデル | 多変量モデル | |
---|---|---|
総コレステロール | ||
正常群 | 1 | 1 |
低コレステロール血症群 | 2.03 (1.64–2.52) | 1.71 (1.36–2.13) |
高コレステロール血症群 | 0.64 (0.42 ~ 0.96) | 0.81 (0.53 ~ 1.24) |
空腹時血糖 | ||
正常群 | 1 | 1 |
上昇群 | 1.25 (0.98 ~ 1.60) | 1.47 (1.14 ~ 1.89) |
上の表のように肝臓がんのリスクは、様々な因子の補正後の多変量モデルでは、低コレステロールと空腹時血糖上昇はそれぞれ1.71倍と1.47倍になりました。
単変量モデル | 多変量モデル | |
---|---|---|
G1 | 1 | 1 |
G2 | 1.15 (0.86 ~ 1.55) | 1.19 (0.88–1.62) |
G3 | 2.01 (1.58–2.55) | 1.53 (1.19–1.97) |
G4 | 3.36 (2.28–4.95) | 3.16 (2.13–4.69) |
上の表のように、G1グループと比較すると、G2は1.19倍、G3は1.53倍ですが、G4だけ3.16倍と大きくリスク増加が起きています。それをグラフにしたのが下の図です。
上の図のようにG1と比較すると、G2の空腹時血糖値の上昇の要因は少し認められ、G3の低コレステロールの要因も認められますが、G4では空腹時血糖上昇に低コレステロールを足しただけでなく、その複合的な要因が肝臓がんのリスクを大きく増加させている可能性を示唆させています。
非肥満 | 肥満 | 一般教養レベル | 高等教育レベル | |
---|---|---|---|---|
G1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
G2 | 1.31 (0.92–1.86) | 0.94 (0.50–1.77) | 1.17 (0.85–1.62) | 1.05 (0.35 ~ 3.14) |
G3 | 1.56 (1.18 ~ 2.06) | 1.41 (0.75–2.66) | 1.41 (1.07 ~ 1.85) | 2.12 (0.98–4.97) |
G4 | 2.76 (1.71–4.48) | 4.44 (2.20–8.99) | 2.86 (1.87–4.41) | 5.12 (1.87–14.05) |
上の表は肥満や教育レベルによる肝臓がんリスクの関連です。やはり非肥満に比べて肥満の方がG4グループの肝臓がんリスクは高くなって、4.44倍です。もう一つ興味深いのは高学歴の人の方がG4グループのリスクが高く、5.12倍です。学歴が高いと洗脳されやすく、健康や医療の神話を信じてしまうからでしょうか?理由はわかりません。
いずれにしても高血糖はがんにエサを与えますし、コレステロールの低下は抗酸化物質を減少させて、酸化ストレスに対する感受性を高め、肝臓がんを促進するのかもしれません。
糖質制限をして、コレステロールを高めた方が健康的になれると思います。がんは糖質過剰症候群です。
「Fasting Blood Glucose, Cholesterol, and Risk of Primary Liver Cancer: The Kailuan Study」
「空腹時血糖、コレステロール、原発性肝がんのリスク:カイルアン研究」(原文はここ)
『主治医が見つかる診療所』というTV
出演の東京医科大学出身の先生が
“なんちゃって糖質制限”
を提唱、糖質制限本を出されました。
コレステロールは相変わらず
病の元凶だし、糖質制限
「し過ぎると」低血糖が危険など
モヤモヤする記述満載です。